いくら必要?独立する前に考えておきたい起業のお金

森井じゅん

2017.11.02.(木)

サラリーマンの方、フリーランスの方……誰もが一度は独立して起業したいと考えたことがあるのではないでしょうか?実際、企業を辞めて自分が実現したいサービスを具現化し、大成功を収めた人たちもたくさん出現しています。

そんな夢を叶えるにもまず知っておきたいのが起業にはどれくらいのお金がかかるのかということ。日米で公認会計士の資格を持つ森井じゅんさんに詳しくお聞きしました。

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会社を設立するときにかかる費用というのは?

会社の設立と一言で言っても、現在日本では「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類があります。今回は、会社の責任形態の点から選ばれやすい「株式会社」「合同会社」についてお話していきます。

会社の設立とは、具体的には会社の設立を登記することです。登記とは、会社名や会社の目的、役員名など法律で定められた事項を世間に公表するために、登記簿に記載することです。設立の登記をして初めて会社として成立することになります。

この登記についてかかる費用のうち、法定費用は、公証人手数料・定款の謄本費用・定款印紙代・登録免許税の4つです。また、会社の印鑑作成や代表取締役(株式会社の場合)もしくは代表社員(合同会社の場合)となる人の印鑑証明書などの取得費用もかかります。そして、会社が事業を始める元手となる資本金を準備する必要があります。

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「株式会社」や「合同会社」によって費用は変わるのでしょうか?

会社設立の大まかな流れは、定款作成→定款認証→設立登記となります。定款にかかる費用、登記にかかる費用は「株式会社」か「合同会社」のどちらを設立するか、紙の定款にするか電子定款にするか、の2つのポイントでコストは変わってきます。

まずは「株式会社」についてです。定款にかかる費用は、公証人役場で定款の認証を受けるための公証人手数料50,000円、定款の謄本費用2,000円程度、紙の定款に貼る印紙代40,000円です。紙の定款でなく電子定款とする場合には印紙代は不要です。
「株式会社」設立の登記にかかる登録免許税は最低15万円です。資本金の金額×0.7%が15万円を超える場合はその額になります。登録免許税を15万円と考えた場合、「株式会社」の法定費用を合計すると、紙の定款の場合は24~25万円程度、電子定款の場合は20~21万円程度です。

「合同会社」の設立は、「株式会社」と比較し簡略化されています。具体的には公証人による定款認証は不要です。よって、定款にかかる費用は紙の定款では印紙代40,000円のみ、電子定款であれば定款にかかる費用はありません。
「合同会社」の場合、登録免許税は最低6万円です。資本金の金額×0.7%が6万円を超える場合はその金額です。登録免許税を6万円と考えた場合、合同会社設立の法定費用は、紙の定款の場合は10万円、電子定款の場合は6万円になります。

定款を電子定款にすると印紙代が不要になりますが、電子定款を作成するためにはICカードリーダやPDF加工ソフトなどが別途必要になりますのでご注意ください。

資本金というのはどれくらい必要なのでしょうか?

現在は、資本金1円以上で株式会社が設立できます。そのため、1円以上であれば、いくらでも構いません。
しかし実務上、対外的な信用や、融資を受ける場合等を視野に入れると、資本金はある程度あった方が会社運営が円滑にすすめられるといえます。

一方、資本金が1,000万円以上の場合には、会社設立1年目から消費税を納める義務が発生するため注意が必要です。しかしながら、初年度から設備投資等を行う場合などでは、消費税の還付が受けられるケースもありますので、事業計画などから慎重に判断してください。

自分で会社設立も可能ですか?
プロに頼む場合はどれくらい費用がかかるものでしょうか?

会社設立する際の手続きは面倒なイメージがあると思いますが、ご自身で行う事はもちろん可能です。確かに準備する書類も多いですが、ご自身ですすめていくメリットも多いです。設立のステップを一つ一つ踏んでいくことで会社の方向性について整理ができたり、書類の作成等を通じて法律的な知識をつけたりすることもできます。

特に、定款の作成などプロに丸投げすることも不可能ではありませんが、自身で作成することは設立しようとしている会社の組織や活動についてしっかりと考えていくチャンスでもあるのです。

また、現在ではインターネット上に、書類作成に便利なツールやテンプレートが数多くあり、詳細なステップがかかれていたりもするのでうまく参考にしていただきたいと思います。

会社設立をプロに頼む場合、司法書士や行政書士社会保険労務士や税理士など様々な選択肢が考えられます。また、丸投げの度合いでコストは変わってきます。

上でお話したように、電子定款の作成にはカードリーダの購入や署名や加工ソフトの準備が必要となり、コストもかかります。自身で定款を作成し、認証の部分だけを代行するサービスもあり、数千円で頼むことができます。できるところはすべて自分で行い、認証など特定部分だけを代行する、といった利用も検討してみてください。

会社は設立して終わりではなく、スタートです。設立後は税務署や役所に法人の設立届をはじめ様々な書類の作成・提出が必要になります。従業員を雇っていく場合には就業規則の作成や社会保険や労働保険の手続きなども必要になります。許認可が必要な業種であればそうした手続が必要にもなります。

会社の設立だけであれば士業に依頼するのはもったいないです。士業に設立を依頼するのであれば、その後の士業との関わりを視野に入れて検討してください。
また、士業を選ぶ際には料金設定にも注意が必要です。設立後の顧問契約を前提に会社設立を無料で行います、といった料金設定をしているところが多いです。会社設立が無料ないし非常に安価であってもその後のサービスが高かった、なんてこともあるのでしっかり検討していただきたいと思います。

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起業時に利用できる助成金などはありますか?

現在たくさんの助成金や補助金があります。主に、厚生労働省経済産業省地方自治体や民間の公益団体などが行っているものです。それぞれが、非常に多くの補助・助成を行っていますので、それぞれのホームページなどで要件などを確認してみてください。

ざっくりとした括りですが、厚生労働省では非常にたくさんの雇用関連の補助金・助成金があります。従業員を雇う計画がある場合には厚生労働省をチェックしてみましょう。

ユニークな事業計画などがあれば経済産業省の補助金が受けやすいでしょう。経済産業省の管轄である中小企業庁のホームページにも幅広い補助金の公募がありますので見てみてください。

地方自治体でも様々な支援体制があり、家賃補助などを行っているところもあります。地域密着型の事業や地域活性の貢献が期待できる場合に受けられるものも多くあります。会社の本店所在地となる地域の自治体で確認してみましょう。

補助金や助成金とは異なりますが、自治体や日本政策金融公庫などで、新しく事業を始める人を応援するための「創業融資」もあります。無担保・無保証、連帯保証人不要というものもあり、利用を検討する価値はあるでしょう。

会社の設立はスタートです。事業を展開していくために準備すべきものはたくさんあり費用もかかります。オフィス家賃はもちろん、机や金庫、書類棚といったオフィス用品・備品をはじめ、名刺やパソコン・プリンター、電話やファックス、インターネット回線の準備も必要です。場合によっては会社パンフレットやホームページの作成、従業員の採用にもコストがかかる場合もあります。

こうした費用は調達方法などにより大きく変わってきます。会社を設立するにあたって、設立後にどのようにお金をかけていくのか、細かくシミュレーションをして事業計画を立ててください。

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森井じゅん

公認会計士/米国ワシントン州公認会計士/税理士/FP 高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行っている。
http://www.horipro.co.jp/moriijun/

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