賃貸経営と相続税対策

マネラボ編集部

2015.08.25.(火)

これまでであれば、「相続税」と聞いても「一部の金持ちにしか関係のないこと」と呑気に構えていた人も少なくなかったことだろう。
しかし、2015年1月の改正によって、相続税も久方ぶりの大増税となる見込みだ。課税対象となるケースは、現状の2倍になるとも3倍になるともいわれている。

特に東京では、全世帯の2割弱が課税対象になるという試算もあるようだ。
現在認められている相続税の基礎控除は、5,000万円+法定相続人の数×1,000万円だ。したがって、法定相続人が子ども2人の場合、相続税が課税されるのは7,000万円を超える資産がある場合に限られるという計算になる。

しかし、来年1月以降は、この基礎控除が3,000万円+法定相続人の数×600万円と大幅に縮小になる。
同じように子ども2人が法定相続人の場合、資産が4,200万円を超えると相続税の対象となる可能性があるということだ。法定相続人が1人であればその分かれ目はさらに少なく、3,600万円だ。

備えあれば憂いなし
こうした流れの中で注目を浴びているのが、賃貸経営を活用した相続税対策だ。
不動産の場合、相続時の評価額は購入額ではなく、「路線価」や「固定資産税評価額」をもとに評価される。一般的に、路線価での評価は時価の8割、建物の相続税の評価額は6~7割程度になることが多いようだ。したがって、預貯金などの現金資産ではなく、不動産という形で資産を保有することで、大幅に相続時の評価額を下げることができるというわけだ。相続税の節税につながるのはもちろん、結果として相続税の課税対象になるのを回避できることもあるかもしれない。

さらに、これを自家用として使用するのではなく、賃貸用とすることで、さらなる評価の圧縮が可能だ。
賃貸用の建物の評価については、「固定資産税評価額×(1-借地権割合×借家権割合)」で計算を行う。
借地権割合は一部の都市を除き60~70%となっている。一方の借家権割合は30%というのが一般的だ。つまり、自家用よりもさらに20 %ほど相続税評価額を下げられるということになる。「そうはいっても、相続税対策のためだけに老後の生活費として貯蓄してきた貯蓄を大きく減らしてしまうのは不安だ」という人もいるかもしれない。確かに、評価額を下げることだけを目的に、やみくも不動産という大きな買い物をすることはあまり合理的といえない。

しかし、あらかじめキャッシュフローをしっかり確認し、安定的な家賃収入を得られる物件を購入すれば、その収入を活用して生活の質を高めながらも、相続税の節税が実現するというわけだ。さらに、物件購入資金の一部もしくは全部をあらかじめ子どもに生前贈与したうえで、子ども世代が賃貸用の物件を購入するということも相続税対策としては有効だ。相続時精算課税制度を活用すれば、贈与時に2,500万円までを非課税とすることができる。 評価額を圧縮するために賃貸用の物件を購入したとしても、優良物件を長期間保有していけばその間に再び資産が蓄積されていく。しかし、あらかじめ子ども名義で物件を購入しておけば、これらの家賃収入は子ども自身のものになる。いうなれば、将来にわたる含み益ごと子どもに贈与することができるというわけだ。

備えあれば憂いなし。
それぞれの家庭ごとの資産状況、相続人の状況を客観的に把握したうえでしっかり対策を練っておきたい。

  • お金の学校の社員がガチで100円投資に挑戦したらこうなった。~第51話~

    詳細を見る
  • それって会社都合になるかも! 知らないと損をする失業保険についてのあれこれ

    詳細を見る
  • 投資信託のはじめ方!口座開設から利益が入金されるまでの6ステップ

    詳細を見る