薬はどこで処方されても同じ?

黒田尚子

2018.09.08.(土)

前回、医療費節約のために知っておきたい「初診料」と「再診料」のルールをご紹介しました。

同じく病院や薬局で支払う費用としてお薬代があります。

ちょっとした風邪や腹痛などであれば、それほど気にはなりませんが、慢性疾患など、長期にわたり定期的に投薬が必要になると、お薬代も結構な負担になります。

ただ、同じお薬でも、支払う場所によって金額が異なるってご存知でしょうか?

「院外処方」の割合は約75%を占めている

私が子どもの頃は、具合が悪くなると、近所のかかりつけ医に行って、診察や治療をしてもらい、そこでお薬をもらって帰るというのが定番でした。

いわゆる「院内処方」と言われるものです。

それが今では、主治医にもらうのは処方箋のみ。それを調剤薬局などに持参して、薬剤師から薬の飲み合わせなどを確認されてお薬が渡されるという「院外処方」がほとんどです。

厚生労働省の「平成29年社会医療診療行為別統計の概況」によると、平成29年の医科の入院外における院外処方率は、全体で74.8%。平成25年は70.2%でしたので、じわりじわりと右肩上がりに増えています。

ただ、病院・診療所別にみると、病院78.2%、診療所73.8%ですから、一般的な病院に通院することが多い方は、ほとんどが院外処方になった、と感じられるかもしれません。

どうして「院外処方」が増えているの?

院外処方が普及している背景には、国が医薬分業の制度を推進していることや医療機関もそれを後押ししていることなどが挙げられます。

患者さんが、「かかりつけ薬局」を持つことで、複数の医療機関を受診している場合でも、薬剤師がお薬の重複をチェックし、ムダな医療費を削減することができるというわけです。

また、かかりつけ薬局では、患者さんの薬の服用の記録をつけていますので、過去にアレルギーなどの副作用がないか、現在服用しているお薬や市販薬、健康食品などとの飲み合わせの可否、ジェネリック医薬品への変更など、薬剤師からゆっくり丁寧に説明を受けることができ、患者さんも安心して薬を服用できます。

さらに薬局によっては、自宅まで薬を配送してくれるサービスがあるところや、1回分ずつの分割調剤への対応も可能です。

医療機関としても、医師は、診察や治療に専念でき、待ち時間の解消や薬の在庫を保管して置くスペースが不要になるなどのメリットもあります。

「院外処方」のデメリットとは?

一方で、院外処方のデメリットとして挙げられるのは、患者さんが負担するコストが割高になるという点でしょう。

院内処方940円に対し、院外処方は2,910円でその差は3倍以上。

薬剤費自体は同じなのですが、院外処方の場合、薬学管理料や調剤料、調剤基本料など関連する諸費用が上乗せされるためです。

さらに、お薬は、その病院の周辺のいわゆる‘門前薬局’で処方してもらうケースが一般的(その病院で頻繁に処方される薬剤が揃っているケースが多いため)。

となると、かかりつけ薬局も複数持つことになり、院外処方のメリットとして挙げられるお薬の重複防止も、患者さんがお薬手帳を持参して説明しなければ十分に機能しません。

さらに、待ち時間の解消についても、薬局によっては、こちらの方が混んでいるなど、二重に時間がかかって困るという患者さんからの声もあるようです。

かかりつけ薬局や薬剤師さん活用のススメ

患者さんのコスト面や利便性を考慮すると、院内処方の方に軍配が上がりそうですが、残念ながら、患者の希望で院内処方に変更することはできません。

そこで、せっかくですから院外処方のメリットを十分に活用していただきたいのです。

医師は病気の専門家ですが、薬剤師は薬の専門家です。

医療医薬品だけでなく一般医薬品なども含めた医薬品全般について幅広い知識を持っています。

病気で具合が悪い時こそ、一刻も早くお薬をもらって帰りたい気持ちは重々承知ですが、お薬で気になっていることや、主治医になかなか聞けないお薬のことなど、薬剤師さんに気軽に相談してみてはいかがでしょうか?

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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