会社員を辞めて個人で起業すると変わる社会保障について

高橋禎美

2019.11.16.(土)

「人生100年時代」という言葉をいろいろな場面で目にするようになり、長い人生について想いをめぐらせる方が増えていると思います。年金問題の2,000万円不足発言など、収入の不安が取り沙汰されていることもそうですが、「人生が長くなったならば、どう生きるのか」定年後の仕事をどうしていくかということも大きな問題になっています。

働く環境が大きく変わってきている

その1つとして、起業されるという選択をされる方も多いようです。経団連では終身雇用は持ちこたえることができないとのコメントがありましたし、政府は働き方改革として、高齢者の就業を推進するとともに、柔軟な雇用を促すために副業を推進しています。

これらを受けて副業が認められる企業も増えています。働く環境は明らかに変わっています。会社員はひとつの企業で定年までご奉公する、といったことは昔のことで、いまはいかに自分の市場価値を高めていくのか、が大事な時代に変わってきているようです。個の時代と言われていますが、得意なことが好きなことが自分の価値を高め仕事に結びつくことが現実になっている、ある意味自由で開けた時代になっていくのでしょう。

個人で事業をするということ

個人で起業をする選択が増えている背景には、好きなこと、得意なことが仕事にしやすくなったことと、定年がないことが要因であると思います。現状は定年が65歳という企業ばかりではありません。しかも60歳で雇用延長として再契約を結ぶことができたとしても給与は3~5掛けになっているケースが多いようです。そしていつまで延長できるのかも不透明です。しかし、起業をして自分で事業をすることで、自分の定年を自分で決めることができるのです。

起業をする手順については、もちろん事業内容、サービス内容をしっかりときめることが前提ではありますが、手続きはとても簡単です。個人事業主としての届出は、税務署に開業届けを2枚提出するのみです。一枚は自分の控えとなりますので大事に保管してください。法人であれば登記が必要になります。会社法が改正になり、以前は株式会社を設立するために資本金が1千万円必要でしたが、今は最低金額の制限がないので、法人設立へのハードルも低くなっています。

社会保障の違い

起業したあとのことですが、会社員と大きく違うのが社会保障です。自分が手続きに戸惑った点でしたので、今回はこの部分のことを説明したいと思います。

まず、年金ですが、企業勤めのときは厚生年金に加入することになります。2階立ての保障が受けられて、月々の保険料は会社が半分負担しています。これに対して、個人事業主は国民年金に加入します。老後に支給されるのは1階部分のベースのみです(納付は100%自己負担で、年ごとに国が決めた額を納付します。1階のベースと言われる部分ですが、2019年現在で年間78万百円です。

厚生年金は収入に比例して受取額が変わるので一概にはいえませんが、平均額といわれる月15万円をベースにすると年間で180万円となります。前述の国民年金にしか加入していない人の倍以上の額で、受け取り額の差が大きいことが分かります。

健康保険と介護保険についても会社員は優遇されています。特に健康保険については会社員であれば保険料を会社が半分負担します。扶養家族にも対応します。一方で個人で起業すると国民健康保険に切り替えて加入します。これは扶養されている家族もひとりひとり加入しなければならないので、家族が自分以外に配偶者・子・子と4人だったとすると4名分の加入が必要となります。これは本当に負担が大きいところです。

余談ですが、企業を退職後、国民年金への切り替えや、加入していた企業型確定拠出年金を個人型に切り替える手続きも、あちらこちらに連絡をしてとても面倒に感じた思いがあります。マイナンバーカードがいまだに14%程度しか普及していないようですが、会社員(2号)から個人(1号)への切り替えもマイナンバーカードで情報を集約して、年金も健康保険もその他付随する手続きすべてを自動で対応できればいいのにと思います。

まとめ

会社員であることのメリット
・給与があり、月々の収入が安定(インフルエンザに罹患しても収入が減ることが無い)
・社会保障(年金、健康保険、介護保険)の納付は会社が半分負担
個人事業のメリット
・定年がない
・自分で仕事を選択できる。好きなことを仕事にできる

起業さえすれば夢のような世界が待っているわけではありません。まったく売上がないこともあるかもしれません。副業が可能であれば、まずは会社員としての収入や社会保障を享受しながら、週末起業からおすすめしたいと思います。しっかりと自問自答して自分に合う環境の中で選ぶといいですよね。

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高橋禎美

ファイナンシャルプランナー/ 一種証券外務員/ パーソナルカラーアドバイザー

大手アパレルメーカーを退職後、FPとして独立。個人FP相談や投資初心者の女性に向けた「はじめての投資」セミナーを開催中。お金とファッションに興味のある30代以上の女性に支持されている

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