お金のことでがんに負けないために、医療費への対策法を知っておこう

續恵美子

2019.04.26.(金)

今年1月に厚生労働省から2016年のがん患者数が発表されましたが、新たにがんと診断された患者数は全国で99万5,132人。これが多いか少ないかは判断できませんが、2016年の日本の人口から考えると、1,000人いれば8人が新たにがんと診断されている計算になります。

がんは日本人の死因第1位ではありますが、決して治らない病気ではないと聞きます。しかしながら、治療費が高かったり、勤労を制限されたりするなど経済的な問題で治る確率を低めているケースも多いようです。実は筆者も十数年前の桜の散る頃にがんで父を亡くしましたが、さまざまな経済的問題に直面した経験のある1人。今となっては「あの時ああしていればよかった」「こうすべきではなかったか」と思うことが多々あります。

今回は、がんで気になる医療費と対策について考えていきたいと思います。

がんにかかった時の医療費はどれぐらい?

がんの治療費は高い――そんなイメージを多くの人が持っているのではないでしょうか。

ひとくちにがんと言っても部位やがんの進行度によっていくつかの治療法があります。また最近では、どんな治療法を選びたいかといった患者や家族の意思を尊重する傾向にあります。これらを総合的に判断しながら治療法を選択することになりますが、どの治療法をとるかによって医療費は変わります。

そのため一概に高いと決めつけることは適切ではありませんが、公表されている各種医療費データを見ると数十万円単位の医療費がかかっていることがわかります。たとえば、厚生労働省が公表している「医療給付実態調査(平成27年度)」によると、男性に多いとされる肺がんでは約64万円、女性に多い乳がんでは約55万円という状況です。

とはいえこれらは健康保険の対象となる治療・入院に関する費用。健康保険が利けば実際に患者が払う金額は3割ですから、肺がんでは約19万円、乳がんでは約17万円ということになります。

一方で、最近では入院せずに抗がん剤や放射線などでの通院治療を施すケース、公的医療保険の対象とならない先進医療などの治療法を採用するケースも増えてきています。たとえば、がんに対する放射線治療で有効とされる重粒子線治療は公的医療保険の対象とならない先進医療。厚生労働省発表の資料によると、現在300万円程度の医療費がかかっている状況です。

まずは「高額療養費制度」で対策

年齢によって健康保険の自己負担割合は異なるものの、現役世代の人なら一般的には3割の自己負担で済むということは前述したとおり。それでもがんで入院すると20万円近くのお金を払わなければならないとすれば、多くの人には大きな負担を感じるのではないでしょうか。

そこで「高額療養費制度」について知っておきましょう。(国民)健康保険では、ひと月(1日から月末まで)当たりの「自己負担限度額」が決められています。実際にひと月に支払った医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超えた分を後日払い戻してくれます。これが高額療養費といいます。

自己負担限度額は被保険者の年齢や所得状況、直近1年間に高額療養費の支給を受けた回数等によって計算式が決められています。

たとえば、会社員の人で給与(標準報酬月額)が28万円以上53万円未満なら、次のように計算します。

自己負担限度額=80,100円+(医療費-267,000円)×1%

仮に肺がんで1カ月間の保険適用治療費が64万円だった場合のケースでみてみましょう。
健康保険の自己負担額は
640,000円×30%=192,000円

ところが高額療養費の自己負担限度額は
80,100円+(640,000円-267,000円)×1%=83,830円

つまり、192,000円-83,830円=108,170円が高額療養費として支給されることになります。

必要に応じて保険で備えを

健康保険が適用となる医療費に関しては、高額療養費を申請することで経済的負担が軽減されることがおわかりいただけたかと思います。

しかし先進医療を受ける場合は健康保険の適用とはならず、高額療養費も支給されません。万一のことを考えるなら、民間の保険で備えをしておくのが賢明でしょう。先進医療に関する保障はがん保険以外にも、一般の医療保険に先進医療特約を付加する方法もあります。

また、一般的にはがんにかかると生活上のさまざまな制限がかかり、治療費以外にも経済的な負担がかかる場合があります。たとえば移動にはタクシーを使うことを余儀なくされる場合もあります。家庭によっては家事代行サービスを頼まなくてはならなくなるケースもあるでしょう。

このような経済的負担に関しては、がん保険の診断給付金などの一時金で対応することができるでしょう。付き添う家族も病院と家と職場を行ったり来たり。療養生活に必要な物があれば度々買い物にも行くことにもなります。そのような家族の経済的負担にも役立てることができるかもしれません。

自分や家族ががんに罹患するリスクがあるのか、もしもがんになったらどれだけ進行するのかなどは誰にも予知できません。しかし、一部の医療保険を除き、病気がわかってからは加入できないのが通常です。過度に保障を大きくするのは保険料のムダになりかねませんが、自分にとって「もしもガンになったら」どれだけ対策ができるのか、生活・仕事・金銭面などあらゆる方向から検討し、もっとも自分に合いそうな保険で備えをしておきたいですね。

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續恵美子

ファイナンシャルプランナー(CFP®)
夢や希望を持ちながらも、一歩を踏み出せない――お金の知識を教えることで、そんな女性が一歩踏み出す支援をしたいという想いとともに、ファイナンシャルプランナーとして活動。
プライベートでは南仏移住して10年以上。仕事・家庭・自分の人生を活き活き送る、多くのフランス人女性から学んだことを日々の活動に実践している。

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