新興国のブームと破裂のサイクル

通常、債務国の経済発展はなだらかな一本道にはなりません。ダイナミックな金融マネーの流入は、実体経済に筋肉増強剤のような活性化をもたらしがちです。新興国は、海外から順調に金融マネーが流入している間、経済が活況を呈し、通貨高になり、高金利と為替差益を狙う海外マネーがさらに流入し、活況が続きます。

しかし、金融マネーによる経済の増幅はいつまでも続きません。やがて内需の加熱で、貿易赤字、経常赤字が拡大し過ぎたり、インフレになったり、景気の行く末に不安が出てくると、金融マネーの流入が鈍ります。資金繰りに窮すると、債務国ゆえのもろさが露呈します。

新興国の対外債務の多くはドル建てです。逆境に陥った新興国から、資金が流出して通貨安になるほど、ドルによる債務返済の負担が重くなります。その懸念からさらに資金流出が加速、通貨安…と、悪循環にはまるのです。こうして通貨安が続くと、今度は輸入インフレが高じてきます。

新興国当局は、インフレ高進と、債務負担増の悪循環を阻止するため、利上げで通貨安を止めようとします。ところが、国内景況の悪化局面で利上げするので、さらに景気は悪化します。苦境にさらされて、政権は国民の支持を失い、政局も混迷。悪循環は幾重にも強化されてしまうのです。

新興国の中には、中国などアジア諸国のように、経常黒字を計上し、通貨が比較的安定しているケースもあります。実はこれらの国々の多くは、海外資本の流出入を規制し、為替市場に介入し、経済運営を円滑化しています。海外投資家にとっては、その通貨や資産を自由に買ったり売ったりできません。

逆に、南アフリカ、ブラジル、トルコ、メキシコなどは、外国人に投資の門戸をある程度開いているからこそ、高金利通貨として人気を博することにもなるのです。海外マネーの流出入がある分、相応の相場の波乱は避けられません。

DIY投資家が知るべきロジック

このように新興国相場がブーム破裂を被るメカニズムを知ると、とても投資をする気にならないかもしれません。金融の専門家からは、新興国の高金利投資は、相場下落までならして見ると大したパフォーマンスにならないとして、手を出さないようアドバイスする声も聞かれます。しかし、これは相場に頭を悩ませたくない「放置型」投資家へのアドバイスです。近年の日本では「放置型」「お任せ型」投資家が主流かもしれません。

しかし、新興国通貨の暴落に巻き込まれたトラウマを繰り返すうち、相場でリスクをとる方法のアドバイスが御法度のようになってしまっては、自分の頭で考えるDIY(Do It Yourself)投資家は育ちません。

私は金融機関で、数カ月から2年程度のスパンでリスクをとり、高パフォーマンスを狙う投資戦略を35年担ってきました。新興国投資にこれほど明快でダイナミックなサイクルがあるのに、活かさない手はないと考える立場です。リスク投資を貫く「美ロジック」を根気よくご案内してまいります。