「粉飾決算」はどうしておきる?

野瀬大樹

2018.10.01.(月)

この1か月ほど、金融機関に関するネガティブなニュースが多いです。

スルガ銀行を筆頭に、東日本銀行、みちのく銀行や商工中金などの名前が連日経済ニュースで出てきます。これらはどのような事件で、会計の面からはどんな問題が見えてくるのでしょうか?

会計は「お金を調達するため」にある?

これらの金融機関が問題だと指摘されているのは「不適切な融資」です。

不動産投資をされる方であればイメージしやすいと思うのですが、不動産投資に限らず事業用の融資を組む場合、その事業が「儲かるかどうか」「儲かっているかどうか」を銀行に示す必要があります。なぜなら銀行は「お金を返せそうな人」にしかお金を貸してくれないからです。

ではそれをどうやって証明するのでしょうか。もうわかりますね。前回お話しした財務三表≒決算書です。ですから、損益計算書や貸借対象表を見て「儲かっていない」のであれば、お金は借りられないことになります。

銀行では融資の相談を受ける「営業」と、融資をしてよいかどうかを判断する「審査」は別の部署に分けるようにできているため、通常であれば「儲かっていない」決算書を営業が審査に持ち込んでも、審査がNOと判断して融資を受ける道は断たれるのです。

会計、その成果物たる決算書の主な目的の一つは銀行から「お金を借りる」ためにあるといのはここからわかりますね。

お金を借りるために嘘をつくのが「粉飾」

でも融資を実行しないと銀行は金利や手数料で儲けることができません。儲からない決算書ばかり持ち込まれても困ってしまいます。営業成績も芳しくありません。投資家目線でも目の前に購入したい物件があるのに融資が下りなければ、指をくわえて見ている必要があります。これも投資家から見ると悔しいです。

ではどうするのか。

そこで本来であれば明らかに「儲かっていない」決算書であったとしても、それを改ざんすることで銀行内の審査を潜り抜け融資を行うのです。これが粉飾です。

これがアパートローンの場合ですと、決算書ではなく個人の源泉徴収票や銀行通帳を銀行に見せることによって自身が「たくさん稼げて」「たくさんお金を持っている」人間であることを証明することになりますので、この源泉徴収票や銀行通帳を改ざんするのです。

こうすることで、銀行は融資を実行できて金利や手数料で儲かる(銀行が身内である銀行自身をだましていることになりますが…)、投資家は本来もう少し儲かるようになってからでないと下りない融資を受けることで普通では不可能な不動産投資が可能になることになります。

このように「お金を借りるためにつく嘘」が「粉飾」なのです。自分が儲かっているように見せかけるために嘘の決算書を作る…そう考えると、メチャクチャお金持ちのように見せかけて、女性に結婚をもちかけてその女性から金をだまし取る結婚詐欺と何やら似ているような気もしますね。

決算書の嘘≒粉飾には他にも理由はあるのですが、一番多い理由がこの「お金を借りるため」である点は抑えておいてよいかもしれません。

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野瀬大樹

公認会計士・税理士。大手監査法人にて会計監査 、株式公開支援、財務調査、内部統制構築業務にかかわる。会計のプロとしての視点から家計のリストラに着手し、支出を1年で50%減らす。さらに自身の労働時間を年間1000時間減らす中で、所得の増加にも成功している。公認会計士協会主催の講習の講師も務め、小中学生に会計とお金の話をわかりやすく伝える授業には定評がある。著書に「20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとやばいですよ!」(クロスメディア・パブリッシング) 、「自分でできる 個人事業主のための青色申告と節税がわかる本」(ソーテック社)などがある。