金融庁の言う通り老後は公的年金だけでは不足し、自助が必要なのか?

松浦 建二

2019.07.21.(日)

6月3日に金融庁が発表した「高齢社会における資産形成・管理(金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書)」がニュースで頻繁に取り上げられています。簡単に言えば公的年金だけでは老後の生活費が不足するので、自助努力も必要とする内容です。この報告書をどのように受け止めれば良いか、ファイナンシャルプランナーの立場から考えてみました。

老後の生活では月々5万円不足する

「高齢社会における資産形成・管理」の内容は、高齢社会を取り巻く環境変化の現状を確認するところから始まっています。以下に主なポイントをまとめてみました。

現状の内容で一番のポイントは、老後の生活費が公的年金等では月々5万円不足するので、資産を取り崩す必要があるということです。老後を公的年金だけで生活することが厳しいのは多くの人が既に感じているところであり、国(金融庁)の報告書に記載されたことに重みがあります。70歳以降も働きたいと考えている60歳代には、働くのが好きな人や生き甲斐を感じる人もいるでしょうが、働かないと生活できない人もかなり含まれているような気がします。

時代は一億総中流から格差社会へ

次に現状を踏まえての基本的な視点や考えられる対応策について、主なポイントをまとめてみました。

報告書には「現役期」「リタイヤ期前後」「高齢期」に分けて考えられる対応方法が書いてあります。例えば現役期では、「早い時期から資産形成の有効性を認識し、緊急予備資金用に元本保証の預貯金を確保したうえで、長期・積立・分散投資による資産形成を行うと良い。自分にあったライフプラン・マネープランを検討し、必要に応じて信頼できるアドバイザー見つけて相談するのも良い。金融商品の提供者は長期的取引ができるところを選ぶと良い。」のような記載があります。

マネープランの改善策として明確な目標設定と現状確認は非常に大事です。自助の方法としていくつか挙げられていますが、どれをするか、どのくらいするかは個々によって異なります。

報告書の中に『かつて「一億総中流」と呼ばれた日本社会であった』との記載を見つけました。一億総中流は既に過去のことになってしまったようです。退職金や不動産の有無等で、これからは貧富の格差が広がっていくのでしょう。

金融リテラシーの向上とアドバイザーの充実

金融リテラシーの向上は非常に重要であり、小学生くらいから継続して学ぶ場があると良いので、今後の取り組みの強化を期待します。現在の働き世代では老後のことを考える余裕がない人も多く、良きアドバイザーをみつけて頼りにする(餅は餅屋)のも良いでしょう。

ワーキング・グループのメンバーをみると投資の専門家が多いので、報告書は金融庁と投資関係者が老後の不安を解消するために投資を推進しているようにも受け取れます。また、報告書では収入や資産が十分でない時への対応として、自宅等の不動産の売却や住居費や生活費が相対的に安い地方への移住にも触れています。ライフプランを考えるうえで不動産や移住を選択肢に入れることは問題ないですが、それであれば不動産に精通している人も加えて、もう少し広い視点から丁寧な報告をした方が良かったと感じます。

報告書は厳しい内容ですが、一人一人が現状を知り,老後に向けた行動を起こすきっかけとなれば良いのではないでしょうか。

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松浦 建二

CFP®認定者・1級ファイナンシャル・プランニング技能士。青山学院大学卒、大手住宅メーカーで戸建てやアパートの営業を経験後、外資系生命保険会社へ転職し生命保険と投資信託の営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する執筆や講演も多数おこなっている。青山学院大学非常勤講師。http://www.ifp.cc/

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