改めて知っておきたい火災保険・地震保険の対象になるもの

森井じゅん

2017.03.25.(土)

家を買ったら、不動産投資をしたら、火災保険には必ず入りましょうという話を聞きます。一方、地震保険は入っていない人も多いとか。一体何が正解なのでしょうか?そのためには火災保険・地震保険の対象になるものについて詳しく知っておくことが大切です。日米で公認会計士の資格を持つ森井じゅんさんにお聞きしました。
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家を買ったら、不動産投資をしたら、必ず火災保険には入るものなのでしょうか?

基本的に火災保険の加入は任意であり、法的に加入義務があるものではありません。ただし、住宅ローンを組むと同時に強制加入になります。
つまり、ローンを利用しないのであれば加入は自由ですが、火事や災害はいつ起こるか分かりません。また、起きてしまった場合の損害が大きいので備えるために加入している人がほとんどです。
ただし、必ずしもローンの取り扱いをしている金融機関や不動産屋さんで契約する必要はありません。提示されるままに保険に加入し保険料を支払うのではなく、きちんと補償の内容を確認してください。もちろん自身で選んだ損害保険会社の火災保険に入ることも可能です。いずれにしても、自身に必要な補償を設定し加入してくださいね。

そもとも火災保険とはどんな保険でしょうか?

火災保険とは、基本的には火事等で家や家財が燃えてしまったときに保険金を受け取れる保険です。
補償される事故の種類は保険商品によって異なりますが、火災保険で補償される事故は”火災“だけではなく、落雷、爆発、風災、雪災、水害など保険商品により様々です。
自然災害だけでなく、水漏れなども集合住宅ではよくある問題です。また、盗難被害も大きな心配のひとつでしょう。自然災害以外の幅広いリスクに備える火災保険もあります。
ただし、リスクばかりにとらわれず、所有する建物や家財の状況で保険商品を選ぶことが大切です。例えば、マンションの高層階などでは、水害のリスクは低いでしょう。あれもこれもと補償をつけるともちろん保険料も上がります。保険太りにならないよう、どんな補償が必要なのか一度見直しをしてみてください。
一つ、必ず知っておいていただきたい重要な点は、地震を原因とする損害は、火災保険で補償されないということです。地震により火災が発生し、損害を被っても火災保険の対象外です。津波も同様。地震を起因とする被害に対する補償を受けるためには地震保険に加入する必要があるのです。

火災保険で対象になるもの、ならないものは?

自動車保険やペット保険は、補償の対象が保険の名称になっているので内容が分かりやすいですが、火災保険は補償の対象が少しわかりにくいですね。
上記でお話したように、火災保険の適用となる補償の範囲としての事故や災害は保険商品により様々ですが、保険の対象は建物と家財の二つです。建物・家財両方に保険をかけることもできますし、どちらかだけにすることもできます。
建物とはその名のとおり、建物自体です。一方、家財は幅広く家庭によっても異なります。書斎に置いてある机や本棚、居間に置いてあるテレビやソファー、キッチンに置いてある冷蔵庫や電子レンジ、そのほか家具や骨董品・衣類・仏壇など、全てが家財に含まれています。
家財に保険をかけていても、損害を受けたすべてが保険金として支払われるわけではありません。火災保険の契約時には、免責金額つまり自己負担額を設定します。たとえば、5万円の免責金額を設定している場合に、3万円相当の被害があった場合には保険金は支払われません。

地震保険というのはどんな保険なのでしょうか?

地震保険は火災保険の特約となるので、単独で加入することはできません。そのため、地震保険と火災保険はセットで考える必要があります。契約金額も主契約である火災保険の保険金額の30-50%の範囲内とされています。ちなみに上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。
地震保険は、「地震・噴火・津波を原因とする損害」を補償するものです。これらの大災害による被害は甚大で、損害額に対して保険会社の支払い能力を超えてしまうため、日本政府と保険会社が支払い責任を分担し共同運営しています。そのため、地震保険はどこの保険会社で契約しても契約条件は変わりません。

地震保険で対象になるもの、ならないものは?

