退職一時金の税金・社会保険の負担は軽い! ただ……

益山真一

2017.06.08.(木)

2つ以上の退職金制度から
退職一時金を受け取る場合は要注意!
4年以内の受け取りは同時受取りのような扱いに

退職一時金は税金や社会保険の負担が軽いことを説明してきましたが、
2つ以上の退職金制度から退職一時金を受け取る場合には注意が必要です。

例えば、以下のようなケースです。

・ケース1 サラリーマンが勤務先から退職一時金を受取り、別途、企業年金や確定拠出年金等から老齢給付金(一時金)を受け取る場合
・ケース2 確定拠出年金と小規模企業共済から老齢給付金(一時金)を受け取る場合

実は、4年以内に2回以上、退職所得の対象となるお金を受け取ると、重複して加入する期間の部分について、退職所得控除額が少なくなり、所得税、住民税の負担が増える場合があります。具体的には、2回目に受け取る退職所得は、(1)から(2)の金額を差し引いた金額が後で受け取る退職一時金に適用できる退職所得控除額となります。

(1)その年の退職手当等についての勤続年数(1年未満切上げ)により求めた退職所得控除額
(2)重複している部分の期間を勤続年数(1年未満切り捨て)として求めた退職所得控除額

簡潔に言えば、退職所得の対象となるお金を4年以内に受け取ると同時受取りのような扱いとなるのです。言い換えれば、4年超の期間を空けて、退職所得の対象となるお金を受け取ると、加入期間に応じた退職所得控除の適用を受けられるのです。

事例:筆者の場合
小規模企業共済の加入期間 30年7カ月
確定拠出年金の加入期間  25年1カ月
重複加入期間       25年1カ月

例1 確定拠出年金の老齢給付金を61歳で受け取り、
小規模企業共済の老齢給付金(共済一時金)を65歳(4年以内)で受け取る場合
<確定拠出年金の退職所得控除額>
40万円×20年+70万円×6年=1,220万円
小規模企業共済の老齢給付金(共済一時金)の退職所得控除額
(1)(40万円×20年+70万円×(31年-20年)=1,570万円
(2)(40万円×20年+70万円×5年=1,150万円
(1)-(2)=420万円
小規模企業共済の老齢給付金に適用される退職所得控除額は420万円のみ。

例2 確定拠出年金の老齢給付金を60歳で受け取り、
小規模企業共済の老齢給付金(共済一時金)を65歳(4年経過後)に受け取る場合
<確定拠出年金の退職所得控除額>
40万円×20年+70万円×6年=1,220万円
小規模企業共済の老齢給付金(共済一時金)の退職所得控除額
40万円×20年+70万円×(31年-20年)=1,570万円

例1に比べて、退職所得控除額は1,120万円も多くなりますので、税負担も違いも数十万円から百万円単位で異なります。
退職所得控除額をフル活用するには、確定拠出年金が「先」、他の給付を「後」であれば「4年超」
他の給付を「先」、確定拠出年金を「後」で受け取る場合は「14年超」

上記の筆者の事例において、確定拠出年金の老齢給付金(一時金)を60歳、小規模企業共済の老齢給付金(共済一時金)を65歳で受け取れば、4年超の期間を空けることができ、退職所得控除をフル活用できます。

ただし、順番が逆になると注意が必要です。
つまり、他の給付を先に受け取り、その後、確定拠出年金の老齢給付金(一時金)を14年以内に受け取る場合は、確定拠出年金の老齢給付金の退職所得控除額について重複期間を計上できなくなります。
何とも理不尽を感じますね。

この制度に対する対策としては「14年超経過後に受け取る」ほか、「確定拠出年金を分割で受け取り、雑所得の公的年金等控除額を有効活用する」等が挙げられます。

平成29年1月から、公務員や国民年金第3号被保険者も含めて、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入できるようになり、勤務先の退職一時金、企業年金だけでなく、確定拠出年金の老齢給付金(一時金)を受け取る人も増えると予想されます。(iDeCoについてはこちらの記事をご覧ください。

一般的に、退職一時金での受け取りは税・社会保険制度では有利と言えますが、2つ以上の退職金を受け取る場合には注意が必要!ということは頭の片隅に入れておいてくださいね。

保険の見直しで年間数百万の節約!知りたい方必見!

最新記事・限定情報はTwitterで配信中♪

<< 1 2

益山真一

ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。

  • お金の学校の社員がガチで100円投資に挑戦したらこうなった。~第51話~

    詳細を見る
  • それって会社都合になるかも! 知らないと損をする失業保険についてのあれこれ

    詳細を見る
  • 投資信託のはじめ方!口座開設から利益が入金されるまでの6ステップ

    詳細を見る

こんな記事も読まれています

資産運用資産運用 |  教育・子育て教育・子育て |  増やし方増やし方

シングルマザーに株式投資をおすすめする理由

資産運用資産運用 |  生活生活 |  増やし方増やし方

5年で資産10倍に。株価が上昇トレンドの今は、初心者がはじめやすいとき

知恵袋知恵袋 |  生活生活 |  考え方考え方

小学生でもわかるビットコイン① ママ、僕ビットコインが欲しい

資産運用資産運用 |  生活生活 |  増やし方増やし方

お金の学校の社員がガチで100円投資に挑戦したらこうなった。~第1話~

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  考え方考え方

パートで厚生年金保険に加入すると 年金保険料は払い損?を検証

資産運用資産運用 |  生活生活 |  増やし方増やし方

知らないと損する「手付金」の常識