【IPO研究】6/19メルカリ上場が異次元すぎる。営業赤字でも公開時時価総額は4千億円!

伊藤英佑

2018.06.13.(水)

メルカリの売上はユーザーが使った流通総額によるものではありますが、利益は広告宣伝費の使用額によって大きく変わるので、売上はともかく利益に関しては予想にちょっと足りなくても広告宣伝費の予算管理で比較的予想に当てに行きやすい業態ではあります。

実際のところは分かりませんが、業績予想で利益を開示することによって、このような単年度の利益予想を当てに行くために短期的なコストコントロールをすることは事業の本質ではなく、事業環境の変化に柔軟に対応し先行投資に踏み込むべきタイミングで踏み込み、より長期的な高成長のために先行投資を躊躇するべきではないと経営者は考えているのでしょうか。

カテゴリ特化型のアプリのリリースや新たなシェアリングサービスのリリース、金融業のメルペイや仮装通貨への参入の公表、関連サービスへのベンチャー投資など、多くの新規事業も行っています。ネットサービスの成否は行くべきタイミングに合わせて資金をどう投下するかが重要です。

高成長を持続する鍵は海外サービスの成功

メルカリの株式を買うべき投資家は、定量的な適正な株式価値評価はなかなか難しい面はありますが、短期的な利益がどうなったかよりも、もっと長期的な事業拡大・成長を見て行けるかどうかでしょう。

メルカリは未上場段階で巨額の資金調達をしており(2017年6月期の営業キャッシュフローはプラス63億円で事業でしっかり稼いでいる資金もあります)、2018年3月末の時点で上場前から既に535億円のキャッシュを保有し、上場により得る資金と合わせると手元資金は1千億円を超えることになりそうです。

短期的なP/Lの赤字で屋台骨が揺らぐことはない財務状態です。海外の競合企業では、類似サービスに数百億円の資金を調達している会社もいくつかあるようです。潤沢な軍資金を上場後にどう使っていき高成長を持続させられるかが見どころと言えるでしょう。

目論見書では、p15以降で経営戦略を説明しており、具体的な経営戦略として、以下を挙げています。

①日本における「メルカリ」の更なる成長

(a)ユーザー体験の更なる向上
(b)女性関連カテゴリー以外の商品カテゴリー強化

②当社グループのエコシステムの構築(メルカリIDを通じてオンライン・オフラインの様々なサービスを連携したエコシステムを構築)

③海外市場への進出(米国事業の更なる拡大のため、米国のユーザーに向けたユーザー体験の最適化、優れたマネジメントメンバーの確保、成長段階に応じた規律ある戦略の実行を挙げています)

このように、日本での今後のメルカリの流通額の増加、メルペイ等を始め新規事業の成否、米国等をはじめとした海外での成否を総合的にどのように見て行くかがメルカリの上場後の株式市場での評価のカギになっていきます。

日本国内で圧倒的に成功していると言えるメルカリですが、投資家がまず気になるところは現在赤字である米国事業の行方でしょう。

創業者である山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)は6月8日付の日経新聞のインタビュー記事内で、上場で成長のアクセルをどう踏みますかという質問に対し『まず海外だ。米国はまだ投資段階で赤字だが、これを何とか立ち上げたい。例えばネットオークションでは、米イーベイの世界の流通総額は(『ヤフオク』を運営する)日本のヤフー(の売上高)の約10倍ある。フリマアプリも世界には10倍の市場があると考えている。米国は世界の縮図なので、まずここで成功しないと世界に出て行けない』と回答しています。

2013年7月に日本でフリマアプリ「メルカリ」をスタートし、翌2014年1月には米国子会社Mercari,Incを設立し、同年9月に米国版「Mercari」をリリースしています。設立当初より「世界で勝負する」ことを強く意識していたことが窺えます。なお、メルカリという名前は、ラテン語で「商いする」との意味の「mercari」に由来しています。

メルカリIPOのまとめ

日本のスタートアップの中ではまさに「ユニコーン」の名前の通り異次元の成功をしているメルカリですが、上場後もまた異次元の展開になっていきそうです。

日本のベンチャーでメルカリ級の成功体験が増えていくことが、資金循環を通じて新たなスタートアップの登場のエコシステムが発展していく側面も期待できます。

IPO後の市場評価や事業展開がますます注目されます。

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伊藤英佑

伊藤会計事務所代表/早稲田大学政治経済学部卒。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了、AFP(ファイナンシャルプランナー)保有。 大手監査法人を経て、2005年 伊藤会計事務所開業(現任)、ベンチャー企業の支援業務及び資産管理サービスを行う。複数のベンチャー企業の非常勤・社外役員も歴任。資本政策、IPO、M&Aに強い。資産管理サービスは、相続税・法人税・所得税等の税金対策及び税務申告、資産活用全般やライフプラン向上を見据えた総合的なコンサルティングやフィナンシャルサービス等を個人・法人へ提供している。 長期分散投資を志向した資産運用も自ら行っており長年の経験がある。https://cl-souzoku-tokyo.com/

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