離婚すると相手方から年金がもらえることも。離婚時の年金分割とは?

浜田裕也

2020.03.20.(金)

公的年金には「離婚後に手続きをすることによって、年金の多い相手方から年金の一部を分けてもらい、自分の年金を増やすことができる」という制度があります。
この制度を「離婚時の年金分割」といい、短くして「離婚分割」と呼んだりしています。
離婚分割は複雑な制度なので、今回はざっくりしたイメージでお伝えしようと思います。

離婚することで、相手方の年金の一部をもらうこともできる

「皆様、どうもこんにちは。社会保険労務士の浜田です。そして、こちらはツッコミ担当のマネ田ラボ子さんです」

「どうも、ラボ子です~。ってなんでやねん!」

パンッ!

「いだぁ! いきなり頭を叩かないでくださいよ。ツッコミと言ってもそっちじゃないですよ。年金の話にツッコミを入れるんですよ」

「あらそう? どうせそんなことだろうと思ったわよ。ちなみに、最近お客さんから何か言われたことがあるそうじゃない」

「全然ちなんでないですけど…実はそうなんです。『離婚すると年金が分割できるなんて知りませんでした』と言われたんです。離婚時の年金分割、いわゆる離婚分割はあまり有名じゃないのかな? と思ってしまいました」

「私もよく知らないわ。それじゃあ、解説をお願い」

「はい、分かりました。ざっくり言うと、離婚分割とは『婚姻期間中の厚生年金(共済年金を含む)の標準報酬を請求により分割する』というものです」

「うわぁ…もう全然分からないわ」

「ですよね~。それでは小分けにしてお話していきますね」

年金の多い方から少ない方へ分け与える

「離婚分割の制度は複雑なので、ここからはざっくりとしたイメージでお伝えします。また、細かい例外もあるのですが、今回はそれも省略しています」

「おおっ! ラボ子さん、的確なツッコミどうもありがとうございます。さて、離婚分割のイメージを簡単にお伝えすると『年金の多い方から少ない方へ分け与える』ということです。一般的には元夫の方が年金は多いでしょうから、元夫から元妻へ年金を分け与える、という感じになります」

「なるほど。じゃあ元夫からガッポリもらわないとね!」

「残念ながらガッポリとはなりません。按分割合は最大で50%と法律で決まっているからです」

「言葉が難しいけど、元夫の年金全部の50%ということよね?」

「いいえ、違います。元夫の年金全部の50%ではありません。分割対象は『婚姻期間中の厚生年金(共済年金含む)』です。以下に長年連れ添った夫婦で、按分割合を50%とした場合のイメージ図を載せておきます」

離婚前と離婚後の受給できる年金総額のイメージ図

※妻は専業主婦の期間が長かったものとする
※グラフはあくまでもイメージです

「ちょっとアンタ! 年金は半分ずつになっていないじゃない。グラフが間違ってるんじゃないの?」

そう言って、ラボ子さんは筆者のネクタイを引っ張りました。

「ぐえぇ。ちょっと落ち着いてください。グラフは年金『総額』とありますでしょ?つまり、もとからある妻の年金+分割して分けてもらった年金の合計、という感じにしているのです」

「離婚分割してもあまり年金が増えていない感じがするんですけど…」

「実はそうなんです! 『離婚分割をしても期待したほど年金は増えない』と思っておいた方がよいでしょう。実務でも『こんな少ない金額じゃ生活できない』と言われてしまうことも多いです」

「世の中そんなに甘くないのね」

離婚分割できる人、できない人

「ちょっと気になったんだけど、離婚分割は誰でもできるものなの?」

「いいえ。誰でもできるわけではありません。離婚分割の制度が始まったのは2007年4月1日です(3号分割は2008年4月1日に施行)。なので、2007年4月1日前に離婚した人たちはそもそも離婚分割ができません」

「じゃあ2007年4月以降に離婚した人なら、今からさかのぼって離婚分割の手続きが出来るのかしら?」

「残念ながらさかのぼりにも限界があります。なぜなら離婚分割の時効は2年だからです。具体的には『離婚をした日の翌日から2年を経過すると離婚分割の手続きが出来なくなる』というものです」

「離婚したら早めに続きした方がよさそうね。その他にも離婚分割できない人はいるのかしら?」

「はい、います。『婚姻期間中ずっと夫婦ともに国民年金だけに加入だった』という場合も離婚分割は出来ません。なぜなら分割対象は厚生年金(共済年金含む)だからです。国民年金にだけ加入する人とは、例えば、無職、自営業、フリーランサー、アルバイトやパートなどの人達です」

「ふ~ん、そうなのね。離婚分割の相談や手続きはどこでするのかしら?」

「年金事務所になります。ちなみに住所地の年金事務所以外でも大丈夫です。離婚分割をしようとする場合は、原則として『離婚前に1回、離婚後に1回、相談と手続きをする』ということになります。具体的には…」

「ちょっとストッ~プ! もうページが足りないわ。その話は次回にお願い」

「そうですね。それでは次回もよろしくお願いします」

まとめ

離婚後に年金事務所で手続きをすることにより、離婚分割をすることができます。
離婚分割をすると、年金の多い方から少ない方へ年金の一部を分けてもらうので、分けてもらった方は年金が増えることになります。
ただし、離婚分割をするためには条件を満たす必要があります。離婚分割を検討する場合は、離婚前に年金事務所で相談をするようにしましょう。

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浜田裕也

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。社会保険労務士会の業務委託で年金相談の実務にも携わるようになり、その相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請の仕方のアドバイスには定評がある。著書に「日本でいちばん簡単な年金の本」(洋泉社 第3章監修)、「転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話」(SB新書 監修)がある。

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