帰省したらやっておきたい介護の備え

村田くみ

2017.05.30.(火)

万が一親に“もしも”のことが起こったとき、独身のきょうだいや妻など、役割がひとりに集中してしまいがちです。介護の負担を減らすために、ベストな方法を選択することが大事です。

 

遠くに離れていてもできる準備を

ふだんから介護のよろず相談所の「地域包括支援センター」の所在地を調べておくほかに、「かかりつけ医」との連携をよくしておくことが大事です。高齢になると、内科のほかに、整形外科や皮膚科、耳鼻科、歯科など、さまざまな科にかかることが多くなります。介護保険サービスを使いたいと思ったら、まず要介護認定から始まりますが、このとき、「主治医の意見書」を書いてもらうので、当事者の体調や家族のことなど理解してくれている「かかりつけ医」をふだんから探しておくことが、いい介護を受けるための基本です。介護認定を受ける手順は①市区町村の窓口に申請します。②市区町村の職員や、介護専門支援員などが訪問し、心身の状況などの基本調査、概況調査、特記事項について聞き取り調査を行います。③訪問調査の結果と主治医の意見書をもとに「介護認定審査会」で審査します。④30日後、審査結果が届きます。

 

「かかりつけ医」がいないときは入院先の主治医を味方につける

要支援1、2、要介護1〜5のいずれかに認定されたら、居宅介護支援業者のケアマネジャーと話し合い、ケアプランを作成することができます。ただし、施設で暮らすことを希望するのならば、自分で希望の施設に入所申請を行わなくてはなりません。筆者の母親は介護がスタートしたとき要介護2。使える介護サービスには限度がありましたが、主治医の先生が退院後の生活について、よく相談に乗ってくれました。母には特に「かかりつけ医」はいませんでしたが、入院先の主治医が要介護認定の際、意見書を書いてくれました。

 

医療連携室の医療ソーシャルワーカーに相談

母の主治医は病院内の医療連携室に行くようにアドバイスしてくれて、医療連携室内の医療ソーシャルワーカーが、介護保険で利用できるサービスのひとつ「ショートステイ」の利用方法を教えてくれました。ショートステイとは特別養護老人ホームなどに短期間入所して、食事・入浴などの介護サービスや生活機能維持・向上訓練を受けます。ショートステイを利用できたことで、在宅介護の負担は少なくなり、仕事をやめないで介護を続けることができました。

 

ケアマネジャーの選び方で介護の質に違いが出る

医療ソーシャルワーカーが提案してくれた介護のプランを受けるためには、ケアマネジャーを決めなくてはなりません。ケアマネジャーは利用者本人や家族の希望を聞き、本人に適した「ケアプラン」を作成し、サービス事業者との間に立って連絡・調整をします。自治体の介護事業者が掲載されている電話帳『ハートページ』で、居宅介護支援事業者を探すのが一般的です。リストにある事業者に電話をして対応の善し悪しで決めた人や、自宅からの距離を優先した人もいます。すでに介護サービスを利用している人たちからの「口コミ」を参考にしてもよいかもしれません。

 

ケアマネとの面談には参加すること

介護サービスの利用が始まりますと月に1度、ケアマネジャーとの面談があり、翌月までの計画表をもらうことになります。ケアマネジャーはひとりで何重人もの要介護者を担当しているため、各人の状況を100%把握することはできません。子どもが親の状態を観察して、面談時にケアマネジャーに伝えることが大切です。その際、日頃思っていることや親と話したことをメモにまとめておき、伝える時は簡潔に要点をまとめて話すように心がけましょう。

 

介護は背負わない、できるだけプロにまかせるのが基本

病気や介護状態になった時は、病気や手術の説明を医師に聞いて治療法を決めたり、本人に代わり物事を決める「キーパーソン」が必要になりますが、役割がひとりに集中する恐れがあります。親に介護の要望を聞いたとしても、「自宅で過ごしたい」と答える人がほとんどです。願いをかなえてあげたいと全部背負うのは禁物です。排泄や入浴など身体介助が必要になったら、それらは介護サービスを利用して、プロに任せましょう。介護は育児と違い、ゴールは見えません。お金の面も含めて家族の負担は最小限にすること。それが、親にとっても幸せなことなのです。地域包括支援センター、主治医、ケアマネジャーこの3つのプロと連携を取りながら、ベストな介護プランを探しましょう。

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村田くみ

ジャーナリスト/ファイナンシャル・プランナー 1995年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」所属。2011年よりフリーに。08年から母親の介護をしながら、ライター、ファイナンシャル・プランナー(AFP)として多くの週刊誌等で執筆。おもに経済、社会保障、マネー関連の記事を担当。16年1月一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)のアドバイザーに就任。著書に『介護破産』(KADOKAWA)、『書き込み式! 親の入院・介護・なくなった時に備えておく情報ノート』(翔泳社)、『おひとりさま介護』(河出書房新社)など。

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