社会人2年目で手取りが減る原因は個人住民税。退職する人も翌年に注意!

【2020.3.16.(月)にアップデートした記事です】
社会人2年目で、1年目より給与が減った?!と驚いた経験はありませんか? それは個人住民税の徴収が1年遅れて始まるからです。退職後の翌年も徴収されるので、注意が必要です。
毎月の給与から差し引かれる税金や社会保険料。税金は所得税と個人住民税、社会保険料は厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険等。その中でもあまり知られていない個人住民税について解説します。
個人住民税は1月1日の住所地で課税
所得税は所得(もうけ)に課税する国税。国内に居住する者だけでなく、海外に居住する者でも国内源泉所得であれば、所得税が課税されます。
一方、個人住民税は地方税。均等割のほか、課税所得(もうけ)に対して10%の税率で課税されます。
つまり、国内に住所がない者には課税されず、1月1日現在の住所地で課税されます。
たとえば、1月1日に岐阜県大垣市に住んでいる人が、転勤のため、4月から愛知県名古屋市に引っ越した場合、その年度の個人住民税は岐阜県大垣市に住所があるものとして課税されます。
一方、海外に居住していた者が、1月2日以降に帰国し、国内に生活拠点を構えた場合、その年度の個人住民税は課税されません。
個人住民税は前年所得課税。所得が大きい翌年度の個人住民税の負担は要注意
毎月の給与から徴収されている所得税、住民税。所得控除の控除額も異なりますが、実は計算根拠となる所得も異なります。
毎月の所得税は現在の給与水準に対して概算で徴収され、12月の給与の支給時に調整します(年末調整)。
一方、個人住民税は、前年の所得をもとに行政が計算した住民税を翌年度に徴収します。前年の所得をもとに計算されています。つまり、所得税の年末調整や確定申告のデータに基づいて翌年度の住民税が計算されます。
ワンテンポ遅れて課税される個人住民税
たとえば、社会人1年目の新人の給与明細を見ると、所得税は源泉徴収されますが、住民税は源泉徴収されていないことが一般的。これは社会人1年目の前年の課税所得がないため。
言い換えると、社会人2年目以降は、前年の所得があるため、個人住民税も徴収されますので、給与が同じである場合、2年目以降のほうが、1年目に比べて手取額が少なくなります。
また、定年退職をした年の翌年の年収(所得)は要注意。退職する年までは、相当程度の年収(所得)があるため、普通に支払えますが、退職した翌年に働いていない場合や、転職や再就職により年収(所得)が大幅に減った場合、個人住民税は貯金を取り崩して支払うことになります。
年末年始にプロ野球選手の契約更改や去就のニュースが報道されますが、高額の年俸をもらっていた選手の年俸が急減したり、引退すると翌年度は大変なのです。
海外移籍、生活拠点を年内に移す?年明けに移す?
1月1日現在の住所地で、前年の所得に対して課税されるため、海外移籍するスポーツ選手が住所(生活拠点)を移す時期が重要です。
たとえば、課税所得が3億円である場合、個人住民税は約3,000万円。課税所得が発生した年の年末までに海外移籍し、生活拠点を移した場合、約3,000万円の個人住民税の負担はありません。
一方、翌年に入ってから海外に移籍が決まり、海外に生活拠点を移す場合、約3,000万円の個人住民税の負担が発生します。
会社員の個人住民税の徴収は、6月から翌年5月の毎月の給与の支払時ですが、会社員以外の個人住民税の徴収は、6月、8月、10月、翌年1月の4回。
会社員は12分割して納付しますが、会社員以外は4分割となるため、会社員以外の人にとっての負担感は大きいのです。
前年の所得に対する個人住民税は5月下旬から6月に通知されます。所得が大きかった翌年の個人住民税の小さくありませんので、個人住民税の通知書には目を通して確認しましょう。
直接的には、あまり関心が低い個人住民税ですが、国民健康保険、介護保険の保険料のほか、児童手当、住まい給付金、私立高等学校就学支援金等の要件判定でも使われます。
毎年支払っている個人住民税がいくらであるか、まずは給与明細に目を通してみてはいかがでしょうか?
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益山真一
ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。