今こそ株式市場に参加することに意味がある

渋谷 豊

2020.02.20.(木)

2020年は1月の中東情勢から始まり想定外の新型肺炎の拡大で株式市場は大きく動いています。このような荒れ相場は避けるべきだと意見も正しいのですが、今こそ勇気を持って参加すると投資家として大切な力を身を持って体験身することができます。

ブレるコメントをみて我が振り直せ

1月下旬のある日、日経平均が大幅に下落しました。後場の最中に経済ニュースをみていると、いつも舌鋒鋭い株式コメンテーターが少し悩んだ雰囲気で番組に登場しました。実際は悩んでいたかは分かりませんが、相場がこれだけ動いていましたから少なくともそのように私には見えました。さて、番組が進みMCから今後の見通しと株価の下値について話を振られたこのコメンテーターは不思議なコメントをはじめました。
まとめると以下の通りです。

1つ目が、SARSのときの終息宣言と今回の事象を比較していました。2003年はSARS拡大から終息宣言まで約4ヶ月かかりました。だから今回の新型肺炎も4ヶ月を目処にすればいいのではないでしょうかとコメント。

2つ目は、日経平均の下値目処について。下値目処は3つあり、2019年11月の安値22,720円、2つ目が一目均衡表より22,560円、最後は200日移動平均線の22,100円。投資家は今後この3つを底値の目安に考えて粛々と買い進めると良いでしょう。

3つ目は、原油価格の動向。原油価格動向は景気の先行指標になります。現在、年初より下落トレンドが続いています。そのため今後原油価格の下落が止まることが大事です。動向を注視しつつ判断していきましょう。
このようなコメントでした。これを聞いて、そうなんだなぁと思う人もいるかもしれませんが、やはり私は聞き逃すことができません。

一体、我々このアドバイスで何を判断し行動すればいいのでしょうか。何も行動に起こせないと思います。仮にこのアドバイスが過去の事例で時間軸を説明するのであれば、終息宣言の背景や、守られたサポートラインはどうだったのか、下げ幅はどの程度だったかなどの説明は最低限必要でしょう。また、原油価格の下落トレンドの話をするのであれば、何をきっかけに反転するのかなど説明が必要です。さらに、それに取って付けたような3つのサポートラインです。しかも、どこでサポートされるかは全くコメントをしていません。このように、いつも明快なコメンテーターですら方向感を見いだせていないと、いま拾える材料でブレブレの適当な分析をせざるを得なくなるということです。後日談ですが、翌週は短期筋の買い戻して日経平均は大幅上昇しました。案の定そのコメンテーターはさらにブレた内容の話をしていました。とても見ていて厳しいなぁと感じました。

さて、私たちも同じようなことをしている可能性がとても高いと言えます。心に手を当てて振り返ってみましょう。例えば、いつもテクニカル分析のみで語る人が、突然、「新型肺炎はGDPに対して影響が大きいからサポートラインなど通用しない」とか、「1−3月期の企業業績には新型肺炎の影響が織り込まれていないから業績見通しはコンセンサスに対して下振れする」など急にファンダメンタルズを語りだしたりします。逆に、いつもはファンダメンタルズのみで分析している人が、「200日移動平均を割ると明確なサポートラインがないので底が見えない」など急にテクニカル分析に助けを求めたりします。投資スタンスがブレている証拠です。

このように分析をミックスするような事自体が悪いわけではありません。戦略的にミックスした分析を行うことは常套手段です。しかし問題なのは、急変した外部環境により分析手法がごちゃまぜになって混乱しているのか、それとも、戦略的に自ら分析方法を変更し対応しているのか、この違いがとても大切なのです。経験豊富な投資家ですら相場が急変した場合は戦略がブレることがあります。そして狼狽売りや、安易なナンピン買い、水準感だけで売り仕掛けなどをしたります。このように「ブレる投資家」は、今回のような短期間で上下動を繰り返す消耗戦では必ず離脱していきます。

