誰も教えてくれないお金の深い寓話③ ~無人島に何を持っていく?~

ルウ・ハイアン

2017.07.13.(木)
sea

無人島に持って行くとしたら何がいいか?

僕と金持ちのAさんは、だいたい偶然街で出会います。あまり大きな街ではないので、月に一度くらいはそんな偶然が起きます。

最初から読みたい人はこちら▶『誰も教えてくれないお金の深い寓話~良い借金と悪い借金~』

ある時、偶然出会った僕たちは一緒にお茶をすることになりました。暇を持て余していた僕らは他愛もない話をしてカモミールティーを馴染みの喫茶店で飲んでいました。話も尽きた頃、僕はふと思いついた質問を金持ちのAさんにしてみました。
今まで何千回といろんな人がしてきた陳腐な質問でしたが、僕は、あえて金持ちのAさんに尋ねてみたかったのです。

「無人島に持っていくとしたら、何を持っていきますか?」

あまりに突飛な質問でしたけど、金持ちのAさんなら、なんか普通の人と違うような答えが返ってくるような気がしたのです。
たとえば……一番好きな食べ物とか、一番お気に入りの本とか、そういうのではない答えが返ってくる気がしました。(ちなみに、この無人島では食料の心配はなく、自生の果樹が大量に生い茂っていることにします)

しかし、Aさんの答えは、想像していたものとは違っていました。

A「それは1人なの? 良かったら2人にしない? もう1人も男でいいから」

僕「まぁ、いいですよ。話し相手がいた方が気がまぎれますからね」

A「うーんと、持っていくとしたら、お金かなぁ

僕「ファッ……! 待ってください。場所は無人島ですよ。お金を持って行くことになんの意味があるんですか?」

A「有名な話があるんだよ。僕は本当にそうなるか、どうか確かめたいんだ」

僕「どんな話ですか?」

A「お金は無限に増殖するという話さ。正確には資産が、という意味だけど。」

A「ある無人島にスティーブとアンディという2人の男がいた。スティーブという男は200ドルを持ち、アンディは持っていなかった。アンディはスティーブの持っている200ドルが欲しかったので、雨露をしのげる小屋を作ってスティーブに200ドルで売ろうとした。無人島で採れた材料を使い、アンディはスティーブのために小屋を作った。

スティーブは、これはいい!と小屋を200ドルで買うことにした。200ドルはアンディのものになったが、今度はスティーブが200ドルを欲しくなり、アンディのために山の湧き水に樋を作って、汲みに行かなくて飲める水飲み場を作った。そして、アンディはこの施設を買って、200ドルはスティーブのものになった。

そうしていくうちに、どんどん無人島は快適に便利に過ごせるようになっていった」

僕「すごいですね。なんか魔法みたいというか、200ドルが2人の間を移動しているだけなのに資産が増えていくんですね」

A「この話はね、高度資本主義社会をあらわした寓話なんだけど、以前インターネットで見かけて気になったんだよ。たしかに、この寓話の通りに、地球上の経済は19世紀以降、どんどん物を増やし、便利になり、人間の生活は豊かになっていった。お金の量と人の数が増えれば、どんどん人は豊かになれるんだよ。魔法でもなんでもなくね」

僕「それを実現させるために、最初の200ドルが必要ということですか?」

A「そう。でも、この話には大いなる矛盾があるけどわかるかい?」

僕「無人島でアンディが、200ドルに価値を見出して欲しがるか」

A「ご名答。この話が暗示しているのは、お金に価値を与えているのは何かという根源的な問いさ。そして、この問いに対する答えは、いま話題の暗号通貨にも通じているんだよ」

話は思わぬ方向に流れていきましたが、続きはまだ次回に。

次回の話はこちら▶『誰も教えてくれないお金の深い寓話④~無人島に持って行くとしたら仮想通貨編~』
前回の話はこちら▶『誰も教えてくれないお金の深い寓話②~なぜ僕はお金持ちじゃないのか?~』
最初から読みたい人はこちら▶『誰も教えてくれないお金の深い寓話~良い借金と悪い借金~』

ルウ・ハイアン

文筆家・歴史家として各メディアに寄稿。投資家としての側面も持ち、投資界隈の話題には事欠かない。また経済のトピックを誰にでもわかるように話す技術には定評がある。映画や書籍、または海外ゴシップにも精通している。日本語の他に、中国語・英語も堪能。

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