介護にかかるお金はどれくらい?

黒田尚子

2018.05.14.(月)

ちょっと古いデータですが、内閣府の「平成7年度第4回高齢者に関する国際比較調査」に、介護に対する不安感について、日本、アメリカ、タイ、韓国、ドイツを比較したものがあります。

日本、タイ、韓国のアジア諸国の場合、「不安になることがよくある」人の割合が、アメリカやドイツなど欧米に比べ高く、「不安は全くない」人の割合が、各国中で日本が最も低いという結果でした。

超高齢社会の問題は、先進諸国にとって共通の悩みのはず。でも介護を不安に感じる割合が異なるというのは、その国の価値観などにも影響を受けるものかもしれません。

さて、今回は、介護に不安を感じる要因の一つともいえる「介護にかかるお金について見てみたいと思います。

介護に必要と考える資金総額は3,300万円にものぼる!?

生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主または配偶者が要介護状態になった場合、公的介護保険の範囲外の費用(*)に対して、必要と考える月々の費用に必要期間をかけあわせた費用総額の平均はなんと3,040万円。

必要資金の分布をみると、最も多いのが「1,000~2,000万円」(23.8%)、次いで「2,000~3,000万円未満(14.8%)となっています。

同調査では、「介護が必要と考える期間」が平均169.4ヵ月(14年1ヵ月)ですから、それぐらいかかるとお考えなのかもしれませんが、ちょっとした中古物件が買えるくらいの金額です。

*住宅改造や介護用品購入などの初期費用や月々かかる費用。

介護経験がある人を対象にすると、実際の費用は約1/5以下に

一方、同調査では、過去3年間に介護経験がある人に対しても質問しています。その結果は、介護期間(現在介護を行っている人は介護開始からの経過期間)が平均59.1カ月(4年11カ月)。

介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)が、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均80万円、月々の費用が平均7.9万円でした。

これらを基に試算すると、介護の総額は約547万円。前述の必要と考える費用総額の1/5以下です。

ぐっと現実味を帯びた額ではありますが、それでも500万円以上もかかるとは!

介護にかかる費用は「在宅介護」か「施設介護」で大きく異なる

2つの介護費用のデータを見ていただきましたが、現実は、いずれも目安にしかなりません。

まず、介護にかかるお金は、在宅で介護を行うか、老人ホームなどの介護施設に入所するかで大きく異なります。

ちなみに、前掲の約547万円というのは、在宅介護の場合。介護施設に入所する場合、介護や医療にかかる費用以外に、「入居一時金」(0~1億円超など)や「月額利用料」(室料、食費などの基本生活費で一般的に5~35万円)が必要で、在宅介護よりも費用がかさむ傾向にあります。

お金があれば介護の選択肢が広がる

いずれにせよ、実際に介護が起きれば、介護期間がどれくらいになるのかもわかりませんし、夫と妻の別居している両親が同時に要介護状態になる「同時多発介護」にでもなれば、さあ大変!マンパワーもお金も必要です。

要するに、介護にかかる費用はケースバイケース。しかし、一つだけ確実に言えることがあります。

それは、お金さえあれば、ベストな介護ができるというものではないが、お金があれば、介護する上での選択肢が広がるということ。

ご自分やご家族がどんな介護を受けたいかをイメージしてみてください。

もし手厚い介護をご希望であれば、前述のデータを参考に、その分の費用を準備しておく必要があるでしょう。

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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