不動産市場が低迷期に入る初期の兆候

中原圭介

2019.04.23.(火)

近年、不動産投資がブームであったのは、地方銀行が金融緩和により溢れたマネーをリスク度外視で不動産投資を始める人々に融資してきたからです。

貸家の空き家が増えていく

私はこれまでリスクのある貸家への融資に傾斜している地方銀行に対して、警鐘を鳴らし続けてきました。貸家の需要が高まっていないのに供給を増やし続けるというのは、これから本格的な人口減少社会が到来するなかで、空き家が増え続けていく結果を招くことになるからです。

供給過多にある貸家の供給がさらに増え続けるのは、長い目で見れば、全国的に貸家の賃料が大きく値下がりすることを決定づけてしまっているといえます。全国ではすでに500万戸以上の貸家が空き家となっていると推計されていますが、今後も貸家の空き家は加速度的に増えていくことになるでしょう。

それは、不動産投資をしている人々にとって、将来的に融資の返済原資である家賃収入が落ち込むということを意味しています。すなわち、地方銀行が貸家への融資を増やせば増やすほど、将来に発生する不良債権予備軍を増やしているというわけです。

不動産業者が在庫圧縮を進めている

不動産市場が早めに低迷期に入る契機となっているのが、社会問題化したスルガ銀行の不適切な融資です。この不適切な融資が表面化したことで、地方銀行が個人に杜撰な不動産向け融資をするのが困難となり、投資用物件の相場が下げに転じ始めているのです。

そのような流れのなかで、不動産業者のあいだではアパートやマンションといった投資物件の在庫を圧縮する動きが広がり始めています。多くの不動産業者が投資物件の在庫圧縮を進めると、「売るから下がる、下がるから売る」という悪循環にはまり込む可能性が高まっていきます。

地方銀行が個人への融資を絞りつつある環境下では、投資資金のほぼすべてを融資で賄う不動産投資に悪影響が大きいのは間違いありません。融資を受けられない個人による物件購入のキャンセルが増えて、在庫が増えた不動産業者は実に多いのです。そのため、不動産業者は経営リスクとなる在庫を減らそうとして、大幅な値下げも辞さない販売を強いられています。

不動産市場に低迷の兆し

不動産業者が在庫圧縮を進めて売っている影響もあり、投資用物件の価格は下落基調に入ったと見られています。不動産アナリストのあいだでは、投資用物件の価格はしばらく下がり続けるだろうという意見が増えてきています。

融資を必要としない個人までもが投資用物件の価格下落によって近づかなくなると、不動産市場全体の価格下落にも結び付きかねないとの懸念が現実のものとなるかもしれません。今のところ不動産市場はオフィスビルを中心に成長を持続していますが、低迷期に入る初期の兆候は表れ始めているといっても差し支えないでしょう。

私のブログ『経済を読む』においては、経済や投資の大事な局面ではその流れを分析しているので、ぜひ参考にしてみてください。
http://blog.livedoor.jp/keizaiwoyomu/

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中原圭介

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。 主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『ビジネスで使える 経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)、『日本の国難』『お金の神様』(講談社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点で日本の将来を考える』を好評連載中。

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