訪問看護は、医療保険と介護保険どちらを使う?

黒田尚子

2019.05.13.(月)

病気やケガをしたとき、ほとんどの人は、自ら病院に行って治療を受けるでしょう。けれども、介護が必要な高齢者や慢性疾患をお持ちで在宅療養をしている方など、かかりつけ医の指示で、自宅や老人介護施設などに看護師等が訪問し、病気や障害に応じて看護を行う場合があります。

一般的に、これを「訪問看護」と言いますが、公的保険の対象となりますので、一定の自己負担分で利用できます。
ただ、公的医療保険と公的介護保険は同時に使うことはできません。利用者の年齢や疾病等によって、いずれが適用になるか異なります。

「公的医療保険」の適用になる人は?

まず、公的医療保険による訪問看護が適用になる場合は、医師から「訪問看護指示書」の交付がある人で、次の条件に該当する人です。

・40歳未満の人
・40歳以上65歳未満で、要介護・要支援の認定を受けていない(特定疾病(*1)対象外)の人

つまり、現役世代で、介護認定等を受けていなければ、公的医療保険が適用されます。
また、訪問看護を利用できる回数は、「1日1回、週3日まで、1カ所の訪問看護ステーション利用」が基本です。

しかし、特例として、厚生労働大臣等が定める疾病等(*2)の対象になる人は、「1日複数回、週4日以上、2か所以上の訪問看護ステーションの利用可」となっています。

*1:公的介護保険の第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が介護保険を申請できる疾病のこと。末期がんや関節リウマチ、初老期における認知症など16種類が定められている。
*2:末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、パーキンソン病関連疾患など。

「公的介護保険」の適用になる人は?

一方、公的介護保険による訪問看護が適用になる場合は、医師から「訪問看護指示書」の交付がある人で、次の条件に該当する人です。

・40歳以上65歳未満で、要介護・要支援の認定を受けている(特定疾病の対象)の人
・65歳以上で、要介護・要支援の認定を受けている人

基本的に、40歳以上で、介護認定を受けていれば、公的介護保険が適用されると覚えておきましょう。

ただし、前述の厚生労働大臣等が定める疾病等に該当した場合、公的介護保険の利用者であっても、公的医療保険が優先されることになっています。
公的介護保険の適用となる場合、利用できる回数などは、ケアプランに基づいて決められます。

「訪問看護」にかかる費用はどれくらい?

気になる費用負担ですが、これも適用される保険の種類や所得・年齢などによって異なります。
まず、公的医療保険が適用になる場合、70歳未満は3割(6歳未満は2割)、70歳~74歳までは2割(現役並み所得者3割)、75歳以上は1割((現役並み所得者3割)です。
費用が高額になれば、訪問看護の基本利用料は「高額療養費」の対象となり、負担を軽減することが可能です。

そして、公的介護保険が適用になる場合、自己負担は原則1割で、一定の所得者については2~3割になります。
これらの負担で利用できる金額は、要介護度に応じて支給限度額が設定されており、それを超えたサービス分は全額自己負担です。
介護費が高額になった場合も、「高額介護サービス費」や、医療費と介護費を合算できる「高額医療・高額介護合算療養費」などがありますので、かなり負担は軽減できるはずです。
また、訪問看護は、「医療費控除」の対象となる居宅サービス介護の対象にもなっていますので、税金の還付も受けられます。

民間保険も医療から介護の流れの際には要注意!

訪問看護に関わらず、自己負担分が異なれば、受けた治療が、公的医療保険と公的介護保険のいずれが適用になるか注意しておく必要があります。

そして、それは民間保険も同様です。
例えば、「がんや急性心筋梗塞、脳卒中などの三大疾病の入院は無制限」という医療保険に加入していた場合、要介護状態になり、介護施設等に入所することになると、これらの治療が必要な人でも、原則として入院給付金は受け取れません。

介護が必要な高齢者は、何らかの持病や疾病を抱えているケースがほとんどです。医療と介護は、常にセットで考えるようにすることをお勧めします。

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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