お金の使い方で、「老いのスタート地点」を実感!?

働き盛りと高齢者の間の世代

最近、「向老期」という言葉をはじめて知りました。

美智子皇后の相談役とも言われた、精神科医の神谷美恵子氏(故人)によって提唱されたもので、働き盛り世代と高齢者世代の間に位置する世代のことを指すようです。

若い時とは違って、たとえば目も見えにくくなるし、夜更かしもきつくなる。

でも、高齢者というにはまだまだ元気で、バリバリの働き盛りの時よりは少し衰えるものの、まだまだ働く体力も気力も十分にある。そんな世代のこと。

もちろん個人差はありますが、大体50代半ばから60代半ばくらいの世代と言えるでしょうか。

「今をよりよくできる」方にお金をかける

私はまだ50代前半ですが、今年に入ってから、まさに向老期に入ったなあと実感することになりました。

なぜなら、これまでとは違う理由での想定外の出費が続いたからです。

2月の終わりに、お酒も飲んでいないのに足が前に出ず、顔から床にダイブ。前歯 4本と歯槽骨を骨折しました。

足が前に出なかった……。このことですっかり自分に自信がなくなった私は、靴はパンプスではなくコンフォートシューズに、そしてバッグは両手を使えるようにとリュックにすることにしました。

それまではトレンドなどを楽しむために選んでいたファッションアイテムが、ケガをしないために、健康のために、という理由での買い替えだなんて、なんだかひどく歳をとった気持ちになったのも正直なところです。

そして、口の中を骨折していますから、食べることにも少々不便が生じたほか、栄養をより意識せざるを得なくなり、調理器具を買い替えたり食品にいつもよりお金をかけたりすることになりました。

また、昨年思い切って遠近両用メガネにしたのですが、デスクワークではどうしても合わなくなり、中近重視タイプのメガネが必要になりました。

これまでだったら、「もう少し我慢しよう」となったと思うのですが、目の衰えは戻ることはないと、もう元には戻らないことをくよくよ考える暇があったら、「どうすれば今をよりよくできるか」だと、そちらの方に迷わずお金をかけるようになった自分を実感しました。

と、こんな具合に、衣食住にお金をかけることは同じでも、質と金額が変わってきたなあと思っていたのです。

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いずれにしても、お金か時間はかかる

そんな時に出会った「向老期」という言葉。なるほどなあと思いました。

人は、ある日突然、「老人」になるわけではありませんよね。

こうして、不具合が少しずつ生じてきて(私のようにケガをする必要はありませんが)、そうしてだんだん変化を受け入れ、自分の老化に対応していけるようになるんだと思います。

そうした「老いに向かう」スタート地点に気づくきっかけは、案外お金の使い方の変化にあるのかもしれません。

ちなみに昨日、私はバスの網棚に荷物を忘れました。こんなこと、生まれて初めてです。

次のアポイントで必要なものだったため、バスの営業所まで取りに行く羽目になりました。

往復のタクシー代3,000円ほどが余計にかかりましたが……。

こうした「余計にかかるかもしれないお金」を見込んでおくか、あるいは何かあっても対応できるように時間に余裕を持たせておくか、どちらかを用意しよう。そんな風に反省した次第です。

「注意さえすれば、もうこんな失敗はしない」とは考えない。

これも、「向老期」には必要なふるまいかな、と思っています。

【前回の記事はこちら】
「増やす」でも「節約」でもない、「お金のこと」とは?

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金子稚子(かねこ・わかこ)

終活ジャーナリスト/ライフ・ターミナル・ネットワーク代表。
雑誌・書籍の編集者や広告制作ディレクターとしての経験を生かし、誰もが必ずいつかは迎える「その時」のために、情報提供と心のサポートを行うほか、医療から墓、供養、さらには遺族ケアに至るまで、死の前後に関わるさまざまな事象や取り組み、産業などを精力的に取材。多死社会を目前に控える今、起こるであろう問題について警鐘を鳴らし、情報発信や提言を行っている。また、死別経験者として、当事者の話でありながら、単なる体験談にとどまらない人生の最終段階から臨終、さらに死後・死別後のことまでも分析的に捉えた冷静な語り口は、医療関係者、宗教関係者からも高い評価を得て、各学会や研修会にも講師として登壇。さらに、生命保険等の金融関係、葬儀関係、医療・福祉関係、医薬品などの各種団体・企業に向けてだけでなく、行政、一般向けにも研修や講演活動を行う。人々の死の捉え直しに力を入れ、真の“終活”、すなわちアクティブ・エンディングを提唱。多岐に渡るさまざまな情報提供とともに、私たち自身が自分で「いきかた」を決める必要性を訴えている。
著書に『アクティブ・エンディング〜大人の「終活」新作法〜』(河出書房新社)、『死後のプロデュース』(PHP新書)、『金子哲雄の妻の生き方〜夫を看取った500日〜』(小学館文庫)。編集制作・執筆に『親の看取り〜親が倒れてから、介護・療養・終末期のすべて〜』(e-MOOK 宝島社)等。
一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。医療法人社団ユメイン野崎クリニック顧問。厚生労働省「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」構成員。夫は、2012年10月に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄。ライフ・ターミナル・ネットワーク(http://www.ltn288.net)

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