新型肺炎への不安で世界株安に。日本株は買い場?

トウシル

2020.01.29.(水)

※この記事は2020年1月27日にトウシルサイトで公開されたものです。

1月に入り、波乱続き

米イラン対立への不安が去ったら、次は新型肺炎の不安

先週の日経平均株価は1週間で214円下落し、2万3,827円となりました。中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大に対する不安から、中国および世界景気が悪化する不安が生じ、世界的に株が売られました。その流れで、日経平均も外国人と見られる売りが増加しました。

中国保険当局の発表によると、新型肺炎の感染者は25日、中国国内で1,975人に、死者は56人にまで拡大しました。日本を含む中国以外の13の国や地域でも、感染者が見つかり、世界全体で感染者は2,000人を超えた模様です。

米国内でも先週、2人目の感染者が見つかりました。NYダウは、感染拡大への不安から、先週は4日続落となりました。

日経平均日足:2019年10月1日~2020年1月24日

昨年10月以降の日経平均の動きを、簡単に振り返ります。昨年10月から、日経平均は上昇が加速しています。米中対立の一時緩和、世界景気回復期待から、世界的に株が上昇した流れから、日本株にも外国人の買いが増加しました。

ただし、10~12月の世界景気は不振でした。中国中心に、製造業の景況が世界的に悪化。中国と経済的つながりが深い日本、ドイツ、東南アジアの景気も悪化しつつありました。
先行き回復期待があるものの、まだ景気が悪い中で株高のピッチが速いことに、やや不安が生じていました。そうした中、12月後半から「目先はスピード調整が必要」とのムードが広がり、日経平均の上値は重くなっていきました。

1月に入り、3日に米国がイランの革命防衛隊司令官を空爆で殺害し、8日にイランが報復として米軍基地にミサイル攻撃をしかけると、米・イラン開戦危機が高まったと不安が広がり、世界的に株が急落しました。ところが、米・イランともこれ以上の緊張の高まりを望まないことがわかると、すぐに株は急反発。15日に、米中が通商交渉で「第一段階合意」に署名したことも好感されました。

ところが、先週になって再び世界的に株が売られました。新型肺炎への不安が売り材料となりました。新型肺炎が、中国景気を悪化させ、米景気にも悪影響を及ぼすと不安が広がったことによります。

新型肺炎で世界景気は悪化するか、世界の株はどこまで売られるか?

中国は春節(旧正月)と呼ばれる大型連休が24日から始まっています(30日まで→2月2日まで延長)。
春節の間、例年は中国では、中国国内および海外への旅行者が増加し、消費が盛り上がります。人気の旅行先は、タイ、日本などです。日本にとって、インバウンド消費(訪日外国人による消費支出)を獲得する重要なタイミングでもあります。

ところが、新型肺炎の影響で、今年は中国の春節消費が低調になる懸念が出ています。中国の景気動向を見る上で、春節の消費はきわめて重要です。景気失速懸念が強まっている中国で、春節消費が不振となれば、景気の持ち直しに悪影響が出ます。

日本にとっては、インバウンド需要が低下する懸念が出ています。その不安で消費関連株が売られています。日本だけでなく、新型肺炎の感染者が出ている、欧米各国でも、肺炎への恐怖で外出を控えるムードが広がれば、消費の停滞、景気悪化につながるリスクもあります。

新型肺炎の、世界景気・世界株式への影響は、どこまで拡大するのでしょうか?私は、仮に新型肺炎の影響で世界景気が悪化するとしても一時的と考えています。したがって、新型肺炎への不安で世界的に株が売られたところは、買い場になると予想しています。

それ以上に重要なのは、米中対立がどこまで緩和するか、これから5G(第5世代移動体通信)・半導体への投資は世界的にどれくらい盛り上がるかを見極める方が重要になると考えています。ただし、短期的には楽観は禁物です。世界的に感染者数・死者数の拡大が続く間は、新型肺炎の不安で、世界的に株を売る動きが続く可能性もあります。

2014年エボラ出血熱への恐怖で世界株安が起こった時の経験

23日のレポートに、エボラ出血熱(当時の呼び名:現在は「エボラウイルス病」)への恐怖で世界的に株が売られた2014年10月の経験を書きました。参考にしていただきたいので、ここに再掲します。

2014年1~12月の日経平均の動き

この年の日経平均は、1~4月まで、消費増税後の景気停滞などを織り込んで下落しました。ただし、年後半は、景気停滞からの回復を織り込みつつ、日経平均は上昇しました。

ところが、年後半、10月に日経平均は一時急落しています。エボラ出血熱が世界に拡大する不安、世界景気が悪化する不安などから、世界的に株が急落し、日本株にも外国人投資家の売りが増えました。ただし、10月の下落は一時的でした。景気回復が続いたこと、日銀が大規模な追加金融緩和を発表したことなどを受けて、11月には世界的に株が急上昇、日経平均も外国人による買い戻しで急騰しました。

エボラ出血熱は毒性が強く、感染して早期治療しないと致死率の高い疾患です。2014年6月より西アフリカで大流行し、欧州・米国でも感染者が出ました。エボラ出血熱への 恐怖から、欧米で一時外出を控える動きが広がり、それが世界的な景気悪化につながるとの懸念も出ました。

日本では感染者は見つかりませんでしたが、日本でもエボラ出血熱への恐怖が広がっていました。「もし日本で感染者が出れば、日本の消費がさらに落ち込み、日経平均は1,000円以上下がる」という人もいました。

アフリカで多数の死者が出たエボラ出血熱ですが、恐怖のピークは2014年10月でした。その後、感染防止策の徹底や、治療薬の開発が進み、感染は徐々に終息に向かいました。後から振り返れば、エボラ出血熱が、世界全体の景気に与えた影響は限定的でした。

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【前回の記事はこちら】
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<この記事の著者プロフィール>

【窪田真之】
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト
1984年、慶應義塾大学経済学部卒業。住友銀行、住銀バンカース投資顧問、大和住銀投信投資顧問を経て2014年より現職。日本株ファンドマネージャー歴25年、1000億円以上の大規模運用で好実績をあげたスペシャリスト。

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