老齢年金が最大42%も増額に! 老齢年金の繰下げ受給とは?

浜田裕也

2018.04.21.(土)

公的年金は老後の大切な生活費になるので、出来るだけ多くもらいたい! と誰もがそう思うことでしょう。

しかし、現実はそんなに甘くはありません。現役世代の方からのご相談を受けると「え? 年金はこれだけ? これじゃあ老後の生活が厳しいなぁ。何とか増やす方法はありませんか? 」とご質問を受けることもあります。そのような方には「老齢年金の繰下げ受給」をご紹介しています。そこで今回は老齢年金を増やす方法のひとつである「繰下げ受給」についてお話をしようと思います。

老齢年金を増やすことができる「繰下げ受給」とは?

実際の相談現場で50代の方の年金相談を受けると、次のようなお話しをよく耳にします。

「え? これだけしかもらえないの? 年金だけになったら生活が厳しいなぁ…」
「あともう少し年金が多ければ何とか生活できそうなんだけど…」

そのような方には、65歳からもらえる老齢年金を増やす方法があるので検討してみてはいかがですか、とお伝えしています。実は65歳からもらえる老齢基礎年金や老齢厚生年金は、65歳から受け取らずに先延ばしにすることによって増やすことができるのです。

これを「老齢年金の繰下げ受給」と言います。

では繰下げ受給をすると一体どのくらい年金が増えるのか? 気になるところですよね。繰下げ受給をすると「0.7%×繰下げ月数」で計算した率で増えていきます。仮に66歳までの1年間繰下げをした場合、0.7%×12カ月=8.4%増額されることになります。2018年4月現在の法律では繰下げ受給は最長70歳までの5年間なので、最大0.7%×60カ月=42%増額されます(図参照)。

繰下げ受給の手続きは最短でも1年後の66歳になった後からと法律で決まっています。65歳から数えて6カ月目とか10カ月目で繰下げ受給の手続きをするということはできません。

少なくとも1年以上は受け取りを先延ばしにする必要があるのです。1年たった後は、1年1カ月目や2年3カ月目など希望する月からいつでも手続きをすることができます。また、繰下げ受給を希望される方は、老齢基礎年金のみ繰下げ、老齢厚生年金のみ繰下げ、老齢基礎年金および老齢厚生年金の両方を繰下げの3パターンから選ぶことができます。

65歳受給と繰下げ受給。一体どっちがお得なの?

65歳から受給した場合と繰下げ受給をした場合、一体どっちがお得なの? というご相談もよく受けます。結論から言いますと「あなたはどのくらい長生きできるのか? 」で決まります。では、どのくらい長生きをすればよいのでしょうか? ざっくりとしたイメージをお持ちいただくため、モデルケースでご説明いたします。

【モデルケース】

65歳からの老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計は200万円

老齢基礎年金と老齢厚生年金ともに70歳繰下げをした場合の損益分岐年齢

※金額は万円
※万円以下は切り捨てています
※各年齢の金額は受取りの累計です

モデルケースでいいますと、81歳になったあたりで受取り総額が逆転します。大雑把に言ってしまうと、81歳よりも長生きをすれば繰下げをした方がお得、81歳よりも前に亡くなってしまったのなら繰下げをしない方がよかった、となります。

モデルケースでは老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を70歳まで繰下げとしましたが、他のどうような繰下げパターンでも大体81歳~82歳で受取り総額が逆転することになっています。でも自分がどのくらい長生きできるかどうかは誰にもわかりません。実際の相談現場でも「自分が何歳で死ぬのかがわかれば迷いませんよね……」というケースがほとんどです。

したがって、繰下げ受給をした方がよいのかどうか迷った場合、次のように考えてみるとよいでしょう。

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どのくらい欲しい? 目標金額を設定してみましょう

繰下げ受給をすべきかどうか迷ったら「将来1カ月当たりどのくらいの年金が欲しいのか? 」という考え方をしてみるとよいでしょう。例えば「私は月額15万円の年金をもらえるようにしたい」というように目標金額を設定してみるのです。

先程とは別のモデルケースで考えてみてみましょう。

65歳から受給する老齢基礎年金が60万円、老齢厚生年金が90万円の方が「繰下げ受給により月額15万円の年金がもらえるようにしたい」と希望したとすると、29カ月繰下げをすればよいことになります(表参照)。

(老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに29カ月繰下げした場合)

※万円以下は切り捨てています
※介護保険料などが天引きされる前の金額です
以下同じ。

※繰下げ受給の手続きをした月の翌月分から年金は支給されることになっています
以下同じ

老齢基礎年金と老齢厚生年金をともに繰下げをしてその間まったく年金がもらえないのは嫌だという場合は、老齢厚生年金だけを48カ月繰下げして目標金額に到達させることも可能です(図参照)。

繰下げ受給を検討されるときは、ご自身の目標金額を設定してみて「何カ月繰下げをすればよいのか? 」という見通しを立ててみるとよいでしょう。

繰下げ受給をすることで老齢年金を増やすことができます。ただし繰下げ受給中は年金がもらえませんから、その間の生活費はどうするのか? という問題が新たに発生してしまいます。

現在の日本では希望すれば65歳まで働けるような社会なっていますが、厚生労働省平成29年高年齢者の雇用状況によると70歳まで働ける企業の割合は22.6%とありました。

参考:厚生労働省「平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果

日本は少子高齢化が進んでいますから、65歳で引退と言わず元気でいる間は出来るだけ長く働けるような社会に変わっていく可能性は高いと思われます。そうすると、元気で働いている間は老齢年金を繰下げし、引退したら増額した年金をもらう、という方も今後増えていくかもしれませんね。なお、繰下げ受給にはここではご紹介しきれない細かい注意点があります。繰下げ受給を検討されるときは、お近くの年金事務所で制度の説明を受けたり年金見込額の試算をしてもらったりするようにしてください。

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浜田裕也

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。社会保険労務士会の業務委託で年金相談の実務にも携わるようになり、その相談件数は年間1,000件を超える。複雑な年金制度の解説や具体的な申請の仕方のアドバイスには定評がある。著書に「日本でいちばん簡単な年金の本」(洋泉社 第3章監修)、「転職したり、フリーランスだったり、離婚を経験した人は知らないと損する、年金の話」(SB新書 監修)がある。

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