医療費控除とセルフメディケーション税制はどっちがオトク?

黒田尚子

2018.02.13.(火)

病気やケガで入院した、慢性疾患を抱えているなど、医療費が高額になったとき、「医療費控除」を利用したという人は多いでしょう。

さらに、2017年1月から、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」という新しい制度もスタートしています。

両者は併用できず、選択適用となっています。

そのため、「確定申告でどちらを選択すれば良いか分からない」といった声も聞かれるようです。

払った税金が戻ってくる「医療費控除」とは?

まず、医療費控除についてご説明しましょう。

この制度は、その年の1月1日から12月31日までの間に、本人または生計を一にする家族(配偶者、子どもなど)のために、10万円以上の医療費を支払った場合、翌年の確定申告によって所得控除が受けられるというものです。

医療費控除に関して、ご質問が多いのは、対象となる費用について。

医療機関等で支払った医療費以外にも、ドラッグストアで購入した市販の医薬品の費用や、通院や入院のための交通費、公共交通機関での移動が困難なためのタクシー代、不妊治療の費用なども対象になります。

ポイントは、それが病気治療あるいは療養のための費用かどうか。

例えば、歯科矯正は、治療目的であれば対象となりますが、美容目的なら対象外です。

OTC医薬品を購入したら使える「セルフメディケーション税制」とは?

一方、2017年1月からスタートした「セルフメディケーション税制」は、OTC医薬品と言われる一定の市販の医薬品を1万2000円以上購入した場合、最大8万8000円まで、その年分の総所得金額から控除される医療費控除の特例です。

対象となる医薬品は、厚生労働省のWebサイトで確認できますし、対象製品のパッケージに「セルフメディケーション税  控除対象」のマークが入っているものも多いので、それを目印にチェックしてみてください。

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「セルフメディケーション税制」は条件付き&期間限定

基本的に、医療費控除は、10万円以上でなければ適用されないのに対し、セルフメディケーション税制は、1万2000円以上とハードルは低くなっています。

しかし、後者は誰でも申請できるわけではありません。

適用対象となるのは、所得税や住民税を納めていて、特定健康診査(メタボ健診)、予防接種、定期健康診断、がん検診などを受けている人です。

また、この制度は、2017年1月1日から2021年12月31日までの期間限定の特例という点もポイントの1つです。

「医療費控除」と「セルフメディケーション税制」はどちらがおトク?

原則、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、ダブルで受けることはできず、いずれか一方を選択します。

しかがって、どちらを選択した方がおトクなのか見極めることも大切。

例えば、総所得金額500万円で、医療費控除の対象となる金額が15万円、このうちOTC医薬品の購入金額が5万円のケースで、両者を比較してみましょう。

①従来の医療費控除を選択した場合の控除額→5万円(=15万円―10万)

②セルフメディケーション税制を選択した場合の控除額→3.8万円(=5万円―1.2万円)

このケースの場合、控除額は①の方が多くなりますので、従来の医療費控除を選択した方が有利というわけです。

基本的にセルフメディケーション税制は、医療費がそれほど高額ではない家計のための、いわば補完的な位置づけです。

したがって、入院や手術などで医療費が高額になった場合は、控除額が大きい医療費控除を優先させた方がおトクとなる可能性が高いでしょう。

なお、日本一般用医薬品連合会のHPでは、どちらがおトクかシミュレーションできますので試算されることをお勧めします。

2017年分から申告の際の医療費の領収書が不要に!

さらに最近、医療費控除について、添付書類に関する改正が行われています。

2016年分までは、かかった医療費の領収書の提出または提示が必要でした(電子申告の場合、医療費の領収書の添付を省略可)。それが、2017年分から不要となり、代わりに「医療費控除の明細書」または「通知書」の提出で問題ありません。

ただし、領収書は5年間保存しなければなりませんので、レシートや領収書はちゃんと保管しておきましょう。

参考:厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
日本一般用医薬品連合会「知ってトクするセルフメディケーション税制

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黒田尚子

ファイナンシャル・プランナー/消費生活専門相談員資格/乳がん体験者コーディネーター。1998年FPとして独立。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、がんなど病気に対するおカネ・ココロ・カラダの備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力している。著書に「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)など多数。黒田尚子FP事務所 http://www.naoko-kuroda.com/

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