行動経済学で解明!つい買ってしまう心理パターン3つとその対策

横山ケン太

2017.02.17.(金)

皆さんは、自分の金銭感覚にどれくらい自信がありますか?例えば、近所のスーパーの特売日を全部把握していて、お得なポイント&スタンプカードも駆使している。将来を見据えて保険の見直しもバッチリ!でも、そんな人でも一度知っておいたほうが良いのでは!?というものがあるんです。それが『行動経済学』。なにしろ特売日もポイントカードも保険も、すべて商売する側の術中にはまって“利用させられている”かもしれないからなんです。

行動経済学」とは、簡単に言ってしまえば買い物する人の心理学みたいなもの。人間は思った以上に周囲の環境や感情に左右され、しばしば合理的ではないムダな買い物をしているのだそうです。この分野に詳しい経済コラムニスト・大江英樹さんの著書『教科書にない お金の増やし方・守り方』では、世の中に存在する「買わせるための心理テクニック」を数多く紹介。それを知っておくことで金銭感覚を養うことができる、というわけです。

いわゆる財テクとは違ったアプローチですが、ムダ使いが多くてお金が貯まらないという人はもちろん、金銭感覚に自信のある人も。「買い物してしまう人の心理」を知って対策をしましょう!

お金の価値が気分で変わる?「メンタル・アカウンティング(心の会計)」

財布に入っている1万円。使わないようにしていたけど100円のペットボトルを買ってお札を崩した途端に減るスピードが速くなってしまった。これは多くの人が感じたことがあるかもしれませんが、じつは行動経済学でちゃんと説明ができるそうです。

1万円札と1000円札10枚。その価値は同じはずなのに、人の心の中では「1万円札=資産」「1000円札=生活資金」と勝手に認識されて、結果的に使いやすい1000円札の方はあっという間に消えてしまうというのです。気持ちによってお金の価値が変わってしまう。これをメンタル・アカウンティング『心の会計』と呼ぶのだそうです。

ちなみに、1万円を崩すのが嫌なあまり細かい会計は電子マネーで済ませてしまう人は要注意。「お金を使う痛み」があまりないためについついムダ使いをしてしまう傾向にあるそうです。

バーゲンセールの甘い罠!「セール対象外品」をわざわざ置いているワケ!

行動経済学の観点から見ると、消費者が大好きなバーゲンセールにも“買ってもらうための仕掛け”が沢山あるそうです。その一つが「セール対象外品」の存在。例えば洋服店のバーゲンセールで「同じジャケットでもこれは最新入荷品なのでセール対象外ですが、少し前の商品なのでこんなに安くなっているんですよ」と、具体的な数字で割安感をアピールすることにつながります。

するとどうでしょう?これを見た人は、自分の予算はさておいて「定価よりどれくらい安くなったか?」という基準でしか考えられなくなってしまうのです。これを『アンカリング効果』とよび、船がいかり(アンカー)を下ろしてその場所にとどまるように、人の基準を勝手に釘付けにしてしまうことを意味しています。

それでも、バーゲンセールは店が赤字覚悟で消費者に還元してくれるお得イベントだと思っている人に、筆者は説得力バツグンのこんな言葉を贈っています。「プロ野球の球団が優勝すると関連するデパートなどは優勝記念セールをやります。ところが日本シリーズで負けても“残念セール”とか“ご声援感謝セール”というのをやります。要は何でもいいからセールをやりたいのです。なぜかと言えば“セールは儲かる”からです。」

優しくされるとついつい買ってしまう!「返報性の原理」

人は何かをしてもらった場合にはお返しをしなければならないという気持ちになることを『返報性の原理』と呼び、通販やテレビショッピングなどでよく使われるテクニックがあるそうです。例えば「金利・手数料は私どもが負担いたします」という表現。単に「金利・手数料はかかりません」という表現だと、最初からそういう仕組みなんだと思いスルーしてしまいそうですが「こちらが負担いたします」と聞くと、元々かかるお金を払ってくれるの?チャンスかも!と思ってしまいませんか?この言い方を考えた人ってスゴイかも。

通販やテレビショッピングには、この他にも消費者に押しつけがましくないように買ってもらうテクニックがいっぱい盛り込まれているそうで、心理テクニックの勉強になるほどでした。

(「返報性の原理」が気になった人は、この原理をうまく使った詐欺の手口を紹介した記事「投資話と詐欺話はどう見分ければよいのか」もおすすめです。)

「お金を守るベストな方法」とは?

行動経済学に精通した筆者でさえ思わずムダ使いしてしまうことは多いそうですが、それでも貯金するためにベストな手段の一つとして紹介している方法が「給与の天引き」です。これははじめに紹介した『心の会計』を利用したもので、やりくりしてお金を残そうと努力するのではなく、2万円なら2万円を給料日に別の口座に移してしまう。これだけで『心の会計』は2万円を無かったものと認識して、努力することなく節約ができるのだそうです。

人間の脳は不思議ですが、行動経済学を知ったうえで対策を立てると貯金も上手くいくのかもしれませんね!これはさっそく実行したいと思いました。

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今回ご紹介したのは書籍のごく一部ですが、実際には50テーマにおよぶ「買わせるための心理テクニック」が様々な心理学実験の結果と共に紹介されています。もちろん、買い物することは悪い事じゃないし「騙されている」なんて思いながら買い物するのは楽しくないですが…給料日前などの節約モードのとき、財布の中身を守りたい人にとっては知っておくといい情報が多数あると思います。そして心理学として面白いので話のタネにもなりますね!

「教科書にないお金の増やし方・守り方~行動経済学で解決する50のムダづかい」
大江 英樹  大和書房刊(2016.12)

 

横山ケン太

趣味は財テクとアウトドア。フリーの作家として活動中。

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