地震保険では、火災保険と同様、建物と家財が補償の対象となります。しかし、補償対象を増やすことのできる火災保険とは異なり、地震保険では家財の範囲は少し狭くなります。
一個あたり一組あたり30万円超える家財、貴金属、美術品等は補償の対象外です。地震で300万円の絵画が破損しました、といっても対象となりません。
また、現金、預貯金通帳、有価証券などについては補償されません。金庫そのものは家財に含まれますが、中の現金や有価証券は対象外なので、損失が困る場合には金融機関に預けるなど対策が必要ですね。
さらに、自動車も対象外です。ただし、自動車保険に地震災害等の補償特約をつけることができる場合もあるので、気になる場合には保険会社に問い合わせてみてください。

もしローンを抱えたまま建物が全損・半損してしまったらどうなってしまうのでしょうか?

災害に遭っても、借りていた住宅ローンが消えるわけではありません。仮に家が倒壊してしまっても、自宅に住めなくなってしまったとしても、住宅ローンは払い続けなければなりません。
自宅が自然災害により全壊等の被害を受けた場合、被災者生活再建支援金を受け取ることができます。一方、賃貸物件の所有者が賃貸物件に深刻な被害を受けても、支援金を受け取ることはできません。不動産投資に当たり借入などを行っている場合、所有物件がダメージを受けて家賃収入がなくなっても、借入金はなくならず、返済も待ってくれません。最悪、返済不能に陥ってしまうこともあります。
そのため、借入をして賃貸物件を持っている場合に、保険の備えがより重要になってくるといえます。

2017年1月から全損・半損などに対する条件が変わった?

地震保険で支払われる保険金は、建物・家財の被害の程度によって変わってきます。被害の程度は、「損害区分」と呼ばれており、全損・半損・一部損の3段階に分けられていました。この区分が、2017年1月1日より全損・大半損・小半損・一部損4段階に細分化されました。認定された区分に従って、支払われる保険金額は、全損で契約金額の100%、大半損で60%、小半損で30%、一部損で5%となります。
また、2017年1月1日以降となる契約から、地震保険の改定がありました。都道府県及び建物の構造により改定率は異なりますが、多くの場合、保険料の引き上げとなります。ちなみに、先ほども触れましたが、地震保険は政府と民間の保険会社が共同運営しており、条件は一律のため、保険会社の保険料の変更も共通です。つまり、契約する保険会社による損得はありません。

火災保険と地震保険、どのようにすれば間違いのない入り方ができますか?

やはり、無駄がないよう、しかし十分な補償が受けられるように保険に入りたいですよね。そのためには、適切な保険金額の設定が重要です。金額が大きすぎても小さすぎても良くありません。
建物の価値を評価する方法は、「再調達価額」と「時価」があります。再調達価額は、新価とも呼ばれ「同様のものを今取得した場合にいくらか」という基準です。一方、時価は、もともとの取得費用から老朽化を考慮し減額したものです。そのため、時価による評価では年月が経つほど評価が小さくなります。再調達価額であれば、災害後建物の再建ができますが、時価による契約で建物が古い場合には十分な補償が受けられないことがあります。現在は、ほぼ再調達価額が使われていますが、必ず確認しましょう。
保険は入りすぎも良くありません。リスクばかりに目を向けると不安になり、あれもこれも特約をつけたくなってしまいます。しかし、必要な補償や保有資産のリスクをしっかりと把握し、必要かつ十分で無駄のないよう保険を選んでください。

保険による税金の控除などはありますか?

火災保険については、基本的に支払った保険料について税の優遇はありません。平成18年以前は、火災保険・傷害保険料の一部を所得から差し引く「損害保険料控除」がありましたが、法改正によりこれが廃止されました。一方、地震保険の加入を促進する目的から、現在では地震保険料のみが控除の対象になっています。地震保険料の支払いは5万円を上限として、支払額の全額について所得控除をうけることができます。
逆に保険金を受け取った場合をみてみましょう。火災保険・地震保険ともに、保険金を受け取った場合にも非課税です。火災保険や地震保険は、発生した損害に対する補償であって、受取人は利益を得ていないためです。
実際に火災や自然災害の被害を受け、十分な保険金を受けられなかったような場合には、災害減免法による救済措置もあります。また、雑損控除といって、災害などで住まいが被害を受けたとき、損害額に応じて所得控除が受けられる仕組みもあります。
保険や救済措置もふくめ、いろいろな備えを知っておくことも大切です。

森井じゅん

公認会計士/米国ワシントン州公認会計士/税理士/FP。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行っている。http://www.horipro.co.jp/moriijun/

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