予定利率が低い時期に積立型保険に加入しない方が良い理由

添田享

2019.07.15.(月)

前回は保険会社の予定利率についてお話しをさせて頂きました。予定利率とは保険会社が想定している運用利回りであり、保険会社は国内の債券(国債、地方債、社債など)を中心に運用していることから、ここ近年の低金利環境下では、予定利率を低くせざるを得ない状態になっているわけです。

さて、年金保険や終身保険など、いわゆる積立型の保険では、保険料の一部を積み立て生命保険会社が運用しているわけですので、予定利率が低ければ、積み立てられた金額の増え方も小さくなることから、予定利率が低ければ、その分保険料を高くするしかないわけです。

この予定利率は、保険の契約時点で決まってしまいます。もし、保険を契約した後、国内の金利が上昇して保険会社の運用環境が良くなっても契約時点の予定利率は変わらず、もちろん、その後も支払う保険料は変わらないわけです。

年金保険においては、その予定利率と実際の運用の利回りの差を還元する「利差配当型」という保険もありますが、終身保険ではこのような利差配当のない「無配当型」が一般的です。また、保障の内容が全く同じで利差配当の有無だけ異なる場合、「利差配当型」の方が「無配当型」の保険よりも保険料は高くなっています。そのような理由もあり「利差配当型」はあまり積極的に販売されていません。

一般的に予定利率は公表されておらず、保険会社がどのような予定利率を用いているか正確にはわかりませんが、保険会社の負債の一つである「責任準備金」の計算時の予定利率である「標準利率」と大きく異ならないものとすることが一般的です。現在、この標準利率は0.25%ですので、よって、現在の予定利率の多くは1%以下であると考えることができます。ちなみに2000年代前半あたりでは、予定利率が2.75%ということもありましたので、やはり現在の予定利率は非常に低い水準であることがわかります。

もし、今、年金保険や終身保険などの積立型の保険に加入してしまうと、保険期間が終わるまで(年金保険の場合は年金支払期間が終わるまで)、同じ予定利率が適用されてしまうわけです。加入時の年齢によっては50年以上も同じ予定利率が適用されてしまうわけで、それはもったいないことですよね。

では、このような予定利率が低い中で、老後に備えるにはどうすればよいかというと、一つは生命保険会社が販売している変額保険が考えられます。このタイプの商品は、予定利率に関わらず、運用した結果が将来の受取額になるわけです。もちろん運用した結果、増える可能性も減る可能性もあるのですが、予定利率が極端に低い状況であれば、そのリスクをとるという選択肢もあるわけです。

もう1つの選択肢は、生命保険会社の保険商品ではなく個人型確定拠出年金「iDeCo」に加入するというものです。iDeCoについても、拠出した掛金の運用した結果が将来の受取額になるところは変額保険と同じですが、原則的に60歳未満での引き出しは不可ですので、その点には注意が必要です。ただ、iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」が適用され全額所得控除となりますので、税制メリットは大きいです。

先ほども述べたとおり、現在の国内金利はかなり低い水準となっています。積立型の保険への加入には慎重になるべきであるわけで、変額保険やiDeCoという選択肢も考えた方がよく、このあたりを熟知している専門家、例えばアクチュアリーやDCプランナーなどにご相談されることをお勧めいたします。

【前回の記事はこちら】
生命保険の「予定利率」とは?

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添田享

日本アクチュアリー会正会員、日本証券アナリスト協会検定会員。1級DCプランナー。アクチュアリー・ゼミナール講師。大学、大学院で数学を専攻し、大学院修了後、アクチュアリー候補生として信託銀行に入行。その後、証券会社、生命保険会社などで一貫してアクチュアリー業務に従事。
アクチュアリーの中でも、生保アクチュアリー、年金アクチュアリー双方で業務経験が豊富である数少ないアクチュアリー。現在は、アクチュアリーの業務経験を活かして、アクチュアリー試験などの金融関連資格の講師、数学の講師など幅広い分野で活躍。

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