働き方改革って、結局どういう制度なの? 弁護士に訊きました

大山滋郎

2019.11.28.(木)

働き方改革法案が、いよいよ施行されるとなって、世間でも話題になってきている。これまでと違った、多様で自由な働き方が出来るなどと言われているが、内容が今一つ分からない人の方が多数派に思える。そこで、企業の立場から多数の労働問題を扱ってきて、弁護士に、働き方改革法をどのように理解すればよいのか、説明をお願いしてみた。

【ある30代男性より質問】
働き方改革という言葉をよく耳にします。少し前には、副業が自由にできるんだといったように聞いていました。自由に副業が出来たら収入も増えていいなと期待していたのですが、最近は副業の話などほとんど聞かなくなりました。その代わり、残業時間や有休の話がなど、耳に入ってきます。それがなぜ、「働き方改革」であり、自由な働き方の問題なのか、よく分かりません。
働き方改革というのは、どのように理解すればよいのか教えてください。

お題目があるから分かり難い

今回の「改革」は、「自由で多様な働き方」を実現するものだなんて、厚生労働省は宣伝しています。そういうお題目が、改革の内容への理解を妨げているんですね。
「働き方改革」なるものは、「自由」も「多様」も99%関係ありません。この「改革」は、これまでの労働法の規定の延長にあるものに過ぎません。つまりは、「労働者の保護」政策ということです。

二種類の「労働者保護」

今回の「改革」は、2種類の労働者保護政策の組み合わせです。これらは、数年前から、継続的に行われてきた政策にすぎないのですね。
1つ目は、正規社員の労働時間制限に関する法律です。例えば残業時間の制限とか、有給休暇の強制取得だとか、割増賃金の引き上げといった内容です。
もう1つは、非正規社員の労働条件を、正規社員に近づけるための法律です。こちらは、同一労働同一賃金ということで、非正規労働者を守るための精度になります。

なぜお題目が出て来るのか?

「それなら初めからそう言ってくれよ! とても分かり難いじゃん」と言いたくなりますよね。ただ、役所の政策では、こういうことはよくあるんです。
もともと働き方改革は、安倍首相の旗振りで始まりました。そのときには、安倍さんの頭の中には「自由で多様な働き方」の考えがあったはずです。だから、「副業解禁」なんてことも、表に出てきていたのです。(最近は、すっかり影が薄くなっています。)

しかし、政策実現のために話が役人の手に渡ると、事実上変容していきます。副業解禁は事実上なくなりましたし、フレックスの拡充や高度プロフェッショナル制度など本当におまけみたいなものです。
最終的には、これまで役所が勧めていた「労働者保護政策」という内容に、「自由で多様な働き方」というお題目だけがくっついた、分かり難い法案になっているのです。

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大山滋郎

横浜パートナー法律事務所代表弁護士(日本・ニューヨーク州弁護士)。日本企業に14年勤務した経験をもとに、会社の常識、一般人の見地で弁護士業務を行う。自らリスクをとる投資者の立場で不動産投資も積極的に行っている。月2回のメルマガ「企業の常識・弁護士の非常識」でも情報発信中。近著の「経営者の法律知識」はアマゾン音初心者向け法律書で売上1位。http://www.ypartner.com

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