夫にバレることなく、離婚分割後の年金額をこっそり知る方法とは?

口には出せないけれど『もし今いる夫と離婚したら、どのくらい年金が分割されるのか? 』気になっている方もいることでしょう。
実は、条件を満たせば、離婚前であっても離婚分割後の年金額を知ることが出来きます。さらに手続き方法などを工夫すれば、夫に悟られることなく密かに調べることも可能になります。
離婚前に金額が知りたい! どんな手続きが必要なの?
「皆さん、こんにちは。社会保険労務士の浜田です。そして、こちらが相方のマネ田ラボ子さんです! 」
「……」
「ちょっとラボ子さん! 何か言わないと事故になってしまいますよ? 一体どうしたんですか? 」
「離婚直前の夫婦を表現してみたのよ。もう会話すらしたくないって感じかしら。うふふ」
「いやいや、そりゃマズいですよ。話が進まないと、私たちがマネラボさんから離別されちゃいますよ」
「あら? それは困るわね。じゃあ、お詫びに『離婚する前に、夫にバレることなく離婚分割後の年金額を知る方法』を説明しなさいよ」
「お詫びの使い方がちょっと違う気もしますが…わかりました。離婚分割後の年金額を知るためには『年金事務所で情報通知書の請求手続き』をします」
「手続きすれば、誰でも金額を教えてもらえるのかしら? 」
「いいえ。残念ながら全員ではありません。情報通知書という書類に離婚分割後の年金額を記載してもらうためには、条件を満たす必要があるのです」
離婚分割後の金額を教えてもらえる人とは?
「金額を教えてもらえる条件とは『50歳以上で、かつ、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている方』です」
「なんで50歳以上限定なのよっ! おかしいじゃない! 」
そう言って、ラボ子さんは筆者のネクタイをグイっと引っ張りました。
「ぐえぇ~。ちょっと落ち着いてください、ラボ子さん。そもそものルールで、年金事務所では50歳以上でないと老齢年金の金額を試算してもらえないのです。なので、離婚分割でも『試算は50歳以上』という縛りがあるのです」
「じゃあ50歳未満の人はどうやって金額を知ればいいのよ? 」
「そうですね。50歳未満の方でも、情報通知書に婚姻期間中の標準報酬の記載はされます。標準報酬とは年金を計算するために必要なデータのことです。このデータを使って無理やり年金額を計算することはできると思いますが、ちょっと大変です。できれば年金の専門家に試算を頼んでみた方がよいでしょう」
「何だか大変そうね~。で、もう一つの条件、年金の受給資格期間の方は? 」
「将来、老齢年金をもらえる権利が発生する方、ということですね。ざっくり言い換えると『年金の加入期間が10年以上あればよい』ということです」
「その他に注意することは? 」
「補足になりますが、次のような方は、そもそも情報提供の手続きや離婚分割の請求手続きができないのでご注意ください」
・夫婦二人とも婚姻期間中に厚生年金(共済年金を含む)の加入期間が全くない
・離婚してから2年が経過している
夫に悟られず、こっそり金額を知る方法は?
ラボ子さんは疑問を口にしました。
「夫にバレないようにするってことは、郵送で手続きをするってことかしら? 」
「確かに郵送でも手続きは出来ます。ですが、郵送だと、添付書類の不備があったり、請求書に記入漏れがあったり、そもそも本人が制度をよく理解していなかったり、と色々なトラブルが起こりやすいです。なので、年金事務所の窓口で相談、手続きをした方が良いと思います」
「でも、最寄りの年金事務所だと、ご近所さんにバッタリ会ったときに気まずいじゃない。ご近所さんから夫にバレるかもしれないでしょ? 」
「別に最寄りの年金事務所でなくても大丈夫ですよ。全国どこの年金事務所でも相談、手続きはできます」
「あと、情報通知書はどうやって受け取るのかしら? 自宅に郵送されても困るんですけど…」
「情報通知書は希望する住所に郵送してもらうか、年金事務所まで出向いて受け取る、いわゆる窓口受け取りをするかを選ぶことができます。請求書に情報通知書の受け取り方を選ぶ欄がありますので、そこに記入します」
「あと、何か注意はあるのかしら? 」
「年金事務所は予約制になっています。電話または年金事務所の総合受付で予約を取るようにしましょう。その際、手続きに必要な書類も確認してくださいね」
「わかったわ。私はよく迷子になるから、下見も兼ねて総合受付で予約をとる方が安心ね」
離婚分割の制度は複雑なので、今回は原則を中心にざっくりとしたお話をしました。年金は個々人の状況によって異なりますので『自分の場合はどうなるのか? 』を知ることが大切です。特に離婚間近は何かとバタバタしてしまうので、時間に余裕をもって年金事務所で相談するようにしましょう。
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浜田裕也
社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。社会保険労務士会の業務委託で年金相談の実務にも携わるようになり、その相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請の仕方のアドバイスには定評がある。著書に「日本でいちばん簡単な年金の本」(洋泉社 第3章監修)、「転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話」(SB新書 監修)がある。