老後の住み替え問題 ベストな時期や選ぶポイントとは

ナカセコ エミコ

2018.06.29.(金)

老後の住まいなどは、まだリアルに考えられない先の話。定年後に時間ができたらゆっくりと考えていけばいいのではと思いがちです。しかし、歳を重ねてからの引越しは、下見や試算などの準備・検討も含めて、相当な負担がかかるもの。だとしたら、少しでも早く方向性を定めておきたいものです。畠中雅子著『定年後に泣かないために、今から家計と暮らしを見直すコツってありますか?』 より、住み替えに関するポイントをご紹介します。

住み替えは生活コストの削減に効果大

老後の住まいは定年後の暮らしにとって大切なテーマであるだけに、生活コスト、家族構成、介護の必要性の差により、人によってニーズが異なります。〜中略〜

それに、広い家に住み続けていると、光熱費がかさんだり、固定資産税の負担も重いままになりがちです。また、駅から遠いからと車が手放せないご家庭もありますが、駅から徒歩圏のマンションなどに住み替えれば、車を手放すことも可能になります。<126・128ページより引用>

ファイナンシャルプランナーの著者は、老後の住まいの選択には、「今の家に住み続ける」「マンションや小さな戸建に住み替える」「高齢者施設などに住み替える」などがあるといいます。現役時代には、なかなか想像がしにくい部分もありますが、固定費である家に掛かるコストの見直しは、細かい生活費の見直しよりも効果が出やすいのだとか。

長年、住み慣れた家を離れるなんて考えたくないという人が多いのかもしれませんが、終のすみかまでの住み替えプランは、現役時代に考えておく必要があると著者はいいます。

ポイントは、現在、住んでいる家にこだわり過ぎないこと。あまりこだわり過ぎると、老後資金プランが立ち行かなくなる可能性があるようです。

介護状態にならずに最期の時を迎えるか、介護状態で迎えるかはそのときにならなければ分からない話ですが、貯蓄がなくて自分の希望する場所に住み替えられない誤算も起こりうる話です。だからこそ、住み替えプランは貯蓄が多いときに立てた方が良いのだと著者はいいます。

一口に住み替えと言っても、一戸建てから一戸建て、あるいは一戸建てからマンションなど、いろいろなパターンがあるものです。住み替えの基本的なチェックポイントは、住み替えることが家計の節約になるかどうか。その後の光熱費や交通費など、売却の損益だけではない部分もしっかりとチェックして、早めに検討しておきたいものです。

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高齢者施設への住み替えは介護の有無で大別される

高齢期に入ったら、施設などに住み替えを考える方もいるでしょう。一口に高齢者施設といっても、介護を目的に入所する介護型の他、健康な時には自立した生活を送り、介護が必要になったら施設内で介護を受けられるタイプ、介護が必要になった場合に住み替えの可能性もある住宅型など、いくつかのタイプがあります。〜146〜147ページより引用〜

高齢期の住まいは、いつのタイミングで探すのがベストなのでしょうか。

著者は、要介護状態になる前に、住み替え先の候補を自分の足で探しておくことを推奨しています。その理由として、要介護状態になってからでは「リーズナブルで評判のいい住み替え先」を見つけるのが難しいから。確かに、体の動きがスムーズなうちにいろいろな施設の見学に行っておくことは、決して早すぎることはないといえそうです。

高齢者施設は、インターネットや市役所の窓口、紹介仲介センターなどで探すことが可能。ただし、リーズナブルで評判がいいとされる住まいは、常に満室、または満室に近い状態であることが多いため、自分で努力して探さないと見つけることができない一面もあるようです。

HPや電話での確認後は、できるだけその施設に自分の足を運んで見てみることも重要ポイント。電話の対応は良くても、実際に行ってみたら職員たちがイライラしていて、入居者の話を聞いていないといった実情もあるといいます。特にチェックすべきは、「医療対応」と「看取り」。終末期までのイメージはなかなかできにくいものですが、いつかは迎える最期の時をどこでどう過ごすか、高齢期の住み替えプランの大事な項目に入れておくべきだといえそうです。

段階的な住み替えも視野に入れる

70代での住み替えは、年金生活にも慣れた頃。そして、そろそろ終のすみかを決める時期にさしかかっているのだといいます。さらに80代に入ると、身体の自由がきかなくなり、住み替えたくても実行がしづらくなるようです。

70代に入った頃は、年金生活の赤字ペースもつかめていて、自分の予算に合った住み替えの検討ができるタイミングであるといえそうです。実際に終のすみかに引っ越すのはその年代になってからにしても、段階的に住み替えプランを検討。できるだけ早く住まいのあり方やライフスタイルのあり方を試算・検討しておくことは、大事であるといえそうです。

タイトル:定年後に泣かないために、今から家計と暮らしを見直すコツってありますか?
著者:畠中雅子
発行:大和書房
定価:1,404円(税込)

【前回の記事はこちら】

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ナカセコ エミコ

(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家&ブックコーディネーター。元・銀行員であり図書館司書。現在は、女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。【女性限定】「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。https://www.filage.co/

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