ここだけは見落としてはいけない、50代の医療保険の選び方

黒田尚子

2017.11.21.(火)

50代に入り、もうそろそろ定年退職後の準備をお考えの方、生命保険(以下、「保険」)の見直しは必須です。

とりわけ、若い時に加入したきりで、一度も見直しをしていない。自動更新を続けているだけといった人は要注意!今のあなたの保障ニーズとミスマッチを起こしている可能性があるからです。

50代は、セカンドライフに向けて、できるだけお金を貯めておきたい大切な時期。不要な保障を買い続ける余裕などありません。

50歳から30年間に支払う保険料は1,181万円以上にものぼる!

生命保険文化センターの「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」の世帯主年齢別の年間払込保険料(全生保)から試算したところによると、50歳から79歳までの30年間に支払う保険料合計は、なんと約1,181万円以上

保険は、マイホームに次ぐ人生の大きな買い物と言いますが、たしかに、ちょっとした一財産です。

50歳から59歳までの10年間に限定しても、495万円にものぼります。平均でこれだけですから、これ以上支払っているご家庭もあるはず。

ライフプランの変化に応じて見直しているなら問題ないのですが、何となく放置したままになっているご家庭も少なくありません。

<参考>「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」
http://www.jili.or.jp/press/2015/pdf/h27_zenkoku.pdf

「保険ありき」という考え方をいったん捨てる

50代に限らず、保険の鉄則は、必要な期間だけ、必要な保障(補償)額を準備しておくこと。つまり、目的に合わせて保険を選ぶことが大切です。

もちろん、年齢が高くなれば病気や介護が心配になり、医療費や入院費への経済的リスクへのニーズが高まります。しかし、だからといって、必ず保険に加入しなければならないというわけではありません。

年収が低く、金融資産も少なかった頃は、少ない保険料で高額な死亡保障や医療保障を確保する必要があっても、それなりに年収も上がり、金融資産も保有できるようになってきたら、保険を卒業する、という考え方もアリです。

まずは、「保険ありき」という思い込みを捨て、ご自分やご家族が加入している公的制度などから受けられる給付金やサービスなどを洗い出してみることが先決です。

勤務先の健康保険組合の付加給付は要チェック!

とりわけ、大企業にお勤めの方などは、加入している健康保険組合から「付加給付」が受けられる可能性大です。これは企業の福利厚生の一環で、法律で定められた法定給付以上に企業が上乗せしてくれるもの。

例えば、高額な医療費がかかった場合に受けられる「高額療養費制度」は、通常、一般的な所得の場合、1ヵ月の医療費が約8万円を超えた場合に受けられます。このハードル(自己負担額)がNTT健康保険組合は概ね2万5,000円を超えた場合、トヨタ自動車保険健康保険は2万円を超えた場合とグンと低くなっているのです。

このほか、病気で休業した場合の傷病手当金制度や傷病休暇、積立休暇など、どのような制度があるか、勤務先の制度や福利厚生制度を必ず確認してみてください。

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預貯金でまかなう「医療貯蓄」という選択肢もある

続いて確認すべきは、預貯金など、イザというときのためのお金がどれくらいあるかです。これは、病気に関わらず、災害やリストラなど、まさに万が一の時のための緊急時の費用。金額の目安は、生活費の半年分から1年分くらいでしょうか。

例えば、毎月の生活費が30万円であれば180~300万円ほど。ずぐに、引き出せる普通預金などにプールしておけば安心でしょう。

いわば、「医療貯蓄」という自家保険で備えるわけです。

というのも、50代になると保険の保険料はグンと上がります。また、既往症などで医療保険に加入できないケースや、加入できても特別条件が付く、あるいは加入できるのは引受基準緩和型の医療保険のみで、保険料が割高になるケースもあります。

健康に不安を感じるお気持は十分わかりますが、割高な保険に加入して、日々の生活に支障を来すのであれば、まさに本末転倒です。

死亡保障に医療特約を付加する更新型の保険料アップは不可避!

ここまでのステップを踏んで、それでも保障が足りないとお感じになれば、ようやく民間保険の登場です。

現在、加入中の保険をベースに、今の保障ニーズに合っているか、給付内容とバランスのとれた保険料か、保障に過不足がないかを確認してください。

とりわけ50代は、もうそろそろお子さんが大学を卒業して独立するなど、死亡保障の額も減らせる時期です。

医療保障を準備する方法は、①定期保険や終身保険などの主契約に医療関係の特約を付加する②医療保障を主な目的とする医療保険に加入する、の2つがありますが、①の場合、主契約の死亡保障を解約して、特約をそのまま継続したり、特約のみを手厚くしたりできません。

また、特約の保険期間が更新型になっている場合、50代以降、病気になるリスクが高まると同時に保険料がアップし、更新できない可能性も出てきます。

さらに、主契約の保険料払込満了後も原則80歳まで継続できるものの、その場合は特約保険料を一括して前納するか年払いなどにしなければなりません。

保険料負担が大きくなる可能性が高いので、必要に応じて、早めに割安な単体の終身型の医療保険に加入し直すのも一手です。

その際には、保険料の払込期間を終身払いにするか有期払いにするかもポイントなります。

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民間保険を過大にも過少にも評価してはいけない!

一方で、保険料負担軽減を重視するあまり、必要な保障までなくしてしまわないようにしてください。

民間保険はあくまで契約ですので、「入っておけば安心」とばかりに過大・過剰に期待するもの禁物ですが、その存在を過少に考えるのも問題です。

当然のことながら、万が一の場合に「保険に入っておいて本当に良かった」というみなさん声を揃えておっしゃいます。

そうなると、「結局どっち?」となりますが、それは、個々の状況と考え方次第。とにかく、この時期に今の自分の状態とこれからを見つめ直し、今の保障内容で、万が一の場合にきちんと対応できるかを検討してみることが大切です。

また、病気になった場合の経済的リスクに備えるのであれば、日頃の予防も重要です。生活習慣を見直す、気軽に相談できる「かかりつけ医」を持つ、病気に関する正しい情報を持つなど、自分のカラダと向き合うよう心がけてください。

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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