バフェットの苦悩が映し出す米国株の割高感

中原圭介

2019.04.09.(火)

伝説の投資家であるウォーレン・バフェットは現在、かつてないほどに投資に苦しんでいます。その内容というのは、バフェットがバークシャー・ハザウェイの株主に宛てている「株主への手紙」(手紙は1年に1度公表される)に示されています。

バフェットの「ネガティブ」な手紙

今年の手紙のなかには、「長期的な展望が見込める企業を買うには、今はその価格があまりにも高すぎる」「今後ずっと保有できる株式に余った資金を使いたいが、その展望は明るいとはいえない」といったネガティブな言葉が並んでいます。

これらの言葉が発せられた背景には、世界で膨張するマネーが企業の本来の価値を大幅に上回る水準にまでM&A価格を押し上げているということがあります。現実にバフェットは、2016年1月に航空・エネルギー向け金属部品製造のプレシジョン・キャストパーツを買収して以来、大型のM&Aをまったくしていません。

M&Aが困難になっている事情

みなさんもご存知のように、バフェットは割安に放置されている企業の株式に投資したり、M&Aをしたりして、バークシャーを世界でナンバーワンの投資企業に育てあげました。しかし、溢れたマネーによって多くの割安株の価格が高騰し、バフェットといえども3年にわたって大型のM&Aを実現するのが困難になっているのです。

そのような状況から、バフェットは2018年から自社株買いを実施していますが、その自社株買いは2019年も2020年も継続される見通しにあります。これは、米国株の先行きが決して安泰ではないことを暗示しているように思われます。

米国株式市場の関係者は楽観的だが…

ところが、米国の株式市場の関係者の多くはバフェットとは対照的に、楽観的な見通しのもとに行動しています。米中の貿易協議は決裂しないというのが絶対条件ではありますが、米国株は4月には再び高値を抜いて上昇し続けるという意見が大勢を占めているのです。

たしかに、FRBが金融引き締めを緩めたことによって、株式市場は再び安定を取り戻すことができました。しかし、FRBが金融引き締めを緩めたのは、それだけ景気の減速や後退への懸念が強いという事態を表していることを忘れてはならないでしょう。

(お知らせ)私のブログ『経済を読む』においては、経済や投資の大事な局面ではその流れを分析しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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中原圭介

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。 主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『ビジネスで使える 経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)、『日本の国難』『お金の神様』(講談社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点で日本の将来を考える』を好評連載中。

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