誰も教えてくれないお金の深い寓話② ~なぜ僕はお金持ちじゃないのか?~

ルウ・ハイアン

2017.06.29.(木)

ニュースを見ていると、たまに「……社は〇〇億円の損失となりました」、「……社には〇〇〇億円の内部留保が……」などという目玉が飛び出るような金額のニュースを目にすることがあります。
そんな時、その中の1億円でもいいから、自分の口座に間違って振り込まれないかな、という妄想をすることが私たち庶民の楽しみです。しかし、それを妄想で終わらせてもいいのでしょうか。

世界には無限に富が溢れている。

もし、造幣局というものがなく、通貨が一切増えない世界であったら、人口が増えるにつれ、通貨の供給絶対量が足りなくなり、通貨の価値は暴騰していくでしょう。そんな世界であれば、自分が金持ちじゃない理由も納得がいきます。しかし、現実はそうではありません。

中央銀行は、人口増に合わせて供給量を調整し、緩やかなインフレが起きる社会を理想と考えています。(経済がインフレになる社会というのは、未来への投資を呼び込みやすく、経済成長するためには効率が最もよいとされています。将来の期待リターンが投資金額より大きくなりやすく、借金をした場合の返済金額の負担は少なく済むからです)

お金が増えているのに、なぜ僕は金持ちじゃないのか?

さらに日本は長年のデフレに苦しみ、アベノミクスという経済政策において、日本銀行は通貨をダブつかせて、計画的にインフレを起こそうとしたのですが、不動産投資は活発になったものの、大半の日本人は投資活動で未来に夢をみようとすることをせず、その増えたお金の多くは銀行に眠ったままです。

そして、人口が減りマネー供給量が変わらなければ、自分への 配分がもう少し増えてもいいはずですが、給料が上がる気配はまったくありません。

お金持ちのAさんの答えは……

僕はこの長年の疑問を、お金持ちのAさんに聞いてみることにしました。Aさんからの返答は意外なものでした。

「いやぁ、僕もまったく同じことを考えていたよ。東京の高層ビル群を眺めていてさ、どうしてどのビルも自分の物じゃないんだろうって思ってたよ。これだけ沢山あれば、ビル1本くらい自分が持っていても不思議ないじゃないかって」

「何を言ってるんですかAさん 。僕の疑問に答えてくださいよ。Aさんはお金を持ってるけど、僕は持ってないのは不公平だと思うんですよ?」

「お金持ちになってどうするんだい? お金持ちになるって退屈だよ」

「いいんです! 僕はお金持ちになりたいんですから」

「うーん。たしかに君の言う通り、お金は日本中に溢れてるよ。銀行に行けばたくさんある。お金持ちの人数は、実のところ、昔よりも増えているという政府統計もある 」

「……それなら、僕がお金持ちになったっていいはずじゃないですか」

「君は思ったことをすぐに口に出すやつだな。じゃあ、僕を含めた世の中のお金持ちがどうやってお金持ちになったか教えるよ。それを真似すればいい。ポイントは2つ。まず第1に、好きな事をやらないとお金儲けは辛い。第2は、退屈に耐えられる忍耐力を持つことだよ」

「ホラ出た。成功者はすぐ言うんですよ。自分の好きなことをやるだけでいいって。そもそも、好きなことだけしてお金儲けなんてできるわけないじゃないですか」

「うーん、君は僕の言葉の真意を誤解してるな。たとえば、君は会社勤め以外で、副業でも投資でもいい、自分の力で何か利益を得たことはあるかい?」

「そりゃ、ありますよ。以前、買った服をオークションサイトに出したら、思ったより高値で売れたことがあります、はは。あれは良かったなぁ」

「それをすぐ思い出したということは、きっと君の中で忘れられない良い思い出なんだろう。そして、君は洋服が好きなんだろう。君の洋服選びのセンスはお金になるセンスかもしれない。お金を儲けるためには、それを繰り返すんだよ。何度も何度も。うまくいき出したら、それを少し大掛かりにやるんだ」

