新型肺炎への恐怖はまだ続く?下がれば積極的に買いたい日本株

トウシル

2020.02.19.(水)

※この記事は2020年2月17日にトウシルサイトで公開されたものです。

米国株は強いが、日経平均は上値重い

先週の日経平均株価は1週間で140円下がり、2万3,687円となりました。中国の武漢市で発生した新型肺炎が中国景気を悪化させ、日本の景気・企業業績にも悪影響を及ぼす懸念から、戻り売り優勢の展開となりました。

新型肺炎の感染者は16日には、世界で6万9,000人、死者は1,669人に増加しています。現時点までの数字から推定すると、致死率は2~3%と考えられます。2014年に大流行したエボラ出血熱(致死率40~50%)、2002~2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)(致死率10%)に比べると、致死率は低いことがわかってきています。

日経平均日足:2019年10月1日~2020年2月14日

出所:楽天証券経済研究所

昨年10月以降の日経平均の動きを、簡単に振り返ります。10~12月は、世界景気回復期待から、日経平均の上昇が加速しました。

1月に入り、米・イラン開戦の不安が高まり、世界株安となる中、日経平均も売られました。ただし、米・イランともさらなる緊張の高まりを望まないことがわかると、世界的に株が反発し、日経平均も反発しました。ところが、1月後半から、新型肺炎の不安から世界株安となり、日経平均は再度、急落しました。

2月の最初の週は、世界的に株が反発し、日経平均も急反発しました。新型肺炎の感染者・死者とも想定以上のピッチで拡大しています。それでも、欧米株式市場では早々と「新型肺炎の終息」を織り込む動きが始まっている可能性があります。

先週(2月10~14日)は、日経平均の上値が再び、重くなりました。欧米株式市場では、新型肺炎のマイナス影響を懸念した売りは減りつつありますが、日本の株式市場では、新型肺炎を懸念した売りがまだ続いている模様です。

日本は、中国と地理的にも経済的にもつながりが深いので、新型肺炎による景気・企業業績へのマイナス影響が大きくなることが警戒されています。

日本へのマイナス影響として、特に警戒されているのは、以下2点です。

【1】日本の観光業への影響

中国からの団体旅行のキャンセルによって、1月から訪日外国人観光客の数が大きく減っています。外国人観光客の増加に支えられてきた日本の観光業に大きなダメージとなっています。株式市場では、いわゆるインバウンド関連株(訪日外国人観光客の消費で恩恵を受ける株)が売られています。

【2】日本の製造業への影響、特に自動車関連

春節休暇(1月24日~2月2日)明けの中国で、いまだに人の行き来が厳しく制限され、操業を再開できない工場が多いことから、中国とサプライチェーンでつながった世界中の製造業に悪影響が及ぶ懸念が強まっています。

特に、日本の製造業、中でも自動車産業への影響は大きくなる可能性があります

新型肺炎への「株式市場での恐怖」はピークアウトが近いと判断

この連載で繰り返し書いている通り、新型ウイルスに対する株式市場の恐怖は、現実の脅威が終息するより半年以上早く終息します。今から半年後に、新型肺炎の治療法や予防法が明確になり、感染拡大が鈍化していると仮定すると、株式市場での恐怖はそろそろ終息するタイミングに入っています。

NYダウ平均株価や米ナスダック株価指数は、2月に入り、史上最高値を更新し、はやばやと「新型肺炎終息」を織り込む動きが始まっています。

ところが、日本は中国との経済的つながりが深いので、日経平均にはまだ新型肺炎への不安から売りが出やすくなっています。

ただ、その日本株市場でも、「新型肺炎への恐怖」は1カ月以内に終息すると、私は予想しています。誤解なきように申し上げますが、私が話をしているのは、「株式市場での恐怖の終息」についてだけです。現実の脅威は、もっと長引くでしょう。引き続き、厳重な警戒が必要なのは、言うまでもありません。

それでも、日本株式市場での恐怖は、1カ月以内に終息すると見ています。今週、新型肺炎への不安で、日経平均が売られる局面があれば、そこは買い場になると判断しています。

米国でインフルエンザの死者が1万2,000人を超える。それでも強い米国株

武漢発の新型肺炎の死者が1,669人まで増加したことに注目が集まっていますが、米国ではインフルエンザでもっと大きな被害が出ています。CDC(米疫病対策センター)の発表によると、2019~2020年のインフルエンザシーズンで、インフルエンザの感染者が米国では2,200万人、死者は1万2,000人に達しています。単純に死者数だけ比較すると、米国のインフルエンザは、武漢発の新型肺炎の7倍です。

それでも、インフルエンザの猛威によって、米国経済や米国株が深刻なダメージを受けることは、今のところありません。なぜでしょう? それは、致死率の差と、社会構造の差によります。まず、致死率に以下のような差があります。

ウイルス病の致死率比較

出所:各種資料より楽天証券経済研究所が作成

米国のインフルエンザは、感染者数・死者数は武漢発の新型肺炎よりもはるかに多いが、それでも致死率は0.05%程度と、相対的に低くなっています。一般のインフルエンザよりやや高い程度で、「恐怖で外出する人がいなくなる」「経済活動が阻害される」というほどの影響が出ません。

米国では毎年1万人以上が、インフルエンザで死亡しています。2017~2018年のインフルエンザシーズンでは、6万人を超える死者が出たこともありました。貧富の差が大きく、病気になっても医者にかかることができない人が多数いることが社会的な背景にあります。日本のような公的医療保険がないことが、問題となっています。

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【前回の記事はこちら】
「順張り」と「逆張り」チャンスのパターンとその理由

<この記事の著者プロフィール>

【窪田真之】
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト
1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。住友銀行、住銀バンカース投資顧問、大和住銀投信投資顧問を経て2014年より現職。日本株ファンドマネージャー歴25年、1000億円以上の大規模運用で好実績をあげたスペシャリスト。

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