もしも病気やけがで働けなくなってしまったら? 障害年金の検討も

現役時代に病気やけがによって日常生活に支障がでたり、働けなくなってしまったりした場合、収入は不安定になってしまうケースも多いことでしょう。実はそのような人達を助ける公的年金の制度があります。それは障害年金。障害年金は条件を満たせば現役世代の人でももらえる年金です。どのような病気やけがが対象になるのか? いくらくらいもらえるものなのか?
ご紹介しようと思います。
現役世代の人でももらえる公的年金がある
公的年金と聞くと「年をとった時にもらえるもの」というイメージがあると思います。ですが、条件を満たせば現役世代の人でももらえる公的年金があります。それが障害年金です。障害年金は、年金加入中の病気やけがによって日常生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の人も含めて請求することができる年金です。では、障害年金の対象となる病気やけがにはどのようなものがあるのでしょうか?
以下に対象となる主なものをあげてみます。
・体、手、足、眼、耳、などの外部障害
・呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液造血器疾患、糖尿病、がん、などの内部障害
・うつ病、統合失調症、双極性障害、発達障害、知的障害、認知障害、などの精神障害
※上記以外にも障害年金の対象になるものもあります。詳しくは主治医に相談してみてください。
今までは障害年金の相談というと、脳梗塞や脳出血などで半身麻痺や全身麻痺になってしまった、糖尿病が悪化して人工透析になってしまった、心臓にペースメーカーを入れた、生まれつき眼や耳が不自由、などの体に関するものが多かったです。しかし、最近はその傾向が変わりつつあります。
精神疾患での相談が増えている
精神疾患でも障害年金の請求ができる。
そのような情報がインターネットで簡単に手に入るようになったためか、最近では20代から40代の若い世代の相談が多くなってきました。
無理して長時間労働を続けてきたため、心と体を壊してしまった。
会社でいじめや嫌がらせなどのパワハラを受けて働けなくなってしまった。
学生時代に不登校になり、そのまま成人した今も社会との接点が乏しく、自分を責め続けてしまい精神疾患を発症してしまった。
などなど、事情は様々ですが、精神疾患を発症してしまい、長く働き続けることが難しくなってしまった人の相談が増えいます。障害年金はその病気やけがで初めて病院などで診療を受けた日にどの年金制度に加入していたかによって、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらかに分かれます。初めて診療を受けた日が国民年金加入中や20歳前の場合は障害基礎年金に、厚生年金加入中だった場合は障害厚生年金になります。では障害年金に該当した場合、いくらくらいもらえるものなのでしょうか? 事例でみてみましょう。
障害基礎年金2級に該当した場合の例
妻と子どもが1人いるものとする
(※1)ここでいう子とは、18歳になった最初の3月31日までの子、または、20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にある子のことをいう。以下同じ。
(※2)年金額はすべて2019年度の金額。以下同じ。
障害年金厚生年金の2級に該当した場合の例
妻と子どもが1人いるものとする
本人の年収は480万円とする
(※3)年金額の計算は、平均標準報酬額×5.481/1,000×加入月数で概算。
平均標準報酬額は400千円、加入月数は300カ月みなしとしている。
障害年金の金額は、加入していた年金制度や加入期間、家族構成により人それぞれです。事例の金額はあくまでも参考程度にとどめておいてください。
診断名がついたからといって、必ずもらえるものではない
障害年金は、例えばうつ病と診断名がついたからといって必ずもらえるというわけではありません。障害年金をもらうためには認定基準に該当するくらい症状が重い必要があるからです。しかし、医師ではない者が認定基準に該当しそうかどうかなんてわかるはずもありません。
そこで主治医に次のように相談してみるとよいでしょう。
「障害年金の級でいうと何級くらいになりそうですか? 」
「障害年金に該当しそうなくらい症状は重いでしょうか? 」
そうすると
「そうですね。障害年金を請求してみたらどうですか? 」
「今は症状が軽いので、しばらく様子をみてみましょうか」
など、何かしらの返事はもらえると思います。
なお、主治医が言ったからといって、必ずしも障害年金がもらえるとは限りません。あくまでも参考程度にとどめておきましょう。仮に障害年金が認められなかったとしても、主治医を責めることのないようにしてください。
障害年金は条件に該当すれば現役世代の人でももらえる年金です。病気やけがが原因で収入が不安定になってしまった時に助けてくれる心強い制度と言えるでしょう。しかし、障害年金は制度が複雑で、かつ、提出すべき書類が多岐にわたるケースも少なくありません。ご自身やご家族で請求することが難しい場合、年金の専門家である社会保険労務士に依頼をすることも検討してみましょう。
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浜田裕也
社会保険労務士
ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士会の業務委託で年金相談の実務にも携わるようになり、その相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請の仕方のアドバイスには定評がある。
日本でいちばん簡単な年金の本(洋泉社 第3章監修)
転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話(SB新書 監修)がある。