悪質商法の被害を防ぐために大切な3つのこと

栗本 大介

2018.11.14.(水)

高齢者からお金を搾取する悪質商法や犯罪行為は、昔から変わることなく存在します。

平成29年のオレオレ詐欺に代表される特殊詐欺の認知件数は18,212件で、前年から28.7%、件数にして4,058件と大幅に増加しました。

ニュース等で大きく報じられ、撲滅のための様々な活動が繰り広げられているにもかかわらず、なぜ被害は増え続けるのでしょうか。

そこには、新たな手法の展開と家族間のコミュニケーションの問題があるようです。

被害者の4割は泣き寝入り

東京都が都内の老人クラブに所属する70歳以上の高齢者5,300人を対象に行った「高齢者の消費被害に関する調査」によると、回答者2,924人のうち実際に被害に遭った人は150人で、被害後の行動について、42%の人が「何もしなかった」そうです。

その理由として、「自分にも責任があると思った」とか、「大した被害ではないと思った」などが上がっていました。

私が直接お話を伺った高齢者の中にも、自分自身を責めたり、「なぜ騙されるのか?」と周りから責められたりして、誰にも言えなくなったという方がいらっしゃったように、泣き寝入りとなっている人も少なくないのでしょう。

つまり、公表されている統計以上に、実際の被害は深刻で広がっていることが想像されます。

ちなみに、特殊詐欺には「オレオレ詐欺」の他にも「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金等詐欺」があり、4つを合計した被害額は平成29年1年間で394.7億円となっています。

また、ここには含まれていないものの、出資の受け入れや未公開株等の勧誘といった利殖勧誘事犯による被害も1年間で216.8億円に上っています。

最近増えている「押し買い」とは?

先ほど紹介した東京都の調査の中で、最も多いパターンが「押し買い」でした。

「押し売り」は昔からよく耳にしますが、「押し買い」とは何でしょうか?

これは「不要品を買い取る」という名目で家に上がり込んだ業者が、「他にも何か売るモノがないか?」と切り出して、高価な貴金属等を強引に安値で買い取っていくというものです。

査定に長い時間をかけてもらったことや、不用品も一緒に引き取ってもらえるという引け目から、断ることができないケースが多いそうです。

国民生活センターによると、2016年度の相談件数は約8,700件にのぼるそうで、過去4年間で20%の増加となっています。

相談者の7割が60歳以上の高齢者であること、「終活」と称して、不用品の処分を考える人が多いこと、子どもや周りの人に迷惑をかけたくないと考え、よく吟味しないまま業者任せにしてしまうケースが多いこと、など、今後も被害の広がりが懸念されています。

巻き込まれないために大切なこと

悪質商法や犯罪が、世の中から無くなって欲しいのは当然ですが、現実問題として「ゼロ」にすることは難しいでしょう。

そうなると、少なくとも、自分や自分の周りでは絶対に被害を出さないこと、巻き込まれないこと、が大事です。

そのために大切なのは、

1.実態や手口を知ること

2.親族間でのコミュニケーションを密にすること

3.「自分は騙される」ことを前提にしておくこと

の3つだと思います。

「1」については言葉通りで、とにかくどんな手口があるのかを知り、家族間で共有しておくことが大切です。「2」についてもそのままです。振り込め詐欺のような犯罪はもちろん、点検商法や押し買いといった悪質商法についても、決断の前に相談できる相手がいれば、防げるケースが少なくありません。

特に仲が悪いわけではなくても、日ごろ会わない人には相談しにくいもので、これは親子や兄弟姉妹でも同じです。電話やメールで十分なので、日常的にコミュニケーションをとり、気軽に相談できる状態を作っておくことはとても重要です。

そして、最後の「3」も大切です。

それは「自分は騙されないと思っている」人が、被害に遭うケースが少なくないからです。

人の心理的な傾向として、「騙されているかもしれない」という仮説を立てない限り、どう検証しようと騙される要素を見逃してしまうそうです。

少し古い統計ですが、平成21年に実施された振り込め詐欺等の被害者に対する警察庁の調査を見ても、騙された全員が、振り込め詐欺等の存在を知っていたにも関わらず、被害に遭っています。

騙されることを前提にすれば、常に「これは詐欺じゃないかな?」という意識が働きますし、もっと言えば、「自宅の電話は常に留守電にしておき、登録番号以外からの電話には絶対出ない」という具体的な対策にもつながるものです。

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栗本 大介

株式会社エフピーオアシス代表取締役
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融知力普及協会認定シニアインストラクター
1971年滋賀県生まれ。立命館大学卒業後、個人的な興味から、大手資格スクール在職中の1995年にFP資格を取得。生命保険会社を経て2001年にFPとして独立。
現在は、共済団体や労働組合、金融機関、大学等を中心に年間100回を超える講演を行うほか、コミュニケーション手法を取り入れた相談実務研修の講師も行っている。18年に及ぶFP講座の講師経験を生かした資格取得のための受験対策講座にも定評があり、「国民総FP化」を目指し、FP知識の普及、啓蒙活動に力を入れている。
また、専門家プロファイルの相談員やメールマガジンの配信を行うほか、テレビやラジオでも活躍中。FPの学習法を中心とした書籍も4冊出版。日経マネーDIGITAL等の専門誌・業界紙でのコラム執筆多数。2010年「金融知識普及功績者」として金融庁と日本銀行から表彰を受けている。
http://fpoasis.jp/

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