本当はどちらがおトク? マイホーム購入vs一生賃貸

マネラボ編集部

2015.07.18.(土)

マイホームの購入を検討するとき、誰もが一度は突き当たるのが、「マイホームを購入するのと一生賃貸に住むのでは、結局どちらがおトクなのだろうか?」という疑問だ。この命題についてはこれまでも講演や取材の際に数え切れないほど質問されてきたが、結論から言ってしまえば、どちらが絶対的におトクとはいえない。なぜなら、金銭的な損得は、結果的にどれだけ長生きしたのかということに最も大きく左右されるからだ。

マイホーム購入と賃貸、それぞれにかかる費用について

マイホーム購入と賃貸にかかる費用は大きく異なる。まず、マイホームの場合、購入時にある程度まとまった頭金と諸費用を支払うことになる。頭金がわずかで済む物件もあるにはあるが、理想論でいえば物件価格の2割程度は用意したいところ。物件価格が4,000万円とするとざっと800万円を準備する必要がある。さらにマンションであれば住宅ローンの返済のほかに毎月、管理費や修繕積立金がかかるし、一戸建てであれば外壁や屋根、庭のメンテナンス費用も必要だ。どちらにしろ先々ではリフォーム代などもかかってくるし、固定資産税も毎年納付しなければならない。

対する賃貸の場合、初期費用として必要なのは礼金・敷金、仲介手数料が主なところだ。エリアによってまちまちだが、合計で家賃の4~6ヵ月程度というのが大方の相場だ。家賃が12万円としても合計で約60万円。マイホーム購入と比べると初期費用ははるかに少なくて済む。大方の物件では、2年に一度、家賃の1ヵ月分の更新料が必要になるが、リフォーム代は家主が負担するので不要だし、そもそも老朽化が気になってきたら築浅の物件に引っ越せば済むというメリットもある。

これらを比較すると、初期費用や当面の費用で考えれば、おそらく賃貸のほうに軍配が上がるだろう。住宅ローンの金利上昇を心配する必要もないし、家計が苦しくなったら家賃の安いところに引っ越すという選択肢も手軽にとれる。

老後の「資産」という視点で考える

しかし、20年、30年経って住宅ローンを完済した後のことを考えると一気に形勢は逆転する。マイホームの場合、住宅ローンさえ完済すれば、その後の住宅費は一気に圧縮される。一生、なんらかの家賃を払い続けなければならない賃貸と比べると、この差は大きい。 特に、今は人生90年と言われる時代だ。65歳まで働いたとしても、あと25年という長い「第二の人生」が待っている。

総務省の家計調査(平成23年)によれば、現在すでに年金生活を送っている人でさえ、夫婦世帯で約4.3万円、単身世帯で約3.1万円を貯蓄から取り崩しながら生活をしている。ここに毎月5万円、10万円といった住宅費が上乗せされたとしたらどうだろうか。仮に毎月10万円とすると、65歳から90歳になるまでの25年間で3,000万円。こうやって総額で捉えると、老後に先送りするには勇気がいる金額だ。

さらに、住宅ローンを完済してしまえばマイホームは正真正銘の「資産」になる。いざとなったら売却をしたり、賃貸に出したりすることで収入を得るという選択肢がとれる。さらに、世帯主に万が一のあった時にも、団体信用生命保険により残債がなくなるので、遺された家族には住宅ローンのない状態でマイホームが残る。長生きとともに貯蓄が目減りしていく老後にあって、こうした「隠れ貯蓄」「隠れ保障」があることの心強さは何物にも代えがたいだろう。

もちろん、マイホームがこうした本領を発揮するのも長生きをすればこそ。

最初の話に戻ってしまうが、結局のところ、人生が終わってみないと本当の損得は分からない。しかし、老後に自助努力を求められる時代だ。マイホームを購入することで「経済的な不安におびえながら長生きする」というリスクを大きく回避できるなら、その意義は大きいといえるのではないだろうか。

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