現在、ポジションを持っている投資家はノーポジションの投資家よりも色々な情報を必死で収集しているかと思います。そして、プロがブレているような映像やコメントを目の当たりにすることも多いのではないかと思います。その際に、「プロでもブレる。今こそ冷静に我が振り直せ」と自分に言い聞かせて自分を振り返ることが大切だと思います。ここに気づくことができることこそが、今の難しい相場に参加しているからこその大切な収穫なのです。意味がない投資には必ず負けが付いてきます。ブレた投資にも必ず負けが付いてくるので注意しましょう。

今こそリスク管理の大切さが本当に分かる瞬間

今年に入りたった40日程度でいくつもテーマが相場を大きく動かし、その度に投資家は何回も心境の変化を感じたのではないでしょうか。そして多くの投資家がこの消耗戦で傷を負った人のではないかと思います。しかし、このように短期間でトレンド変わるときだからこそ理解できることがあります。それがリスク管理ではないかと思います。
投資本で勉強をしたことがある人はだれもが、「リスク管理が大切だ」「生き残る投資家はリスク管理がうまい」「トレーディングで成功するか否かは、いかに損失をコントローするかによって決まる」のような文を読んだことがあるでのはないかと思います。しかし、実際に相場で痛い目を経験するまでは、その重要性は理解しつつも、どこか他人事のように感じてしまうものです。また、2013年から長年続く上昇トレンドに慣れ親しんだ投資家は、「損切りしたら結局損した」「ナンピンすればいつも良い結果に結びついた」という思っている人が多く、「リスク管理」は説教じみていると煙たがれがちです。

今回この40日間、フルに株式市場に参加していた人はとても良い経験をできたのではないかと思います。まずは、週を越えたポジションは怖いと感じたはずです。今年に入りNY市場は金曜日に大幅な下落をする確率が高くなっています。それは新型肺炎の中心地である週明けのアジア市場の影響を避けるためのポジション調整が原因です。思惑主導の相場では、猫の目のように攻守が入れ替わります。今回、週明けのポジションは大きく損益が出ることを実体験できたのではないかと思います。2つ目は、上げ下げの理由は後付に過ぎず、相場観にこだわりすぎる大きく負けるということ。

今回、新型肺炎の拡大が実体経済に大きなマイナスの影響があることは明らかです。しかし、その影響を超える材料が事実でなくても、思惑だけで相場を反転させることがあるということを経験できたのではないかと思います。今回、新型肺炎のマイナス要因で大きく下げた相場を押し返したのは、経済の減速を受けて中国の財政出動・金融緩和、米国の追加金融緩和が行われるのではないかという、ただの「思惑」でした。
週超えのポジションの怖さ、思惑で大きく動く相場を経験した投資家が、資産を守るためにはポジション管理とリスク管理が銘柄選びや相場見通しを当てることよりもパフォーマンスに大きな影響を与えることを実感できたのではないかと思います。今回、その経験を積めたことは、いずれ必ず訪れる大きな相場転換局面で必ずその経験が活かせ大きなリターンの源泉になるのではないかと思います。

個人投資家は、「休むも相場」という素晴らしい武器を持っています。一方で、あえて難しい相場に参加することで投資家のレベルを上げることで将来のリターンの糧にすることもできます。また、どうせ経験を積むのであれば、「金融相場」の下支えがある環境で行うほうが下値のリスクは低いと思います。経験を重視して傷が深くなることは本末転倒です。あくまでも少ないポジションと良い環境のもとでトライすることを忘れないでください。

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渋谷 豊

ファイナンシャルアカデミー総研代表 、ファイナンシャルアカデミー取締役
シティバンク、ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門で約13年に渡り富裕層向けサービスを経験し、独立系の資産運用会社で約2年間、資産運用業務に携わる。現在は、ファイナンシャルアカデミーで取締役を務める傍ら、富裕層向けサービスと海外勤務の経験などを活かした、グルーバル経済に関する分析・情報の発信や様々なコンサルティング・アドバイスを行っている。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
ファイナンシャルアカデミーグループ総研 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/

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