介護認定について知っておきたいこと

栗本 大介

2019.09.25.(水)

今は誰もが介護をする立場にもされる立場にもなりえる世の中。介護が発生した時に助けとなる公的介護保険の仕組みを知っておくと同時に、早いうちから家族間で介護についてコミュニケーションをとっておくことが重要です。介護の準備期間や、必要な手続き、費用などを説明します。

健康寿命が尽きたあとの「要介護」期間は10年

「介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間」を示す健康寿命は、男性72.12歳、女性74.79歳。よく知られている平均寿命(男性81.25歳、女性87.32歳)との差は約10年となっています。つまり、誰もが介護をする立場にもされる立場にもなりうる世の中といえるでしょう。

2019年5月時点の要介護(要支援)認定者数は約660万人で、これは65歳以上人口の約18.3%となっています。加齢とともに介護が必要となる可能性が高まることは多くの人が理解しながらも、なかなか自分事として考えられないため、準備や対応を先送りしがちです。

在宅か施設かで異なる準備

まず考えておきたいのは、「在宅介護」か「施設介護」のどちらの可能性が高いかです。
在宅の場合、必要な介護用具をレンタルで揃えるとともに、家族のサポートが難しい部分について介護事業者のサービスを受けることが中心となるため、業者が見つからないなどの大きな問題になるとは考えにくい一方、誰がどの程度介護に関わるかについて、家族間でのコミュニケーションを図っておく必要性があります。

他方、施設介護の場合は、お世話になる施設を探すだけでなく、その施設に空きがあるかどうかの問題があるため、自分たちだけではどうしようもない要素が出てきます。入所を検討している施設があれば、早いうちから実際の状況を確認しておくべきでしょう。
実家で誰の助けもなく買い物や家事等も普通にこなしていた親が、突然の入院をきっかけに弱ってしまい、退院後はこれまでのような生活が厳しいと判断された場合、退院までの短期間で入所できる施設を探すのは大変なのです。

要介護認定を受けるには一定期間が必要

在宅でも施設でも、各種の介護サービスを業者に依頼すると利用料がかかります。この利用料について、介護認定度に応じた一定金額までは掛かった費用の1割(一定以上所得者は2~3割)だけを負担すれば、あとはすべて保険でカバーしてくれる仕組みが公的介護保険です。

この公的介護保険を利用するためには、市区町村役場の介護保険窓口に申請し、要介護認定を受ける必要があります。一般的な流れは次の通りです。

1.市区町村役場の介護保険課などに申請書を提出する
2.訪問調査の日を決める
3.調査員が訪問調査に訪れる
4.認定結果の通知

訪問調査は、対象者が入院中の場合は病院に来てくれます。また、申請書の提出から認定結果の通知までは30日以内となっているものの、自治体によっては、認定結果の通知が届くまで2ヶ月程度要するケースがあります。
退院前に介護認定を受けられると、退院後の状況に合わせた介護サービスの利用計画を立てることができますし、必要となるバリアフリー工事についても、事前申請を要件に費用(上限20万円)の9割を保険で賄うことができます。

できる限り早く介護認定を受けるためにも、必要な時にすぐ申請できるよう、窓口の場所や段取りを事前に確認しておくことが大切といえるのです。

要介護認定前でもサービスは受けられる

では、認定結果が出る前に退院することとなり、介護サービスの利用をお願いしたい時はどうすればよいのでしょうか?
実は、介護認定の効力は申請日に遡るため、公的介護保険の利用は認定前であっても可能となっています。ケアマネジャーさんを中心に、入院先の病院の看護師さんやソーシャルワーカーさん、地域包括支援センターの保健師さんなどと相談し、現在の家族の状況や希望するサービスを伝えれば、それに合わせて必要な段取りを教えてもらえます。

ただし、認定前のサービス利用には注意点があります。それは、介護認定結果に応じて介護保険の適用対象となる限度額が違うこと。例えば、要介護2の認定を受けた場合の上限は約20万円、要介護3の認定を受けた場合の上限は約27万円といった感じです。
仮に、要介護3の認定が下りるだろうと考え、月額25万円ぐらいのサービス利用をしたとしましょう。その後正式に出た認定が要介護2となれば、上限額をオーバーした約5万円が全額自己負担となってしまうのです。

近くの地域包括支援センターに相談しよう

子育てと違い、介護はいつ始まっていつ終わるのかを予測することができません。ご家族の中で介護を要する状況になった時、家族の中で誰がどのような役割を担うのか、財産管理をどうするのか、入所する施設をどう考えるのか等、家族間のコミュニケーションを円滑にしておくことはとても大切な準備となるのです。なお、介護だけに限らず、高齢者に関する悩みや問題がある際は、お近くの地域包括支援センターに相談するようにしましょう。

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栗本 大介

株式会社エフピーオアシス代表取締役
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融知力普及協会認定シニアインストラクター
1971年滋賀県生まれ。立命館大学卒業後、個人的な興味から、大手資格スクール在職中の1995年にFP資格を取得。生命保険会社を経て2001年にFPとして独立。
現在は、共済団体や労働組合、金融機関、大学等を中心に年間100回を超える講演を行うほか、コミュニケーション手法を取り入れた相談実務研修の講師も行っている。18年に及ぶFP講座の講師経験を生かした資格取得のための受験対策講座にも定評があり、「国民総FP化」を目指し、FP知識の普及、啓蒙活動に力を入れている。
また、専門家プロファイルの相談員やメールマガジンの配信を行うほか、テレビやラジオでも活躍中。FPの学習法を中心とした書籍も4冊出版。日経マネーDIGITAL等の専門誌・業界紙でのコラム執筆多数。2010年「金融知識普及功績者」として金融庁と日本銀行から表彰を受けている。
http://fpoasis.jp/

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