知っているようで知らない相続税の基礎知識

高橋禎美

2019.09.12.(木)

この2,3年の間に、相続税の話題が多く見られるようになりました。TVのワイドショーや週刊誌でも特集が組まれるなど、今もなお注目されています。
相続税を払う人とは、財産をたくさん持っている人、資産家でしょ?と思われている方は多くいらっしゃいます。

でも、本当にお金持ちの世界のことなのでしょうか。平成27年から相続税の税制改正が適用されて、相続税に関係する人が倍増するという現象が起きました。みなさんは、本当に無関係なのでしょうか?

参考:国税庁「被相続人と相続税発生件数」

相続税の発生件数が、税制改正によって倍増

人が亡くなると、同時に相続が発生します。亡くなった人の持っていた財産を相続する人を相続人と言いますが、その中でもなくなった人との血筋の関係から、相続してしかるべき人を法定相続人と言います。亡くなった人は相続をされる人という意味合いで被相続人と呼んでいます。

平成28年に税務局が公表しているグラフです。青の線はその年に亡くなった人の数(被相続人の数)を取っています。ゆるやかな右肩上がりの線になっているのが見て取れます。一方、赤が表しているのは、被相続人の数のうち、相続税が発生した件数です。赤の数を繋いでいる線を見ると、平成26年まではほぼ一直線の形状をしていたグラフが、平成27年になると急に傾きを大きく上げて急増しているのことを見ることができます。

平成26年において、被相続人(青の数)のうち相続発生件数(赤の数)の割合を見ると4%です。これが平成27年になると127万人の被相続人のうち相続税発生は10万3千人、割合にして8%へ倍増しているのです。つまり相続税を払うことになる可能性がこの1年で2倍になったのです。

相続をスムーズにする「基礎控除」が縮小?

その理由は今回の税制改正によって、控除額が大幅に減ったことに起因しています。そもそも、相続税はどのような場合に発生し、金額が決まっていくのでしょうか。その流れを説明します。被相続人の財産があります。それに直接相続税を課税してしまうと、莫大な相続税を払わなければならなくなり、相続財産を手放すケースが増えてしまいます。

相続されていく財産は、先祖から繋がる、祖父母の代そして父母から受け継くもの、そして次の世代に受け継がせたいものです。そこに大きな税を課す前に、控除できる枠があるのです。相続する財産からまず控除額を差し引いて、評価が小さくなった財産に対して相続税を掛けます。ですので、差し引いて良い控除額が大きければ相続税課税額が小さくなり、さらに控除額が相続財産よりも大きければ、支払う相続税は0円となります。

それが、平成27年の相続税法改正によって、基礎控除額がそれまでの6割に縮小されました。これによって相続税発生件数が倍増したのです。

参照:国税庁「遺産に係る基礎控除額の改正」

大幅な基礎控除額の減少によって、相続税課税件数が倍増し、相続税を払うことになった人が増えました。一方で課せられる相続税率については累進課税になりますが、課税税率もまた税制改正を機に高く変更されています。ちなみに、相続税を納税したその平均額はH28年において1,750万円でした。この額を現金で納付するのです。皆さんは急に現金でこの額を用意することができますでしょうか。

残られた人を困らせないために

相続が発生して困ることになる前に、今のうちに準備しておくことがあります。それは、相続計画を立てておくことです。相続計画を立てるには、資産状況の確認から始めていきますので、まず始めに相続税がかかるケースとなるのかを確認できます。

なかなか財産がいくらあるのかを聞きにくいものです。

少なくとも自分の相続人に対して、相続における税負担があるのかどうなのか、という不安を与えないようにすることはできますよね。一度ファイナンシャルプランナーなどに相談されてみると全体像が見えてきます。

相続税に支払いがあるかどうかは、持っている財産の総額の確認が大事ですが、資産を並べて書き出してみると、現金が少ないとか不動産に偏っているとか、内訳や割合なども見えてきます。そこから始めて対策すべきことが見つかります。早めの相続計画作成をお薦めいたします。FPなど専門家にご相談ください。

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高橋禎美

ファイナンシャルプランナー/ 一種証券外務員/ パーソナルカラーアドバイザー

大手アパレルメーカーを退職後、FPとして独立。個人FP相談や投資初心者の女性に向けた「はじめての投資」セミナーを開催中。お金とファッションに興味のある30代以上の女性に支持されている

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