家族で揉めないための「親の医療・介護費用」との付き合い方

黒田尚子

2018.01.23.(火)

親が高齢になり、病気で入院あるいは要介護状態になると、医療費や介護費用も膨らんできます。

親世代が70~80代であれば、子ども世代は40~50代くらい。ちょうど、子どもの教育費や住宅ローン返済などで大変な時期です。費用負担も1回きりであれば、なんとか工面するにしても、長期化したり、高額な治療を受けることになったりすれば、やりくりは難しいでしょう。

さらに、きょうだいがいる場合、どのように費用を分担するかも難しい問題です。

今回は、家族で揉めないための医療・介護費用の考え方を見てみましょう。

「親にかかる費用は親自身が負担する」のが原則

まず基本的な考え方として「親を支えるお金は、親自身が負担する」のが大前提と考えています。

その理由としては、公的年金や預貯金など、ある程度余裕のある親世代が多いということ。

逆に言えば、親の面倒まで見られるような経済的余裕のある子ども世代が少ないとも言えるでしょうか。

親世代より子ども世代の老後はさらに厳しい

今の子ども世代は、少子高齢社会の進展や晩婚・晩産化によって、子どもの教育負担が終了し、定年退職を迎えるまでの‘最後の貯めドキ’の期間が短いご家庭が多くなっています。その上、老後の頼みの綱ともいえる公的年金や退職金等も減少傾向。

算定方法も、従来の勤続年数や退職時の基本給ベースから、役職や業績に応じたポイント制が主流になり、業績が上げられなければ、親世代ほどの支給額は見込めません。

親世代としては、自身にかかる費用を自分でまかなわざるを得ないのが実情です。

8割以上の人が介護費用は要介護者等の公的年金でまかなう

実際に、仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査によると、現在働いている就労者で介護が必要な父母がいる人の場合、介護費用を「負担していない(親などが負担している)」と答えた人の割合が5割を超えています(男性54.0%、女性59.1%)。

また、親の介護に関するアンケート調査でも、介護保険利用者に介護費用をまかなっている資金を尋ねたところ、第1位は、「要介護者(もしくはその配偶者)の公的年金」(83.5%)でした。

しかし、次いで多かったのは、「回答者自身(もしくはその配偶者)の就労による収入」(36.3%)です。介護費用のほとんどは親自身がまかなっているけれども、一部あるいは要介護度が重く、費用負担が大きいなど、場合によっては、子どもも負担している、といったケースが予想されます。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」(平成24年度厚生労働省委託調査)

出典:第一生命「親の介護に関するアンケート調査」(2011年11月)

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「きょうだい」がいるなら費用負担は均等に

「親にかかるお金は、親自身でまかなうのが原則」―とはいえ、親の経済状況が芳しくない場合や、病気や介護が進んで資金が不足した場合など、状況によっては、子どもも負担せざるを得ないケースもあるでしょう。

その場合は、積極的に公的制度を活用し、負担が厳しければ、とにかく早めに医療機関や自治体の相談窓口で相談すること。救済制度があっても、認知度が低く、十分活用していない人が多いのです。

そして、きょうだいがいる場合は、何らかの事情がないかぎり、均等に負担するようにした方が良いでしょう。「長男・長女だから」「近くに住んでいるから」「直接介護できないから」などの理由で負担割合を決めると、のちのち不公平感が残ったり、相続時にもめたりする可能性もあります。

いざという時・相続時にもめないよう日頃から意思疎通は円滑に

家族間の金銭トラブルの多くは、あいまいな口約束や疎遠になって、お互いの意思疎通が図れていないことが原因です。年末年始など、家族が集まりやすい時期を利用して、「もうそろそろ、親も高齢だし…」とお互いの気持ちを確認したり、いざという時の話合いをしておくことが大切です。

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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