トランプ政権不安による今後の世界株動向

宮崎悠

2019.01.17.(木)

2019年の大発会は452円81銭安の19,561円96銭(東証大引け)と大幅安で終え、期待するご祝儀相場とはなりませんでした。

去年の後半から益々強くなったトランプリスクは、新年も引き続き世界経済に暗い影を落としています。

米中貿易摩擦、マティス国防長官の辞任、国境の壁建設費用におけるトランプ大統領の強硬な姿勢により一部の政府機関の閉鎖が続くなど、去年から続く多くの問題の解決策が見えないまま、今年の世界の株式市場はどのような動きになるのでしょうか。

米中貿易摩擦の原因は何?

米中貿易摩擦の原因の一つが、巨額の対中貿易赤字です。2017年度の米国の中国からの輸入総額は5,050億ドル。これに対して中国の米国からの輸入総額は1,300億ドル。米国の対中貿易赤字は3,750億ドルを計上しています(因みに、対日貿易赤字は688億ドル、中国・メキシコに次ぐ3位となっている)。

中国からの安価な輸入品との競争に晒された米国内の地域では、製造業が衰退し賃金の低下や失業率が上昇、さらに物流・建設・小売りといった非製造業にも影響を及ぼしています。

(1990年~2007年までに中国との競争により米国の製造業で150万人以上の雇用を失ったとされる調査報告もある)

さらに米国側は、中国が為替操作国であることや知的財産の窃盗・スパイ活動・サイバー攻撃などにより米国経済と安全保障を脅かしていると主張しています。

米中貿易摩擦の経緯

以下に米中貿易摩擦の経緯を時系列にまとめてみました。

2018年3月

米国が鉄鋼とアルミニウム製品にそれぞれ25%と10%の追加関税を課す大統領令を出す(中国だけを対象としたものではない)。

2018年4月

最も多大な影響を受ける中国が反発。その報復として米国から輸入する果物などに15~25%の追加関税を課すと発表。

2018年6月

米国が、中国から輸入される自動車・情報技術製品・ロボットなどの1,102品目に追加関税措置を行うと発表(7月6日より実施)。
中国側も即座に、自動車や農産物などに合計878品目に追加関税措置を行うと発表。

2018年7月

米国は、中国からの輸入品818品目(340億ドル相当)に25%の追加関税措置を発動。これに対し中国も同規模の報復関税措置を発動。

2018年8月

米国はさらに中国からの輸入品248品目(160億円相当)に25%の追加関税措置を発動。その報復として、中国も米国からの輸入品333品目(160億ドル相当)に25%の追加関税措置を発動。

2018年9月

米国が関税措置第3弾として、中国からの輸入品5745品目(2,000億ドル相当)に2019年3月1日まで10%(3月2日からは25%の関税措置)の関税措置を発動。

これに対し中国は、米国からの輸入品5207品目(600億円相当)に5%と10%の関税措置を発動。

※この3回の関税措置の応酬により米国は2500億ドル分(中国からの輸入額の約半分)に追加関税を課し、中国は1100億ドル分(米国からの輸入額の約85%)に関税を課したことになります。

2018年10月

米政府は12月1日のG20で予定されている米中首脳会談において進展がなければ、第4弾の関税措置(全品目を対象)を12月初旬に発表(2019年2月に発効)することを検討していると報道される。

2018年11月

米政府は関税発動に加え、中国側の輸出規制や知的財産権侵害に対して起訴を検討していると報道される。

2018年12月

米中首脳会談において議論の90日延長を決め、これ以上の関税引き上げも延期された。

米中両国は期間中(3月1日まで)に合意事項の文書化に注力し、1月中には会合が実施される予定としている。

以上が大まかな米中貿易摩擦の経緯です。しばらくは表立った応酬は中断されるようですが、世界の覇権を目指し米国に挑戦する習近平国家主席とこれを許さないトランプ大統領。米中貿易戦争の底には、激化する覇権争いが潜んでおり本格的な米中冷戦の始まりと見る人も少なくないようです。

政府高官の離職率65%、裸の王様が世界を震撼させる!

2018年の年末には、「Mad Dog」と異名をとるマティス国防長官が辞任しました。トランプ政権内では同盟国との国際協調を重視する高官のほとんどが更迭や辞任に追い込まれ、トランプ政権高官の辞職率は65%と歴代政権の中で突出した高さになっています。さらに、FRBが4回の利上げを行ったことを執拗に非難し、パウエル議長の解任をも模索したという報道があり、投資家の不安は一挙に増幅されました。

2018年10月から下がり始めたNYダウは12月24日、この報道を受け653.17 ドル安の急落。26日は1086.25ドル高と急反発しましたが、トランプリスクが払拭されたわけではありません。

良識派を失いトランプ大統領の暴走を諫める人がいなくなった米政府、長期化も懸念される米中貿易摩擦、不透明な欧州情勢、シリアからの米軍撤収などによる中東情勢不安、米景気の失速懸念など不安材料は事欠きません。

日本では年末から急激な円高が進行し、警戒感を持った財務省・日銀・金融庁による臨時会合が1月4日に開催され、為替市場介入も辞さない姿勢を示しました。

会合は年末の12月20日・25日に続く3回目となり、政府や日銀の危機感の大きさが見て取れます。今年の世界株の動向は、トランプ政権やFRBの政策次第で大きく振られることになりそうです。

以前の米国は、「自国の国益を優先しつつも良識を持った大人の国」というイメージがありました。しかし現在は、72歳のトランプ大統領に不良少年の危うさのようなものを感じる人は少なくないでしょう。

2019年は世界的な大波乱相場となる可能性が大きいようです。

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宮崎悠

インテリアコーディネーター/福祉住環境コーディネーター。建築会社退職後、主婦ライターとして5年目。株式投資歴12年。

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