会社設立は個人事業よりも有利?

益山真一

2018.06.20.(水)

個人事業とするか、会社を設立するか、多くの起業する人が一度は考える問題です。

大きな事業展開を考えれば、迷うことなく法人設立を選ぶでしょうし、手軽に始めたい人にとっては個人事業を選ぶでしょう。

今回は法人設立を社会保険・年金、税金の側面から解説します。なお、本稿では資本金1億円以下の中小法人(大企業等の100%子会社等を除く)の設立を前提とします。

給与・生命保険の節税効果が魅力

まず、給与。

個人事業では自分自身に対して給与も退職金も支給できませんが、会社を設立すれば自分に給与も退職金も支給できますし、適正額であれば損金扱いとなります。

また、もらう個人側では、給与の収入金額から一定のみなし経費(給与所得控除)を差し引いて所得税を計算することができます。

つまり、給与について、会社側・個人側の両方で税金を安くする仕組みを利用できます。

次に生命保険。自分や家族に付保する生命保険について、個人契約の場合は生命保険料控除の対象となり、新規契約では、所得税の計算上、所得金額から差し引くことができるのは最高4万円まで(個人年金、介護医療、一般生命保険はそれぞれ別枠)。

一方、法人契約で自分に付保する定期保険、医療保険等の掛け捨て型保険は、原則として生命保険料の全部を損金扱いとなり、終身保険や個人年金保険等の貯蓄型保険も、契約形態によっては、保険料の全部または一部を損金扱いとなります。

さらに税率。個人事業の所得税の税率は所得金額に応じて、5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%の7段階の超過累進税率で、所得金額が高くなるにつれて、税負担が加速的に増えていきます。一方、法人税の税率は所得金額800万円以下の部分は15%、800万円超の部分は23.2%の2段階。つまり、所得金額が同じであれば、高額所得者ほど、法人を設立したほうが有利であり、さらに、給与や生命保険料等の損金扱いにより、所得金額がさらに低くなります。

社会保険料は利益がゼロでもかかる!

節税効果が魅力的である一方、意外と見落としがちなのが社会保険。

法律上、会社を設立した場合、社長1人の会社であっても、厚生年金保険、健康保険に加入することになっています。

厚生年金保険、健康保険の保険料は標準報酬月額(毎月の給与)、標準賞与額(ボーナス)に対して計算され、その保険料を会社と個人で半分ずつ負担します。

保険料率は、厚生年金保険料は18.30%、健康保険(協会けんぽ)の保険料は全国平均で10%。

つまり28.3%の保険料が徴収されます(40歳以上65歳未満は1.57%の介護保険料も加算)。

仮に、標準報酬月額が50万円、標準賞与額(年2回)が1回あたり100万円とした場合、40歳未満の社会保険料は50万円×28.3%×12月+100万円×28.3%×2回=2,264,000円、40歳以上65歳未満の社会保険料は50万円×29.87%×12月+100万円×29.87%×2回=2,389,600円となります。

通常の会社員であれば、会社と個人で半分ずつですので、40歳未満は1,132,000円、40歳以上65歳未満は1,194,800円となりますが、起業する人にとっては、会社負担も個人負担も自己負担のようなもの。

税金は所得金額が赤字であればかかりませんが、社会保険料は給与やボーナスに対して計算され、所得金額が赤字でもかかる点に注意が必要です。

個人事業の場合に加入する国民年金(年間保険料は16,340円×12月=196,080円)、国民健康保険(都道府県・市区町村により異なる、40歳未満は最高77万円、最高93万円)とは保障や給付内容が異なりますので、一概に比較はできませんが、所得金額が低い場合、国民年金の保険料の納付について免除・猶予を受けられたり、国民健康保険の保険料(所得割)が安くなります。

働き方改革、学び直し、人生100年時代等の言葉を多く聞くようになり、将来、起業する人は増加することが予想されますが、その際、役立つのが社会保険や税金の知識です。

起業をご検討の方は今のうちから調べてみてはいかがでしょうか?

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益山真一

ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。

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