「え? そんな、、こと……?」

「ふふ。そんな簡単なことって? 今度は僕が言わせてもらうよ。人って簡単な助言ほど受け入れがたいんだ。世の中はシンプルなのにね。小難しい助言の方が受けがいいようだよ」

だから、好きじゃなければできない

Aさんの話は続いている。

「たとえばね、投資の世界にしろ、ビジネスの世界にしろ、最初のお金儲けの芽はとても小さいんだよ。その時点では、まさか、これが大金を自分に運んできてくれるなんて思わない。……色々なことが頭をかすめるんだよ。一個あたりの売上げや、キャッシュフローを。利益が薄くても確実に儲かるのに多くの人はやらないんだ」

「そんなもんなんですか? 面倒だからですかね?」

「僕がやってる不動産投資なんて、銀行で1億円を借りて、物件を購入して、他人様が住めるように色々と環境を整えてあげて、家賃をもらっても、電灯が壊れた、ゴミ箱にカラスがたかってるだのクレームを問題なく処理して、年間のあがりが100万円だよ」

「そんなもんなんですか?」

「あぁ、そんなもんだよ。苦労の割にはそんなもんさ。でも、僕は住む場所をデザインしたり、人と交渉したりすることが好きだから、苦にならないんだ。だから、それを繰り返すことができる。つまり、そんなマンションをいくつも所有することも苦じゃない。5棟同じマンションがあれば500万円のあがりがあるだろう?」

「はぁ……」

「どんなビジネスも、どんな投資も同じさ。自分が確実に儲けられる方法を見つけて、それを何十回、何百回、何千回と繰り返す。あるいはサイズをどんどん大きくする。飽きもせずにね。だから、自分が好きなことじゃないと辛くなるんだ。最初のうちはお金が貯まるのが楽しくても、もし好きなことじゃないことを厭厭やっていたとしたら、お金がある程度以上貯まると『本当の自分は今の自分じゃない。お金なんて幻だ』といって、禅寺に修行に行ったり、世界を放浪する旅に出ることになる。どこでも使えるブラックカードを持ち歩きながらね」

「プライスレス……」

「あはは。それでも別に悪くない人生だけどね」

「でも、お金持ちになる理由ってそういうとこにあるんですね。僕がお金持ちじゃない理由がよくわかったというか……」

ゼロからでも資産を作るために必要なものは

Aさんはひとつコホンと咳をした。自分の話が受け入れられたことに満足げな様子だった。そして、おもむろに付け加えた。

「まぁ、それだけじゃないけどね。あともう一つ、覚えておくといいよ。自分に入ってくる収入の全ては、以前に自分が投資をしたもののリターンなんだ。投資はビジネスや不動産や株式だけじゃない。お金がなかったとしても僕らはいつも時間を投資をしているんだ。現在、会社からもらっている給料は、君が1ヶ月前に会社に時間を投資して得られたリターンともいえる。

たとえば、君がある技術を身に付けたいと思って勉強する時間は投資だ。やがて、身に付けた技術が君に大きな収入をもたらしてくれたら、それは君の勉強した時間に対するリターンだ。
だから若者は時間がある分、ゼロからでも資産をつくることができる。こうして、僕らは常に未来のために何を投資するべきかを考えているのさ。あれ……どこにいくんだい?」

僕はAさんの話を聞いていたら、いてもたってもいられなくなってAさんの元を走って去った。時間を常に投資してるなんて言われたら、僕はそわそわして何かをしなきゃいけない気になったからだ。

今回Aさんがしてくれたお話は、皆さんにとっていかがでしたでしょうか?

次回の話はこちら▶『誰も教えてくれないお金の深い寓話③~無人島に何を持っていく?~』
前回の話はこちら▶『誰も教えてくれないお金の深い寓話~良い借金と悪い借金~』

ルウ・ハイアン

文筆家・歴史家として各メディアに寄稿。投資家としての側面も持ち、投資界隈の話題には事欠かない。また経済のトピックを誰にでもわかるように話す技術には定評がある。映画や書籍、または海外ゴシップにも精通している。日本語の他に、中国語・英語も堪能。

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