個人事業主・中小企業が利用したい地域の福利厚生事業

益山真一

2017.12.28.(木)

大企業と中小企業。給与水準だけでなく、退職金制度、企業年金制度のほか福利厚生制度についても相対的に大企業は充実している一方、中小企業は見劣りする感は否めません。

しかし、多くの市区町村の関連団体が、その地域の中小企業や個人事業主が利用できる福利厚生事業を実施しており、その内容は会費水準からみると意外と充実しています。

今回は、市区町村等の関連団体が実施する福利厚生事業について紹介します。

原則、事業所単位で加入。掛金は税務上、損金または必要経費

地域が実施する福利厚生事業は、「〇〇(市区町村名)、中小企業、福利厚生」等のキーワードで検索すると調べることができ、名称は「〇〇勤労センター、〇〇勤労者サービスセンター」等が多くなっています。

多くの場合、地域内の中小企業に勤務する勤労者とその事業主が事業所全体で加入します。

例えば、1人で個人事業を営んでいる人は1人でも加入でき、自分を含めて10人の会社であれば10人で加入します。

新たに従業員を雇えば、加入手続きをし、従業員が退職すれば、退会手続きが必要となります。

社員がいない個人事業主にとっては、手軽に福利厚生制度を利用できるメリットがあり、従業員を雇う個人事業や中小企業の事業主にとっては、従業員の雇用時、退職時の手続きは必要となりますが、事業所単独では充実しにくい福利厚生を利用できるメリットがあります。

地域が実施する福利厚生事業は、入会金と月額会費が必要となりますが、いずれも会員1人につき数百円程度と低額(筆者が加入する荒川区の福利厚生事業は入会費200円、月額会費500円)。

月額会費は入会する月から退会する月まで納付します。

福利厚生を提供する民間企業もありますが、地域が実施する福利厚生事業は相対的に事業主が負担する費用が少ないため、個人事業主や中小企業にとって利用しやすいといえます。

その掛金は、個人事業主は必要経費、中小企業は損金に算入できますので、所得税や法人税等の節税効果も得られます。

種類は祝金・見舞金・弔慰金から各種割引まで多種多様

祝金について

会員が
・結婚したとき
・結婚して〇年を迎えたとき(25年、50年など)
・子が生まれたとき
・子が小学校・中学校に入学したとき
・会員が満20歳になったとき など。

金額は数千円から数万円。申請書に所定の確認資料を添えて申請します。

給付金について

会員が
・傷病により連続して〇日以上(14日以上、30日以上、60日以上など)入院したとき(入院日数が長くなるほど給付金が多くなる)
・居住する家屋・家財に損害を受けたとき(全損・焼、半損・焼、一部損・焼、床上浸水等により異なる)
・入会後に生じた傷病で障害が残ったとき(障害等級、在会年数に応じて異なる)

金額は数万円から数十万円。申請書に所定の確認資料を添えて申請します。

弔慰金について

・会員本人が死亡したとき(年齢・在会年数に応じて、数万円から数十万円)
・会員の配偶者、子、父母が死亡したとき(数万円)

申請書に所定の確認資料を添えて申請します。

上記の給付金事業は補償として十分なものではありませんが、他に加入する保険・共済の保険事故があったことに気づくことができる点で有益です。

また、子の出生、進学、成年等の給付金事業は、地域の共済事業の特徴といえます。

その他、以下のようなサービスを利用できます。
・宿泊費補助(本人と家族。1泊あたり数千円。年間限度あり)
・演劇・演芸・歌舞伎・狂言・ミュージカル・バレエ・コンサート等の補助(本人。数千円)
・カルチャーセンター受講補助(本人。数千円)
・インフルエンザ予防接種費用補助(本人。数千円)
・人間ドック(本人。数千円~数万円)

以上は申請書に所定の確認資料を添えて申請します。

各種割引について

割引には、以下のような種類があります。

・地域内お買い物券
・百貨店お買い物券
・映画館、美術館、図書カード、遊園地、プール、スポーツジム、ゴルフ、ボーリング、ホテル、旅行会社ツアー、葬祭業者、レンタカー、日帰り温浴施設などの割引

私は10年以上会員として年間6千円前後、累計数万円の会費を支払ってきましたが、子の出生、進学等の給付金のほか、宿泊費やインフルエンザの補助、旅行ツアー・映画館・遊園地・プール・スポーツジム・ボーリング・日帰り温浴施設等の割引等、少なくともその会費の数倍のリターンを得ているので、十分満足しています(個人的感想です)。

なお、福利厚生事業は地域により会費やサービス内容が異なります。

福利厚生の充実を望んでいる個人事業や中小事業の事業主の皆さんがご興味をお持ちでしたら、まずは地域の福利厚生事業を調べてみてはいかがでしょうか?

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益山真一

ファイナンシャルアカデミー認定講師。「お金の教養スクール」で教壇にたつ。家計改善を得意とするファイナンシャルプランナー。國學院大學経済学部の非常勤講師も勤め、研修・セミナーの実績も多数。経済、景気等への感度が高く、株式投資では18ヶ月連続増益の経験もある。

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