小規模事業主の老後&ライフアクシデント時の資金繰り対策~小規模企業共済~

益山真一

2018.08.09.(木)

老後資金準備といえば、最近はiDeCo(個人型確定拠出年金)、つみたてNISA等が注目されており、いずれも加入者・利用者は増加傾向にあります。その他、自営業者であれば国民年金基金も検討に値しますが、今回は、小規模企業の個人事業主や役員の老後資金準備とライフアクシデント対策に役立つ小規模企業共済について解説します。

所得税・住民税の節税効果は他の制度を凌ぐ!

小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する退職金制度であり、2018年8月現在、約133万人が利用しており、筆者も私の妻も利用しています。利用できるのは、小規模企業の個人事業主と企業役員。

具体的には、常時使用する従業員数が20人以下(商業・サービス業は5人以下)である小規模企業の事業主が利用できます。

なお、個人事業の場合、共同経営者2人を含め合計3人まで利用できます。

毎月の掛金は、1,000円以上70,000円以内の範囲で、500円刻みで設定でき、支払った掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象として、全額が所得控除の対象。

たとえば、毎月の掛金を7万円(年間84万円)とした場合、所得税率が10%の人(課税所得金額が195万円~330万円の人)は住民税(所得割)10%と合わせて、年間16.8万円(84万円×20%)の節税効果になります。所得税率が20%の人課税所得金額が330万円~695万円の人)は住民税(所得割)10%と合わせて、年間25.2万円(84万円×30%)の節税効果となります(復興特別所得税を除く)。

自営業者が加入できる国民年金基金とiDeCoを合わせた年間掛金限度額は81.6万円。小規模企業共済の掛金はこれらの制度よりも多く、掛金全額が所得控除の対象となるため、節税効果面からみれば一目置くべき存在です。

自宅のバリアフリー工事、傷病・災害時は年利1%未満の低利貸付

小規模企業共済の最も大きな目的は老後資金。

以下の要件に該当する場合には共済金の種類であるAまたはBの支払事由に該当し、払い込んだ金額を超える共済金を受け取ることができます。

・死亡
・個人事業の廃業、65歳以上での役員退任
・病気やけがによる役員退任(65歳未満でも可)
・15年(180ヶ月)以上掛金を払い込み、65歳以上で任意解約
・法人が解散した場合

なお、死亡を除く、廃業、役員退任、65歳以降の老齢給付の受け取りの場合、一時金で受け取ると退職所得として退職所得控除の対象、分割(年金)で受け取ると雑所得として公的年金等控除の対象となります。退職所得は原則「(退職一時金-退職所得控除額)×1/2」により求められます。

勤続年数20年以下の部分は1年につき40万円、20年超の部分は1年につき70万円の退職所得控除は勤続年数に応じて計算します。いっぽう小規模企業共済では加入期間が勤続年数となります。つまり、長く加入するほど、税金がかかりにくいので個人事業主は、自分から自分に対して退職金を支給できませんが、小規模企業共済に加入すれば、退職金税制を有効活用して、老後資金を準備できます。

一方、掛金納付月数が20年(240か月)を下回る場合の任意解約は、払い込んだ金額よりも少ない解約手当金となります。つまり、元本割れです。

任意解約のリスクを考えると、無理をしてまで利用する必要はありませんが、iDeCoや国民年金基金にはない融資制度は検討に値します。

つまり、老後資金準備のみを考えると、iDeCoや国民年金基金もよいですが、老後を迎えるまでのリスクに対する資金繰りに役立つ点が大きな特徴です。

通常の事業資金はもちろん、疾病・負傷による入院や災害等により被害を受けた際の事業資金や共済契約者や同居親族の福祉向上のために必要な住宅改造資金、福祉機器購入等の資金等も低利で借入できます。

借入限度額は掛金納付月数に応じた掛金の7割から9割程度の範囲で、借入利率は、一般貸付は1.5%、その他の貸付(傷病災害時貸付け、創業転業時・新規事業展開等貸付け、福祉対応貸付け、緊急経営安定貸付け、事業承継貸付け、廃業準備貸付け)は年利0.9%。概ね、毎年適用を受ける所得税・住民税の節税効果の範囲内で賄うことができる範囲です。

いざというときの資金繰り制度は、大きな安心材料です。

老後資金を準備できる制度はほかにもありますが、無事に老後を迎えるまでには、不況、事故、病気、親の介護等、様々な予期せぬことが起こるものであり、その際の一時的な資金を手当てできるのが小規模企業共済の強みです。

小規模企業の役員さん、個人事業主の皆さん、検討してみてはいかがでしょうか?

年収の2割を貯蓄する、誰でも始められる法則とは

最新記事・限定情報はTwitterで配信中♪

益山真一

ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。

  • トイレ掃除で神様に好かれよう

    詳細を見る
  • メルカリの売買で確定申告は必要ですか?

    詳細を見る
  • アクチュアリーが解説!「保証期間付終身年金」メリットとは?

    詳細を見る

こんな記事も読まれています

定年後・老後定年後・老後 |  定年後・老後定年後・老後 |  考え方考え方

【衝撃】ポイントカードの実態!財布のひもを緩める売り手の「販売トリック」とは

知恵袋知恵袋 |  生活生活 |  考え方考え方

堀江貴文と邱永漢から見る!今すぐ実践できる「お金持ちの財布」管理術

知恵袋知恵袋 |  生活生活 |  考え方考え方

忘年会のネタに!知っているとさりげなく人気者になれる記事まとめ

成功哲学成功哲学 |  生活生活 |  考え方考え方

目からウロコの「人生を変える習慣の作り方」!

資産運用資産運用 |  生活生活 |  増やし方増やし方

自動販売機を設置して、利回りアップを目指せ!

資産運用資産運用 |  生活生活 |  増やし方増やし方

知らないと損する「手付金」の常識