地震保険の付帯率や料率から地域特性を知る

松浦 建二

2020.02.05.(水)

日本は地震大国であり、どこに住んでも地震を避けることはできません。その為、大きな地震が起きたときに経済的負担を減らせられるよう、多くの人が地震保険に加入しています。しかし、地震保険への加入状況は地域によってかなり異なります。マイホームであっても投資用不動産であっても保険料を払って加入するなら、地域による違いも確認しておきたいところです。地震保険の付帯率の推移や料率を調べてみました。

宮城県は地震保険の付帯率が全国一!

まずは地震保険の付帯率を損害保険料率算出機構から都道府県別に調べてみました。地震保険は火災保険に付帯する保険で、火災保険だけでは補償されない地震・噴火やこれらによる津波を原因とする損害を補償してもらえます。付帯率は火災保険(住宅物件)契約件数のうち、地震保険を付帯している件数の割合を表しています。2001年度から5年毎と直近2年の付帯率、および2018年度の付帯率が2001年度に対してどのくらい増えているかを一覧表にしてみました。

資料:損害保険料率算出機構

地震保険の付帯率の全国平均は65.2%で、2018年度に初めて全都道府県で付帯率が50%を超えました。都道府県別に確認すると、2018年度で最も高いのが宮城県の86.8%、最も低いのが長崎県の50.1%となっています。2001年度時点では全国平均が33.5%と2018年度の半分程度しかなく、最も高い高知県(49.8%)から最も低い佐賀県(15.1%)まですべての都道府県で付帯率が50%を超えていませんでした。

付帯率が長期的に上昇している要因の一つとして、2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震の影響があり、宮城県では2010年度(2011年3月末)の68.7%が2011年度(2012年3月末)には81.1%へ大きく上昇しています。この年度から高知県に代わって宮城県が全国一の付帯率となっています。

地震保険の料率は都道府県によって3倍以上の差がある

次に地震保険の保険料率を確認してみました。地震保険は法律に基づいて政府と損害保険会社が共同で運営しているので、どの損害保険会社で加入しても保険料率は基本的に同一となっています。しかし、地震発生リスクに応じて都道府県ごとに保険料率は異なり、建物の損壊リスクに応じて構造によっても保険料率が異なります。各都道府県および構造ごとの保険料率を一覧表にしてみました。

資料:損害保険料率算出機構

構造はイ構造(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物等)とロ構造(イ構造以外)に分かれています。地域による区分は1~3等地まで3区分あり、さらにそれぞれの区分で料率が異なるため、47都道府県は11の料率区分に分かれています。表では区分ごとに色分けしてあります。表の料率は保険期間1年、保険金額1,000円あたりになっているので、例えば、東京都のイ構造で地震保険金額を1000万円に設定すると保険料は年25,000円になり、ロ構造だと38,900円になります。

都道府県による違いをみると、最も料率が高いのは千葉県・東京都・神奈川県・静岡県で、巨大地震が想定されている南海トラフ沿いの太平洋側や首都直下地震が想定されている地域と一致しています。その他にも茨城県・埼玉県・徳島県・高知県等、関東地方や太平洋側の県が高めに設定されています。これらの地域は地震保険への加入を含めて、万全な備えをしておいてほしいものです。

一方で、最も料率が低いのは岩手県や秋田県等の20県で、2007年の能登半島地震、2011年の東北地方太平洋沖地震、2016年の熊本地震で被害の大きかった石川県・岩手県・熊本県等も含まれています。地震発生リスクが低い地域でも備えは必要ということでしょう。長崎県と佐賀県は保険料率と付帯率の低さが見事に一致しています。

南海トラフ等からは比較的離れているからでしょうが、長崎市等は斜面にも住宅が多く建っているので、大きな地震が起きてしまった時の被害がとても心配です。全国的には保険料率が高いから付帯率が低いということや、保険料率が低いから付帯率が高いということはなさそうです。

地震保険で付けられる保険金額は火災保険の50%までなので、もし被災してしまったときは、地震保険の保険金だけで建物を再建することは難しいです。地震保険はあくまで被害者の生活の安定に寄与することを目的としているからです。

マイホームであれば、再建するか他で住む場所を確保する必要があります。投資用不動産であれば、再建しないと家賃が入ってきません。共に借り入れをしていれば返済は継続します。そのため、地震保険に加入しただけでは安心できる十分な備えとは言えず、他の手段でも備えておくことがのぞましいです。

1,000万円の差がつく、賢い保険の入り方とは

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松浦 建二

CFP®認定者・1級ファイナンシャル・プランニング技能士。青山学院大学卒、大手住宅メーカーで戸建てやアパートの営業を経験後、外資系生命保険会社へ転職し生命保険と投資信託の営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する執筆や講演も多数おこなっている。青山学院大学非常勤講師。http://www.ifp.cc/

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