定年後では遅い 早く始めるべき「生前整理」の効果とは

ナカセコ エミコ

2018.06.22.(金)

近年、メディアでも目や耳にすることが多い「生前整理」。何となく、定年後しばらくしてからゆっくりと始めれば良いのではないかという印象を受けます。しかし、あれも必要、これもまだ使うからとモノをたくさんためこんでしまい、年を重ねて身動きが取れなくなってしまってからでは遅いようです。古堅純子著『定年前にはじめる生前整理』 より、早く始めることで人生後半が大きく変わる「生前整理」の大切さをご紹介します。

「生前整理」は一刻も早く始めた方がいい

本書のテーマ「生前整理」とは、長年の間ためこんできたものを整理して、すっきり快適な第二の人生を送るためのベースをつくる、前向きな作業です。〜中略〜

しかし今は、定年してからでは遅いと感じています。私が提唱する「生前整理」は、少し前にブームになった「終活」(相続や保険などを元気なうちに整理し、人生のエンディングに備えること)とは異なるもので、モノを整理して「今この時」から「最期の時」まで、快適に生きるための整理術です。
<4〜5ページより引用>

約20年間、家事代行サービスの現場で活躍している著者は、テレビや雑誌など数々のメディアにおいて、その手腕を披露しています。個人宅だけではなく、近年では企業からの依頼でオフィスの環境改善に関わることも多いのだとか。
いろいろな家の中やオフィスに入ると、その家庭や企業が抱える問題や人間模様が見えてくるといいます。たくさんのモノが溢れて、身動きが取れないような家は、家族関係や健康面にトラブルを抱えていることもしばしば。

逆に、すっきりと片付いている家は、心身ともに健康的な住人が多いようです。著者が推奨する「生前整理」とは、とにかくモノの数を絞ること。一日も早くやっておくことで、その後の人生が片付けから解放されて、モノに煩わされることなくラクに生きることができるのだとか。

それは、定年を迎えてからではなく、できるだけ早い方が良いといいます。その理由として、元気なうちに「生前整理」をやってきた人は、やってこなかった人と比べて、その生きざまに違いが出るのだというのです。モノの整理は、そのうちにと先延ばしにすることなく、50代になったら少しでも手をつけていくことが、より良い今、そして老後を迎えられるといえそうです。

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「定年後うつ」の予防につながる「生前整理」

中高年世代の人たちで、モノを片づけられない一番の元凶は、マインドの問題です。とくに、定年後に訪れやすい「定年後うつ」は、片づけられなくなる原因のひとつです。私は、モノをたくさん持っていても、それをほとんど「いますぐ使わないモノ」に分類されてしまう人は、人生の目標を見失っていたり、少しうつ状態であると感じています。
<46ページより引用>

心の隙間を埋めるかのように、適当にモノを手に入れるような心象。片付けに取りかかる前に、まず自分の心の状態と向き合うことが大事だと著者はいいます。そこをやっておかないと、いくら片付けても、またリバウンドしてしまうのだとか。

なぜ、モノが増えてしまい、なぜ捨てられないのか。自身のマインドとしっかり向き合わない限り、片付け問題は永久に解決がつかないといえそうです。中高年世代でいえば、「定年後うつ」が顕著な例なのだとか。メディアの多くでよく報道される「ゴミ屋敷」や「汚部屋」の住人は、何らかの精神疾患を抱えていることが多く、その根本に「定年後うつ」が起因しているといいます。

「生前整理」を始めると、自分はこの先どんな人生を送りたいのかイメージすることができるようになるといいます。モノの整理は、単なる片付けではなく、心の中の整理にもつながるといえるでしょう。「定年後うつ」を予防するためにも、定期的に人を家に招き入れることも良い方法だと著者はいいます。家に人を招くとなれば、誰でも片づけを始めるものです。確かに、定期的に人を招き入れることで、風通しのいい居心地のいい空間をキープできるようになるといえます。「生前整理」を前向きに取り組むことは、今という時をイキイキと過ごすための第一歩であることが理解できます。
 

「生前整理」は健康にも影響を及ぼす

「生前整理」をすることで、他にもいろいろな効果が見られると著者はいいます。モノが減って片づけから解放されると同時に、健康寿命も伸ばすというのです。

ある程度の年齢になってくると、片付けようとして体がうまく動かずに怪我をするという事態が起きやすいといいます。高齢になってからの怪我は、寝たきりにつながるきっかけになりかねません。さらには、ホコリもおろそかにはできません。

モノが多いと掃除が行き届かなくなり、ホコリやゴミ、食べかすに混じって、さまざまな菌やウイルスが集まりやすくなるといいます。「生前整理」をするかしないかで、第二の人生がこんなにも変わるのだとしたら、一刻も早く始めることが得策でしょう。

タイトル:定年前にはじめる生前整理
著者:古堅純子
発行:講談社
定価:864円(税込)

【前回の記事はこちら】
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ナカセコ エミコ

(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家&ブックコーディネーター。元・銀行員であり図書館司書。現在は、女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。【女性限定】「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。https://www.filage.co/

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