日経平均はそれでも「不安の崖」を這い登れるか?迷った時はキホンに帰ろう

トウシル

2019.09.26.(木)

※この記事は2019年9月24日にトウシルサイトで公開されたものです。

不安材料の多い中、日経平均は株価水準を維持

連休明けで4営業日だった先週の国内株市場ですが、週末9月20日(金)の日経平均株価は2万2,079円で取引を終えました。終値での2万2,000円台乗せを達成した他、週足ベースでも3週連続の上昇です。もっとも、前週終値(9月13日の2万1,988円)からは91円高と上げ幅はあまり大きくはないため、小動きの印象となっています。

とはいえ、先週はサウジアラビアの石油施設がドローンによる攻撃を受ける事件が発生し、中東情勢の地政学的リスクが意識される状況だった他、FOMC(米連邦公開市場委員会)や日銀会合といった金融政策イベントではほぼ想定通りの結果に収まったことによる材料出尽くし感、そして週末には、米国の農場を訪れるはずだった米中次官級協議の中国側代表団が予定を繰り上げて帰国してしまい、米中関係改善の期待が後退するなど、相場を取り巻く環境は決して良好ではありませんでした。

そんな状況下でも日経平均が株価水準を維持できたことは前向きに捉えても良いのかもしれません。前回のレポートでも紹介しましたが、平均足(週足)の陽転とMACDとシグナルのクロス、そしてMACDの0円ライン上抜けによる上方向へのトレンド転換の基調は維持できています。

■(図1)日経平均の平均足(週足)とMACD(2019年9月20日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

短期的には上昇の勢いに陰りが見られる

週足チャートから見た日経平均の中期的な見通しについては、特に前回からの見方に変更はありませんが、短期的には上昇の勢いについて注意しておきたい点がいくつかあります。

■(図2)日経平均(日足)の動き(2019年9月20日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

上の図2は日経平均の日足チャートですが、先週のローソク足の色に注目すると、4営業日のうち、3営業日が陰線となっていることが分かります。また、19日(木)のローソク足の上ヒゲが長くなっていることや、その上ヒゲがつけた高値(2万2,255円)も4月24日の年初来高値(2万2,362円)に届いていません。連騰記録も10日間でストップしています。

もちろん先ほどの相場環境を考慮すれば上昇ピッチが一服しても何らおかしくはなく、むしろ「そんな市場ムードでも株価水準を維持できた」と解釈すれば、引き続き年初来高値をトライする状況は維持されていると見ることができます。図の中にある移動平均線も上向きとなっており、形は悪くありません。「相場は不安の崖を這い登る」という言葉の通り、多少の不安材料があるぐらいの方が上がって行ってしまうのも「相場あるある」です。

ただし、「戻り待ち売りの重たさ」については考えておく必要がありそうです。

■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2019年9月20日取引終了時点)


出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

上の図3は期間が長めの日経平均チャートですが、2万2,000円~2万3,000円の価格帯は2018年4月から10月の半年近くにわたってもみ合いが続いていたことが分かります。ちょうど一年前の時期ですので、どこまで戻り待ち売り圧力が大きいかは読み切れませんが、上値を伸ばしていく際の障害として意識される可能性はありそうですので、今週は日々の取引量(売買代金&売買株数)の多さも注目されることになります。

結果的に、足元の日経平均の見方は「短期的には株価上昇の勢いに陰りが見られるが、中期的には上方向を目指している」ということになるのですが、相場環境を整理すると状況は芳しくなく、年末の株高に向けての期待や自信が高まりにくくなっているのも事実です。

基本に立ち返ると、上昇トレンド入りまであとわずか?

こういう「迷いの時」こそ、敢えてキホンに立ち返ることが重要かもしれません。下の図4は週足の日経平均のチャートです。

■(図4)日経平均(週足)の動き(2019年9月20日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

上の図4でのポイントは、株価の推移と二本の移動平均線(26週と52週)のクロスです。テクニカル分析における基本中のキホンの見方になります。

このクロスによって中期トレンドが形成されていることが分かりますが、現在は26週移動平均線が52週移動平均線を上抜けておらず、まだ上昇トレンド入りしていませんがその距離はあとわずかです。もちろんクロスできずに跳ね返されてしまう可能性はあるものの、一応期待できる状況と言えます。

NYダウは上昇トレンド続く?株価の調整も想定を

その一方で、短期的には米国株市場の影響を受けやすくなっているため、最後に米NYダウ平均株価の状況も確認していきます(下の図5)。

■(図5)米NYダウ(日足)の動きとボリンジャーバンド(2019年9月23日取引終了時点)


出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

米NYダウは2万7,000ドルあたりの株価水準で何気に最高値圏に位置しています。

さらに、ボリンジャーバンドでボラティリティとトレンドの方向性を見ていくと、9月に入ってからバンドの幅が拡大し、株価が+2σ(シグマ)に沿って上昇した後、+1σとの範囲内での推移が続いてきました。

ボリンジャーバンドには、バンドの幅が拡大してトレンドが発生した際、反対側のバンドの向きが変わったところで、いったんトレンドが一服しやすいという見方があります。実際に図5を見ると、上昇トレンド発生後に▲2σの向きが下方向から上方向にクィッと変わり、上昇が一服した場面がいくつか見られます。

ここで気を付けるのは、あくまでもトレンドが一服することであって、トレンドが転換するわけではないということです。

このまま+1~2σの範囲内で株価が上昇していく展開となれば、いわゆる「バンドウォーク」という形となり、今度は強いトレンドとして意識されることになります。反対に株価が下方向に向かうと、▲2σ辺りが下値の目安として意識されやすくなります。ただし、23日(月)の取引終了時点でのNYダウは+1σを下抜けているため、株価の調整も想定しておく必要が出てきました。

そのため、今週の日本株は戻り待ち売り圧力の意識と米国株の短期的な揺さぶりに耐えながら、中長期的な株価上昇期待へとつなぐことができるかが焦点になりそうです。

<この記事の著者プロフィール>

【土信田雅之】
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
1974年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。国内証券会社にて企画や商品開発に携わり、マーケットアナリストに。2011年より現職。中国留学経験があり、アジアや新興国の最新事情にも精通している。

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