知ってる?「iDeCo(イデコ)」は、60歳前でも受け取れる!

黒田尚子

2020.03.11.(水)

個人型確定拠出年金(以下、iDeCo(イデコ))は、加入者自らが毎月、掛金を積み立てて運用し、自分の老後資金を準備する制度です。

iDeCoのメリットは、なんといっても税制優遇が受けられること。毎月の掛金は全額が所得控除の対象になり、運用によって得られた収益は非課税。受け取り時の老齢給付金(年金)も雑所得として公的年金等控除の対象になるなど、有利に自分年金づくりができるしくみです。

その一方で、原則60歳まで引き出しができません。また、加入期間が合計10年に満たなければ、60歳になっても加入期間の合計が10年になるまでお金が引き出せないのもデメリットといえます。

しかし、実は、60歳前でも受け取れる場合があることをご存じでしょうか?

iDeCoは60歳前でも受け取れる給付もある!

iDeCoは、将来の老後資金のための制度というイメージが強いので、受け取れるのはまだまだ先…と思っている人が多いようです。

私的年金とはいえ、iDeCoは、国が定めた確定拠出年金法に基づいた制度です。公的年金が「老齢」「遺族」「障害」という3つの支給事由に基づいて給付が行われるように、iDeCoも、原則60歳から受給できる「老齢給付金」以外に、一定の障害状態が残った場合に受給できる「障害給付金」や死亡した場合に遺族が受給できる「死亡一時金」などの制度があります。

もちろん、これらの要件を満たさなければなりませんが、該当すれば、60歳前でも積み立てたお金を引き出すことができるというわけです。

障害給付金が受け取れる場合とは?

まず、障害給付金は、70歳に到達する前に傷病によって、一定以上の障害状態になった加入者等が、傷病になって一定期間(1年6ヶ月)を経過した場合に受け取れます。

ここでいう「一定以上の障害状態」とは、以下の状態のこと。

・障害基礎年金の受給者であること(1級および2級)
・身体障害者手帳(1級~3級)の交付を受けている
・療育手帳(最重度、重度)の交付を受けている
・精神障害者保健福祉手帳(1級および2級)の交付を受けている

これらに該当する場合は「裁定請求」を行い、認められれば、5年以上20年以下の有期年金 (規約の規定により一時金の選択も可)が受け取れます。ただし受給権者が障害年金の受給権を取得した日において60歳未満の場合は、20年にその受給権を取得した日の属する月の翌月から受給権者が60歳に達する月までの期間が、加算されます。

なお、老齢給付金と異なり、障害給付金は、受け取り時点での年齢や加入年数等は問われません。

60歳より前に死亡したら積み立てた全額を遺族が受け取れる!

また、iDeCoには、死亡した場合の給付金もあります。

基本的に、iDeCo口座にある資産は、すべて運用した加入者のもの。したがって、60歳以前に死亡した場合、遺族がその全てを「死亡一時金」として受け取れるのです。

公的年金の遺族年金は、加入している年金制度や子ども・配偶者の有無などによって金額が異なりますが、iDeCoは全額受け取れる点が大きく違います。

ただし、受け取れる金額は、加入者が死亡した日の時価ではなく、所定の日に売却され、現金化された金額での受け取りになります。

さらに、受取人も指定できます。受取人の範囲は「配偶者(事実婚も含む)、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹」となっており、この中からあらかじめ受け取ってほしい人を選ぶことが可能。指定していなければ、法令で定められた順位の通りになります。

退職後、企業型確定拠出年金からiDeCoに移管する場合はお早めに

勤務先で、企業型確定拠出年金に加入しており、会社を退職して、iDeCoに移管する場合、移換手続きの期限は、資格を喪失した月の翌月から起算して6ヶ月以内です。
もし、この期限内に移換等の手続きをしなかった場合、積み立てた年金資産は国民年金基金連合会に自動的に移換されます。

「それじゃあ、うっかり手続きしなくても安心ね」と思わないこと!

自動移管の場合、現金の状態で管理されることになり、運用はされません。それでも、管理手数料はしっかり差し引かれますので、残高が減るばかり。しかも、自動移換中は、老齢給付金を受け取るための加入者期間に算入されず、受給開始の時期が遅くなる可能性もあるのです。

何事も、手続きは早めに済ませ、くれぐれも忘れないよう注意しましょう。

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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