長引く病気の強いミカタ「傷病手当金」とは?

黒田尚子

2019.02.15.(金)

病気になって気になるのは医療費ばかりではありません。手術や治療のため入院したり、治療の副作用などのため、自宅で療養したりして、仕事を休まざるを得なくなると、その分収入が減ってしまいます。

公的制度には、収入がダウンした場合に備えられる「傷病手当金」というしくみがあるのをご存じでしょうか?

この制度は、会社員や公務員など限定で、自営業や自由業などが加入する国民健康保険にはありませんが、知っていれば、病気療養中の強いミカタになるはずです。

給与の2/3が最長1年6ヵ月受け取れる

傷病手当金とは、健康保険に加入している会社員本人が受給できるものです。入院せずに自宅で療養していたとしても、病気やケガが原因で働けない状態であれば対象になります。

受給額は、1日につき標準報酬日額の2/3。おおまかに言うと、毎月の給与が30万円の方であれば、一ヵ月丸々休んで給与が出ない場合、20万円が受け取れます。

受け取れる期間は、1つの傷病につき最長1年6ヵ月です。仮に、半年間、20万円が支給されれば120万円が受け取れるわけですから、病気療養中の生活の基盤になります。しかも、税金はかかりません。

傷病手当金の3つの要件とは

では、傷病手当金を受け取るためには、どのような要件があるのでしょうか?おもに、次の3つの条件を満たす必要があります。

・(業務上や通勤災害以外の)病気やケガにより療養中であること。
・働けない状態(労務不能)であること。
・4日以上会社を休んでいること(連続して3日間会社を休み、その後も休んでいる)。

上記③については、会社を連続して休み始めた最初の3日間を「待期期間」と言います。待期期間は、会社所定の休日あるいは無給・有給にかかわらずカウントされますので、毎週土日が休みの会社で、土日月の休みでも待期期間は完成するわけです。

このほか、休業中は給与(報酬)の支払いがないこと。あるいは、無給ではなく減額支給されている場合、傷病手当金は支払われますが、差額分のみとなります。

傷病手当金を受給する原因となった傷病で多いのは?

協会けんぽの調査(※)によると、傷病手当金の受給の原因となった傷病で最も多いのは、「精神及び行動の障害」(28.6%)。次いで「新生物」(19.19%)となっており、この2つでほぼ半数を占めています。

要するに、うつ病やがんに罹患して会社に行くことができなくなり、傷病手当金を受け取っているケースが多いということです。

協会けんぽ「現金給付受給者状況調査(平成29年度)」

傷病手当金受給後、復職して、再び病気になったら?

とくに、うつ病などは、会社を休んだり、戻ってきたりを繰り返すイメージがありますよね。その場合の傷病手当金の扱いはどうなるのでしょうか?

まず、傷病手当金を受け取っている人が、調子が良くなって復職した場合、復職中なら傷病手当金は受給できません。

そして再び具合が悪くなって療養した場合、待期期間はなく、すぐに受給できます。ただし、1年6ヵ月というのは、実際に受給した期間ではなく、例えば、復職して受給していない期間があっても、受給開始日から1年6ヵ月後に受給期間は終了してしまいます。

ですから、支給開始日から1年6ヵ月が経過した後に、その傷病で休んだとしても、支給は打ち切りです。

違う病気やケガで休業したら、新たに傷病手当金が受け取れる

しかし、ここは要注意なのですが、これは、同一傷病の支給期間についてのお話です。

例えば、うつ病で傷病手当金を受け取っていた方が、支給期間が終了した後などにがんなど他の病気で休職することになった場合、新たに1年6ヵ月まで支給されることになります。

傷病手当金を受け取れるのは1回まで、と思っている人が多いので、よく分からなければ、加入している健康保険で確認してみましょう。

老後の不安を徹底解消!いまから始める定年後のお金対策

最新記事・限定情報はTwitterで配信中♪

黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

  • 「1ヶ月無料お試し」に注意!いつの間にか有料会員に?

    詳細を見る
  • 定年後・シルバー起業は楽ちんでハッピー!《大江英樹インタビュー》

    詳細を見る
  • 米中摩擦激化の中、新興株が意外に奮闘?

    詳細を見る

こんな記事も読まれています

定年後・老後定年後・老後 |  生活生活 |  考え方考え方

今からでも間に合う! 50代で定年後に必要な生活資金を知り、働ける期間に貯蓄を。

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  増やし方増やし方

50代の老後資産のつくり方 ~もしも55歳で3つの「積立投資」を始めたら~

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  考え方考え方

定年退職後の健康保険、どうするのが正解?

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  考え方考え方

パートで厚生年金保険に加入すると 年金保険料は払い損?を検証

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  貯め方貯め方

年金が65歳から先延ばしの可能性も? 現在50代前半の男性は必見です

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  増やし方増やし方

アラフィフおひとりさまが今から準備する老後の収入について