改めて知りたい「生命保険控除」とは?

森井じゅん

2017.12.04.(月)

「生命保険控除」をご存知でしょうか?年末調整や確定申告の際に行うことで、税金が安くなる制度。ですが、名前を聞いたことがあるだけ、なんとなくやっているけれどよくわかっていない…などという声をよく耳にします。

意外と知られていない生命保険控除はどんな制度なのでしょうか?日米で公認会計士の資格を持つ森井じゅんさんに詳しくお聞きしました。

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生命保険控除とはどんな制度なのでしょうか?

生命保険料控除とは、所得税や住民税の計算における所得控除のひとつです。払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額が保険料を負担する人の課税所得から差し引かれる制度です。基本的に、所得税や住民税は課税すべき所得に税率を掛けて計算します。生命保険料控除の結果、課税所得が減り、所得税や住民税が軽減されるのです。

一言で生命保険料控除といっても、生命保険の契約時期で控除の種類・金額が変わってきます。具体的には、平成23年以前の契約については旧制度が適用され、平成24年以降の契約では新制度が適用されます。

旧制度では、一般生命保険料と個人年金保険料という2区分があり、所得税で最大10万円・住民税で最大7万円の所得控除が受けられます。
一方、新制度では、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料と3区分になり、所得税で最大12万円・住民税で最大7万円の控除となります。

「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護 医療保険料控除」の違いとは?

新制度の生命保険料控除の3区分「一般生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護 医療保険料控除」ですが、それぞれの違いは保険の保障内容です。

「一般生命保険」は、主に死亡保険です。
「個人年金保険」は、基本的には将来年金を受取るための積立です。
そして、「介護・医療保険」は主に医療保険やがん保険が対象です。

この3区分に当てはまるかどうかは、国の定める細かいルールに従って判断されます。ご自身が加入しようとしている保険がこの3区分に当てはまるかどうかについては保険会社にきちんと確認しましょう。

すでに加入済みの保険については、保険会社が毎年送ってくる生命保険料控除証明書を確認すれば、ご自分の契約が新旧どちらの制度にあたるのか3つの区分のうちどこにあてはまるのか、ひと目で分かるようになっていますのでチェックしてみて下さい。

仮に年収500万円の人がめいっぱい生命保険控除枠を使った場合どれくらい節税できるのでしょうか?

年収500万円の場合の所得税率は医療費控除等の控除がない一般的なケースでは10%で、住民税も所得割は原則10%です。所得税で最大12万円・住民税で最大7万円の所得控除となるので、それぞれの10%が節税効果です。つまり、最大限の控除を受けた場合、1万9千円税金が軽減されることになります。

ちなみに、復興所得税や自治体ごとの住民税率の違いなどの細かい部分は度外視しています。

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「生命保険控除」はどのように行えば良いのでしょうか?

生命保険料控除は、対象の保険に加入しているからといって自動的に受けられるものではありません。年末調整か確定申告を通じて控除を受ける手続きをする必要があります。

具体的には、保険会社から10月~11月ごろに「生命保険料控除証明書」と記載されている封書または葉書が届きます。この証明書は控除を受ける際必ず必要になるのできちんと保管しておいてください。

年末調整で控除を受ける場合には、「給与所得者の保険料控除等申告書」に必要事項を記入し「生命保険料控除証明書」を添付して会社に提出します。会社員の方で、医療費控除等のその他の控除がなければ、確定申告の必要はありません。

個人事業主の方は原則、所得税の確定申告が必要です。「確定申告書」に必要事項を記入し、「生命保険控除証明書」を添付して控除を受けます。

ちなみに、会社へ期限内に申告書を提出し忘れた場合や年末調整に間に合わなかった場合には、ご自身で確定申告すれば控除を受けることができます。

年末調整の場合には、年末の給与の手取りが増え、確定申告で還付があるケースでは1か月程度で還付額が振り込まれます。

「生命保険控除」で間違いやすい点、気をつけるべき点はありますか?

控除についてよくある間違いは、契約者になっていないから、と控除をあきらめているケースです。

契約者が本人以外の場合でも、契約者が誰であるかは生命保険料控除の要件になっていないため、控除の対象となります。例えば、妻が契約者である生命保険契約について、夫が保険料を支払っている場合でも一定要件を充たせば対象になります。

一方、保険料控除になると思い、保険に加入したものの、控除が受けられないケースがあります。例えば、保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものもあるのです。加入する前にしっかり保険会社に確認しましょう。

生命保険料控除が適用されると確かに税金は安くなりますが、節税効果にだけ注目するのは本末転倒になる可能性も。めいっぱいの控除を受ける事が得、というわけではないのです。

例えば、上記の年収500万円のケースで最大限の控除を受けた場合、軽減できる税金は、所得税約1万2千円、住民税約7千円の合計1万9千円程度です。

しかし、この税金軽減のためには、上記の3区分の保険でそれぞれ最低8万円の保険に加入する必要があります。つまり、2万円弱の税金軽減のために最低24万円の保険料の払い込みが必要になるのです。また、それぞれの区分で8万円を超える保険に加入しても、その超過分の控除はありません。

節税効果だけを考えて保険に加入することで自由になるお金が減ってしまうこともあります。生命保険に加入する際には、その保険が本当に自分に必要かをよく考えて決めることをおすすめします。

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森井じゅん

公認会計士/米国ワシントン州公認会計士/税理士/FP。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行っている。http://www.horipro.co.jp/moriijun/

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