相続税増税で事情が変わる!?  マイホーム購入時の「相続時精算課税制度」

マネラボ編集部

2015.07.18.(土)

2013年度の税制改正のなかでも大きな話題を呼んでいるのが相続税の増税ではないだろうか。

2015年1月より最高税率が50%から55%へと引き上げになるのに加え、それまで「5,000万円+法定相続人1人につき1,000万円」だった相続税の基礎控除が「3,000万円+法定相続人1人につき600万円」へと大幅に縮小になる予定だ。 子ども2人が法定相続人だった場合、これまでは5,000万円+2,000万円×2人で、7,000万円の基礎控除が受けられた。ところが、2015年1月以降は3,000万円+600万円×2人で、原則として4,200万円を超えると相続税が課税されることになる。

相続税が増税になると言っても、「相続なんてまた先のこと」「親の財産がいくら残るのかがもう少しはっきりしてから対策を考えたい」という人もいるようだが、マイホームの購入を考えているなら相続税は無関係ではいられない問題だ。なぜなら、購入資金の一部を親から援助してもらう場合に、「相続時精算課税制度」と呼ばれる制度が有効な選択肢のひとつになり得るからだ。

相続時精算課税精度とは?

相続時精算課税制度とは、まとまった資金の援助を受けた場合に、贈与税がかからずに相続時まで課税を繰り延べることができるという趣旨の制度だ。この制度を使うと、2,500万円まで贈与税が課税されず、それを超えた金額についても一律20%の税率で贈与税が計算されることになっている。

贈与税についても今回の税制改正で税率構造が見直されるが、仮に20歳以上の人が親から1,500万円の贈与を受けた場合の税率は、40%(控除額190万円)となる予定だ。ざっと計算すると、実に1,500万円のうちの366万円を税金として納めなければならないことになる。これが相続時精算課税制度を利用することで、とりあえず納めずに済むとしたら、その存在価値は大きいだろう。

さらに、2014年いっぱいまでは「住宅取得等資金の特例」という制度があり、2013年は700万円(省エネ等住宅の場合は1,200万円)、2014年は500万円(同1,200万円)までなら贈与税が非課税にできるが、2015年以降は現在のところ、見込みが立っていない。もしもこの制度が延長されなければ、相続時精算課税制度の存在感はますます増してくるに違いない。

しかし、である。繰り返しになるが、相続時精算課税制度を利用するということは、「課税を相続時まで繰り延べる」ことに他ならない。相続税の基礎控除が比較的大きかったこれまでであれば、(1)相続時精算課税制度を利用する⇒(2)相続財産が基礎控除の範囲内で収まっていたため相続税が課税されない⇒(3)結果的に非課税で住宅資金の援助が受けられた、というシナリオが描きやすかったが、基礎控除が縮小されると話は違ってくる。

相続時精算課税を利用したまではよいものの、その名の通り、相続時にきっちり「精算」して相続税を納めなければならない、というケースが増えてくることが予想される。また、相続時精算課税制度は、一度利用すると取り消しができず、その後の贈与もすべて制度が適用になること、年間110万円の贈与税の基礎控除が利用できなくなるという点にも注意が必要だ。

マイホームを購入するタイミングは制度だけで決められるものではないが、今後も相続税増税のトレンドが続く可能性があることを考えると、相続時精算課税制度の利用には慎重になりたいところだ。もし可能であるならば、せっかく目の前にある「住宅取得等資金の特例」を賢く利用することを検討するのがよいだろう。

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