【特別掲載】自分も下流老人に!?日本人の5人に1人が貧困ライン 〜定年後設計フォーラム講演録:藤田 孝典氏 前編〜

マネラボ編集部

2018.05.12.(土)

2018年3月4日(日)に開催された「定年後設計フォーラム2018」。定年が見え始める50代が、定年後の人生を豊かで自分らしい生活が送れるよう、50代のうちから定年後の備えを始めることを提唱し、その必要性を多くの50代が気づくキッカケとなったフォーラムとなりました。

今回、大好評の内に幕を閉じた定年後設計フォーラムの講演を特別シリーズとして数回に渡ってお届けします。

第二回は、著書「下流老人」でも知られる、NPO法人ほっとぷらす代表、藤田孝典さんの講演内容をお届けします。

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こんにちは、藤田と申します。

「下流老人」という言葉を聞いたことはありますか?私が提唱している下流化を防ぐための方法を、今日は共有したいと思っています。

私は現在、スタッフ8名と一緒にNPO法人「ホットプラス」という団体で、生活に困窮する方の相談活動を続けています。ここに実に年間1,000件の相談が寄せられます。その大多数が、年金が少なくて生活していけないとか、老後こんなに収入が少なくなるとは思わなかったとか、あるいはカードローンで収入の穴埋めをしているが追いつかなくなった、というような方々です。

相談に来る方は、現役時代に所得が低かった方も多いのですが、400万円、600万、800万円あった方も相談に来ている状況です。

私たちは収入に応じて消費行動を取りますので、800万円の所得があっても、貯蓄があるかというとまたそれは別の話です。マンションに住んだり、車を買ったりと、行動によって貯蓄は影響され、十分でない貯蓄によって老後の生活が厳しくなる方もでてきます。そのような方がたくさん相談に来ています。中には住居が無くなってから相談に来る方もいらっしゃいます。

高まる相対的貧困率

そういった状況が前提となる日本社会について見ていこうと思います。

なぜ定年後の準備を予めしないといけないのかというと、相対的貧困率が高くなってきているということも理由の1つにあります。

人間らしい健康で文化的な生活ができない方がどれくらいの割合いるかを示した数字が、どの年代もかなり高い数字で上がってきています。OECD加盟国(34ヶ国)中6番目、主要先進国の中では、アメリカに次いで貧困率が高いと言われています。

首都圏では、厚生年金に加入されている方が多いと思います。現在、3,500万人の高齢者がおられますが、いわゆる老齢基礎年金だけで生活されている方が実に1,000万人を超えています。この1,000万人は、年金として受け取れる額が6万5,000円、この基準で老後を迎えている方が、実に高齢者の3分の1を占めています。

政府がこの所得を下回ると生活していけないと警鐘を鳴らしている基準を、この国民年金だけの方の所得水準は下回っています。

自営業の方やフリーランスの方、非正規雇用の方、様々な方が今、国民年金だけで老後に入っていきますが、不安を感じている方は多くいらっしゃいます。

日本では現状、まず5人に1人が貧困ラインです。所得にすると、1人世帯で122万円、2人世帯で170万円、3人世帯で211万円、4人世帯で245万円未満です。

また、結婚されてない方は、貧困になりやすいと言われています。高齢者の貧困率は、19.4%(5人に1人)ですが、これが単身高齢者となると、男性が38.3%、女性は52.3%になるというデータが内閣府の白書に掲載されています。

平均寿命、実はもっと長い!?

あと数十年後には、皆さんも老後に入っていきますが、この頃にはかなり高齢化が進みます。少子高齢化で子どもの数は増えず、平均寿命も伸びています。平均寿命の「平均」は、男性は80.75歳、女性は86.99歳と、高齢社会白書(H29年度版)に記載されていますが、もっと長いと考えて下さい。

「寿命中位数」という考え方があって、寿命の中央値(中間に位置する寿命)がどの辺りかと言うと、男性は大体92~3歳、女性は94〜95歳と言われています。研究者によって違いますが、概ね90代を超えています。

先日、NPOに相談があった方は84歳で、「夫が残してくれた預貯金がもうすぐ底をつきそうで、私はあと何年生きるのか」を電話してこられました。健康状態を聞くと「どこも悪くない」と言われます。

医療費や介護費用が必要で、とことん困窮されていると、私たちは生活保護制度等を案内できますが、多くの方が持ち家や、わずかな資産を持って暮らしておられます。85〜86歳くらいで亡くなる前提で計画を立てていると、多くの方がそれより長生きされ、困ってしまうようです。老後の時間がかなり長いという事です。

平均寿命が伸びた今、定年した後の方が、時間が長く感じるようです。そこで人と交流したり、お金の不安なく生活していくために、現役時代の所得を活かしながら設計して、運用したり、準備したりする事が問われる時代に来ていると思います。

▶「激増しつつある、社会保障費と「健康寿命」とは?次ページに続く

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マネラボ編集部

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